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ナナリーとスカラ
しおりを挟む主の部屋を後にして一旦厨房へ食器を戻してから、自分もそのまま自室へと向かう。
ナナリー「ふぅ~・・・ルナ様とお話楽しかったなぁ~・・」
としみじみ呟く。
もうすぐ使用人寮に行く廊下へということろで、目の前に急に人影が。
っっ!!
突然のことでビックリしたが、目の前には・・
スカラ「こばんは、ナナリー・・」
ナナリー「な、なんだ・・スカラさん。びっくしりしましたよ~・・どうかされました?」
色々な意味で心臓が出そうになったけど、それでも顔が見られるのは嬉しい。
なるべく態度に出さないようにしなきゃ・・
スカラ「・・すまない、実は謝らないといけないことがあって・・」
ナナリー「??えっと、何のことについてでしょう?」
スカラ「はぁ~・・実は、先程のルナ様との会話を聞いてしまったんだ・・すまない」
ナナリー「・・・・っっ!!??は?え?~~~~~えええええっ!な、な・ん・で・・っ嫌だ・・」
嘘でしょうっ
ルナ様とのって・・私のスカラさんへの気持ちバレちゃった・・
そんな・・
これからどうしたらいいの!?
まだ好きって自覚したばかりなのに・・嫌だよっっ
頭が思考の渦に嵌ってぐるぐるしてしまう
わけがわからなくなって、何か言いたいのに口が呼吸を忘れたみたいにハクハクとなる
喉の渇き
声にならない声・・辛うじて紡げたのは
ナナリー「ウ・・ソ・・・っっ」
恥ずかしいのともう終わったと思う悲痛で、涙が溢れる。
そんなナナリーの様子にオロオロしながら、
スカラ「ナナリーっ落ち着いて・・お願いだ、君と話をしたいんだ。だから、泣き止んで欲しい、どうしたら泣き止んでくれる??」
そう伝える顔には、懇願するような金茶色の瞳が揺らめいてる。
必死な様子に、段々とこちらが冷静になってくる。
まだしゃくりあげてはいるけど、深呼吸を何回か繰り返していると収まってきた。
頭も少しクリアになって、改めてスカラへ向いた。
ナナリー「ごめんなさい・・ちょっと・・・私の気持ちがバレちゃったと思うと、パニックになってしまって。
・・・
っっスカラさん、・・好きです。」
バレてるならこの際、むしろ告白するのは後にも先にもいましかないと思った。
面と向かって、金茶色の瞳を見つめてはっきりと伝える。
そう伝える彼女の濃いピンク色の瞳は力強く、隠しもしない熱を孕んでいる。
彼女の”本気”を感じた。
・・俺も本気を見せないと・・
初めての衝動に戸惑いつつも自分を奮い立たせて。
静かに膝まずく、
スカラ「ナナリー、告げてくれてありがとうございます。
俺は物心付いたときから裏社会で生きてきました・・胸を張って言えるような仕事ではありません。
だけど、愛し子様に憧れ、主に出会い、付いていきたいと思った・・これから先は主のため以外では動かないと決めた。
けれどあの日・・君が連れ去られそうになっていたところを見て、全身の血が煮えたぎるほどの怒りを覚え奴らをのしました。
あんな姿・・君には見られたくなかった・・だけど、君を守れた。
箱庭で生活するようになってから、時折見かける君の気遣う行動、優しい笑顔が気になりだして、そのピンクの瞳を見た時に心を射抜かれたんです。
その時から、俺の中であなたに向ける感情が色づき出した・・でも、こんな俺がと諦めていました・・見守るだけでいようと。
でも、助けたあの日から君は気になる人じゃなくて、俺の守る人になった。
好きです、ナナリー・・こんな俺だけど、一緒に居てくれませんか?・・ずっと。
ずっと守りたい、ずっと側に居たいんです。
俺と仲間以外が君の側にいるなんて耐えられない・・君のすべてが欲しい。
俺の愛は重いです、誰かを愛したことも愛されたこともないから・・こんな俺に囚われていいんですか?
引き返すなら・・いまなら間に合います。
真っ当な人と愛を育んで、結婚して、幸せな家庭を築けます・・俺とではそうは行かないかも知れない・・・」
段々と沈んでいくスカラの手をそっと握る。
ナナリー「スカラさん・・」
と小さくゆっくりと呼びかける。
俺よりも一回りも小さな手なのに、こんなにも温かい・・
こんな俺に温もりを与えて貰える資格なんてないのにっ
ナナリー「ふふっスカラさん、はい、深呼吸して~吸ってー吐いてーーー、吸ってーーー吐いてーーー・・・
少し、落ち着きましたか?さっきの私みたいですよ??(ニコ)」
ナナリーはいつの間にか蹲って愛を乞うていた俺の顔を覗き込んでいた。
可愛らしい笑顔を見せて、
ナナリー「私も、むしろ好きとか恋とかわからなかったんですよ。興味が無かったというほうがが正しいですけど。
でも、あの日あなたが現れた時に・・ヒーローみたいに格好良くて、もっと知りたいなって思ったんです。
初めて好意を向けた異性です。
重いとか正直よくわからないけど、私は側にいてくれて守ってくれて愛してくれて・・そんな贅沢な扱いをしてくれる恋人のことを嫌とは思わないです。
ずっと一緒にいましょう?
ふふ・・なんか私のほうが年下なのに、威張っちゃいました(笑)」
そんなはにかんだ笑顔を見て、心がまた温かいもので満たされていくのを感じた。
もう離してあげられない。
俺の中のこんな病み属性・・誰が知っているだろうか。
スカラ「ナナリー改めて・・俺と恋人になって下さい。いまはそれで我慢する・・でも、主の旅が終わったら、結婚して欲しい・・です」
譲歩もするけど、結婚は譲らないと言ってるようだ。
ナナリー「そんな焦らなくても・・私はどこにも行かないのに。もうスカラさんの・・・・スカラのでしょう?」
突然の呼び捨てに、ドキリとする。
スカラ「っっナナリー・・名前で呼んでくれるのか・・あぁ、もう駄目だ。今日は帰してあげらられないよ。
おいで・・」
そう言って、見たことのない笑顔で誘われる。
蝶を狙う蜘蛛のごとく・・張り巡らされた罠に捕らわれてもう抜け出せないということ・・
その夜、ナナリーの自室でスカラに囚われた・・確実に自分のモノにするために。
後にナナリーは言う。
あの時に拒んでおけばよかったのかな??でも・・
でもも何も承諾した時点で未来は決まったのだから、今更もう遅いのだ。
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