神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ

文字の大きさ
135 / 153

クレイ国〜神殿〜

しおりを挟む


街から徒歩で15分刻ほど、緑が多く見えてきた辺りにそれはあった。

石造りの荘厳な佇まいで、いままで見た神殿や教会とはまた違った雰囲気・・神殿だと頷けるほどのオーラがあった。

”ここは大丈夫” そう感じさせられた。

すぅっと深呼吸して前を向く。

ここからは、ルイとジーンとヴァルは横ではなく後ろを歩く。

愛し子の誇りを持って、神殿域へと歩みを進める。
無意識に胸元で揺れるペンダントを握りしめてしまう。
”神様たち・・私、踏み出すから・・”

そんな私の様子を静かに見守ってくれる”みんな”の温かさを感じながら、”だから大丈夫” とおまじないのように繰り返す。
一歩一歩踏みしめながら進めるたびに、過去の辛い記憶を塗り替える気分で。


目の前に見えている大きな扉の前には、1人の神官が立っている。
出迎えてくれたのだろう・・土の神様が知らせてくれたのかも。


私の視線に気づくと、深くお辞儀をしてくれた・・・やっぱり。


ゆっくり進む私のことを、ただじっと待っていてくれるのが分かって少しだけ緊張が和らぐ。

ルナ「ルイ、ジーン、ヴァル・・私ね、いますごく頑張ってる。やっぱり緊張するし、少しね強張っちゃうんだ・・でも頑張るから、終わったらギュってしてくれる??」

チラっと後ろを振り返って、少し震える声で聞く。

「「「もちろんです」」」
そう言って笑ってくれるみんなが居てくれるだけで心強い。
その言葉にどれだけ救われてきたか・・みんなに頷いて、また歩きだす。


神官?「ようこそお越しくださいました。
愛し子様に拝顔叶いましたこと、大変光栄にございます。
私はクレイ神殿の神殿長エトナと申します。
土の神からの神託にて、愛し子様が足を運ばれるかもしれないので、その心づもりでいるようにと。
足をお運び下さったこと、誠に感謝いたします。
・・・
一応、神殿内では現在私以外は自室へ入っているように申し付けてあります。

ですが、愛し子様には選ぶ権利がございます・・神殿へ入られますか?」


!!??
選んでいいって・・言ってくれた。
いままでは、私が来たら神殿内へ入るのが当たり前というように促されてきた・・
ここは違うんだ・・

ルナ「・・初めてお目にかかります。
今世の愛し子となりました、ルナティカ・シトラスと申します。
他の神官には会えないかもしれませんが・・それでも良ければ入ってもいいでしょうか?」

いまはコレが精一杯だ。

エトナ「もちろんでございます。愛し子様の行動の制限はございません、お好きなようにお過ごし下さいませ。私は案内だけさせていただきますが、質問などございましたらもちろんお気軽にお声がけくださいませ。
後ろのお連れ様方も、同じくご自由にされて構いません。
では、こちらです、階段ですので足元お気をつけて。」

そう言って、重いであろう扉を軽々開けてくれた。

ルイ「お嬢、手を」
ジーン「ルナ様、手を」
ヴァル「俺は後方を」
ルナ「ふふっありがとう」

そうして、いつもの両側をルイとジーンに挟まれて手を繋ぎ、後ろからヴァルが守ってくれるというスタイルで歩き出す。

やっぱりコレが一番落ち着く・・そう思いながら、ギュっと両手を握ってしまう。
2人も前を向いたまま、握り返してくれて同じ気持ちだと言ってくれている様で安心する。


神殿内はやっぱり、どこの神殿とも違った雰囲気。
少し薄暗い・・人がいないことも関係してるかもしれないけど、シーンとしすぎていて怖い・・

あまりキョロキョロする気分にもなれず、ただただ案内されるまま付いていくと、段々と明るくなってきた。
不思議に思いながらも、あまり変わらない光景を眺めていると、一際 ”岩” と思えるような洞窟みたいなところへ辿り着いた。

なんで神殿内に洞窟??と思いながら、入っていくと、中は自然の洞窟そのままの内部に長椅子が並べられて、真ん中の花道の先には祭壇があった。

エトナ「お待たせしました、こちらが我が神殿の祭壇の間になります。正に洞窟そのままで驚きましたでしょう?私も神殿長としてこちらへやってきた当時は、本当に驚きました。
いまでは流石に慣れましたけれど(笑)
こちらは、遥か昔土の神が建国した際に国興しの中心とされた場所で、土の神にお目にかかれる唯一の場所として崇められております。
もちろん、いつでもお目にかかれれるわけではないのですが・・年に1度、岩縁祭といって「いつもお守りいただきありがとうございます。また1年健やかに過ごせますように」と神への日頃の感謝を伝える日なのです。
その日だけは、こちらの祭壇の間へ降臨して下さるのです。
とても慈悲深い神で、皆涙して喜びます。」

なるほど・・
神が人間に姿を見せることはほとんど無いと聞いたけれど、土の神はこちらの国の民が常日頃から深く信仰していることを顧みて、この日だけはと思ったのかなぁ。
少しぶっきらぼうな話し方の時もあるけれど、土の神もとても優しいもんね。

ルナ「そうですか、それは本当に温かいことですね。あの、私も祈りを捧げてもよいでしょうか?」

エトナ「!!?なんと、もちろんでございますっ・・申し訳有りません、年甲斐もなくはしゃぎすぎまして・・祈り時間の制限もございませんし、心ゆくまで滞在していただいて構いません」

とても良い笑顔でそう言ってくれた。
ふふっ・・でも・・こんなに信仰心があるのなら。

ルナ「えっと、もしよろしければ、神殿長と他の神官もこの場にご一緒しませんか?みなさんも祈ることで神もお喜びになると思います」(ニコ)

っっっ
愛し子様の優しい微笑みにやられた瞬間であった。

エトナ「・・・っ、有難い申し出です・・このような機会、滅多にございませんので、ご一緒させて頂きく思います、すぐに集合させますね!」

そう言うと、細長い笛のようなものを取り出して「ピィィィィィ」と細く小さな心地よい鳥の声のような音が響いた。

と、思ったらトタトタトタトタと煩くはない沢山の足音が聞こえてきた。
3分刻ほどで祭壇の間はびっしり人で埋め尽くされた。

ルナ「お、多いですねっ・・想像以上です・・」
思わず顔が引き攣ってしまうのは仕方ないくらいに、どこにこんなに人がいたのか??という人数である。
ルイ「うわ・・まじか・・」
ジーン「収まる人数じゃないわよ??」
ヴァル「一応、警戒を怠らないようにリルにも伝えたよ」
ルイ「そうだな・・」
ジーン「大事ね」

ルナティカは呆然としていた。
なんせリキュア神殿よりも小さく見えたこの神殿に、まさかこれだけの人数の神官が居たとは・・リキュアの倍はいるだろう。

ルナティカ達が呆然としているのを横に、神殿長エトナがルナティカ達の紹介をして、これから一緒に祈る場を設けてくれたことを感謝するように、と伝えている。

誰も声は出さず、一斉に跪き頭を垂れる。

圧巻の光景とは、こういうことを言うのかもしれない・・


しかし、気を取り直して。
ルナ「で、では、祈りを始めましょう。・・皆さん、気をしっかり持って下さいね?」

その合図で一斉に伏せる。

ルナティカは祈り語りかける。
”神様たち、私はどうにか一歩踏み出しました。ご心配おかけしてごめんなさい・・こうやって話しかけるのも久しぶりになってしまいましたけど、私は元気です。
この度、クレイ国へやってきました。
無理やり私へ取り入ったり、声をかけてきたり、接触を試みる人もいなく、街中でもとても快適に過ごせました。
神殿でもわざわざ人払いして下さっていたり、しっかりとした心遣いを示してくれたのですよ。
この国は国民性・神への信仰心どちらも素晴らしいです。

出来たらでいいのですが、この国の神殿の者たちを集めていますので、一度お姿だけでも見せてあげたいのです・・

彼らは本当に心から信仰を捧げている者たちです・・是非この機会にと思いまして。”


その後ろでは、神殿長ならびに神官たちが静かに祈っている。


ルイとジーンとヴァルは不測の事態の対応のためにルナティカの両サイドと後ろで見守っている。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する

タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。 社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。 孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。 そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。 追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

処理中です...