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ユメイルの異変
しおりを挟むその頃のユメイル国。
城から愛し子様一行が去って1時間刻過ぎただろうか。
平和なはずのユメイルは現在、見たこともないような悪天候に見舞われている。
先刻まで晴れ晴れと澄んでいた空には暗雲が立ち込め、時折稲光が走る。
人々は訳が分からず右往左往するばかり、状況を把握したいがために街の中は建物からも出てきた人々で埋まる勢いだ。
「どうなってるんだ??」
「さっきまでいつものように晴れていたのに」
「お、おい!花が枯れていく!」
「うそだろ!あ!うちもだ!」
「陽が遮られてるぞ」
「少し肌寒いな」
「誰か何か知ってるか??」
「あ!!」
「お?おまえ門兵?」
「さっき愛し子様が城を出たことくらいなら聞いたぞ」
「それが関係あるのか?」
「・・それはわからねぇすまない」
「なに、いいって」
「そうだ、城に行けば何かわかるんじゃ?」
「お、そうだな!」
「でもこんな大勢で行っても入れないぞ」
「代表して10名ほどで行くのはどうだ?」
「えっと、あ、そこの菓子屋と花屋から1人ずつ!」
「なんでだい?」
「愛し子様が寄ってったろ?」
「そうだよ?」
「まぁ、関係あるかわからんけどな!」
「まぁ、行くよ」
「うちも行くよ」
「門兵も行けよ」
「だな」
「よし、じゃああとはおまえとおまえ、あっちのと、そっちな、行きながら神殿に寄って2人ほど合流してもらうことにする」
「わかった!」
「頼んだぞ」
「あぁ、任せとけ!みんなは家に入って大人しくしてるんだぞ!」
「「「「「「「「わかった」」」」」」」」
「何かあったら、城に行く奴の家族のこと、頼むぞ」
「「「「「「「「任せろ!」」」」」」」」
「ははっ頼もしいぜ」
「じゃ行くぞ」
「「「「「「「「おー!」」」」」」」」
そうして宣言通り、神殿に寄ってから3人が同行することになりそのまま城へと向かう。
その間も空は黒い雲が蠢いて不気味だ。
怖さはもちろんあるが、引き返すわけにはいかない。
城への道中、神官たちとも話しているが、彼らもこうなった原因に心当たりは無いが現象には心当たりがあるという。
それが、まさかの神々の怒りだということ。
「なんだとっ!?」
「誰だよ、神を怒らせたのは!」
「わかりません、しかし確実に言えることは相当お怒りだということです」
「っっなんなんだよ」
「私達も心当たりを考えていたのですが一向にわからず」
「すみません」
「なっ、謝らないでくれ!」
「そうだぜ、神殿が悪いわけじゃないだろう?」
「神殿にはみんな感謝してるぜ」
「そうだぞ」
「そうなのですか??」
「いつも神と人とを繋いでくれているところだからな」
「ふふっ嬉しいですね」
「あぁ、神官やっててよかったな」
「そうですねぇ」
不穏な空気が漂っているはずなのに、ここだけにこやかな雰囲気なのもおかしな感じだが(苦笑)
なんだか思わぬところで距離が縮まってこれからもよろしく、みたいな方向に。
そんな様子で城に到着した頃にはすっかり仲も深まっていたのだが・・
着いて城の門兵に話している時、視線の向こうの広大な敷地の奥に轟音が鳴って雷が落ちた。
離れていたとはいえ、あまりの音と初めての光景に驚きすぎてその場に居た人は尻餅を着いていた。
「「「「「「「「「「はっ!?!?」」」」」」」」」」
「なんだいまの!?」
「か、雷じゃないか?」
「そんなん見たことねぇよ」
「本で見たことあんだよ!」
「いえ、確かに雷が落ちた現象と同じです」
「そ、そうか」
「じゃない!おい、あれ燃えてないか??」
「燃えてる匂いもするな」
「ヤバいんじゃないか??」
「おい、門兵見てきたほうがいい」
「おい!しっかりしろ!」
「はっ!!はい、すみません、行ってきますね」
「しばらくここでお待ちください」
「あ、門はもしもの時用に開けておきますから」
「あぁ、何かあれば手伝うさ」
「叫びますから、そしたら来てくれれば!」
「わかったから、早くいってやれ!」
「「申し訳ないっっ!!いそげっ」」
そんなやり取りをしてから走り出した門兵2人は、
たぶんこの国で一番じゃないか?というほど足が速かった。
見送った者たちはみんな「「「「はやっっっ」」」」と呟いていた。
そこで神官が話出した。
「マズいですね」
「なにがだ?」
「あの雷といい火事といい、神罰でしょうね」
「っっ!!??神罰だと!?」
「えぇ、そうだと思います」
「あんな凄いの、それしか考えられない」
「なんということだ」
「ということは、神の怒りに触れたのはユメイルの王族!?」
「・・そいうことになると思う」
「「「「「「「・・・・」」」」」」」
「一体何したってんだよ」
「あの穏やかな王族が?」
誰しもが考えられないと顔を青ざめさせていると、
「おおーーい!来てくれっっ!!!」
「たのむっ!!!!」
と叫び声が聞こえてきた。
「呼ばれたぞ!行こう!!!」
門で固まっていた全員で呼び声の先へと急ぎ駆けつける。
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