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クレイ国〜神殿〜
しおりを挟む街から徒歩で15分刻ほど、緑が多く見えてきた辺りにそれはあった。
石造りの荘厳な佇まいで、いままで見た神殿や教会とはまた違った雰囲気・・神殿だと頷けるほどのオーラがあった。
”ここは大丈夫” そう感じさせられた。
すぅっと深呼吸して前を向く。
ここからは、ルイとジーンとヴァルは横ではなく後ろを歩く。
愛し子の誇りを持って、神殿域へと歩みを進める。
無意識に胸元で揺れるペンダントを握りしめてしまう。
”神様たち・・私、踏み出すから・・”
そんな私の様子を静かに見守ってくれる”みんな”の温かさを感じながら、”だから大丈夫” とおまじないのように繰り返す。
一歩一歩踏みしめながら進めるたびに、過去の辛い記憶を塗り替える気分で。
目の前に見えている大きな扉の前には、1人の神官が立っている。
出迎えてくれたのだろう・・土の神様が知らせてくれたのかも。
私の視線に気づくと、深くお辞儀をしてくれた・・・やっぱり。
ゆっくり進む私のことを、ただじっと待っていてくれるのが分かって少しだけ緊張が和らぐ。
ルナ「ルイ、ジーン、ヴァル・・私ね、いますごく頑張ってる。やっぱり緊張するし、少しね強張っちゃうんだ・・でも頑張るから、終わったらギュってしてくれる??」
チラっと後ろを振り返って、少し震える声で聞く。
「「「もちろんです」」」
そう言って笑ってくれるみんなが居てくれるだけで心強い。
その言葉にどれだけ救われてきたか・・みんなに頷いて、また歩きだす。
神官?「ようこそお越しくださいました。
愛し子様に拝顔叶いましたこと、大変光栄にございます。
私はクレイ神殿の神殿長エトナと申します。
土の神からの神託にて、愛し子様が足を運ばれるかもしれないので、その心づもりでいるようにと。
足をお運び下さったこと、誠に感謝いたします。
・・・
一応、神殿内では現在私以外は自室へ入っているように申し付けてあります。
ですが、愛し子様には選ぶ権利がございます・・神殿へ入られますか?」
!!??
選んでいいって・・言ってくれた。
いままでは、私が来たら神殿内へ入るのが当たり前というように促されてきた・・
ここは違うんだ・・
ルナ「・・初めてお目にかかります。
今世の愛し子となりました、ルナティカ・シトラスと申します。
他の神官には会えないかもしれませんが・・それでも良ければ入ってもいいでしょうか?」
いまはコレが精一杯だ。
エトナ「もちろんでございます。愛し子様の行動の制限はございません、お好きなようにお過ごし下さいませ。私は案内だけさせていただきますが、質問などございましたらもちろんお気軽にお声がけくださいませ。
後ろのお連れ様方も、同じくご自由にされて構いません。
では、こちらです、階段ですので足元お気をつけて。」
そう言って、重いであろう扉を軽々開けてくれた。
ルイ「お嬢、手を」
ジーン「ルナ様、手を」
ヴァル「俺は後方を」
ルナ「ふふっありがとう」
そうして、いつもの両側をルイとジーンに挟まれて手を繋ぎ、後ろからヴァルが守ってくれるというスタイルで歩き出す。
やっぱりコレが一番落ち着く・・そう思いながら、ギュっと両手を握ってしまう。
2人も前を向いたまま、握り返してくれて同じ気持ちだと言ってくれている様で安心する。
神殿内はやっぱり、どこの神殿とも違った雰囲気。
少し薄暗い・・人がいないことも関係してるかもしれないけど、シーンとしすぎていて怖い・・
あまりキョロキョロする気分にもなれず、ただただ案内されるまま付いていくと、段々と明るくなってきた。
不思議に思いながらも、あまり変わらない光景を眺めていると、一際 ”岩” と思えるような洞窟みたいなところへ辿り着いた。
なんで神殿内に洞窟??と思いながら、入っていくと、中は自然の洞窟そのままの内部に長椅子が並べられて、真ん中の花道の先には祭壇があった。
エトナ「お待たせしました、こちらが我が神殿の祭壇の間になります。正に洞窟そのままで驚きましたでしょう?私も神殿長としてこちらへやってきた当時は、本当に驚きました。
いまでは流石に慣れましたけれど(笑)
こちらは、遥か昔土の神が建国した際に国興しの中心とされた場所で、土の神にお目にかかれる唯一の場所として崇められております。
もちろん、いつでもお目にかかれれるわけではないのですが・・年に1度、岩縁祭といって「いつもお守りいただきありがとうございます。また1年健やかに過ごせますように」と神への日頃の感謝を伝える日なのです。
その日だけは、こちらの祭壇の間へ降臨して下さるのです。
とても慈悲深い神で、皆涙して喜びます。」
なるほど・・
神が人間に姿を見せることはほとんど無いと聞いたけれど、土の神はこちらの国の民が常日頃から深く信仰していることを顧みて、この日だけはと思ったのかなぁ。
少しぶっきらぼうな話し方の時もあるけれど、土の神もとても優しいもんね。
ルナ「そうですか、それは本当に温かいことですね。あの、私も祈りを捧げてもよいでしょうか?」
エトナ「!!?なんと、もちろんでございますっ・・申し訳有りません、年甲斐もなくはしゃぎすぎまして・・祈り時間の制限もございませんし、心ゆくまで滞在していただいて構いません」
とても良い笑顔でそう言ってくれた。
ふふっ・・でも・・こんなに信仰心があるのなら。
ルナ「えっと、もしよろしければ、神殿長と他の神官もこの場にご一緒しませんか?みなさんも祈ることで神もお喜びになると思います」(ニコ)
っっっ
愛し子様の優しい微笑みにやられた瞬間であった。
エトナ「・・・っ、有難い申し出です・・このような機会、滅多にございませんので、ご一緒させて頂きく思います、すぐに集合させますね!」
そう言うと、細長い笛のようなものを取り出して「ピィィィィィ」と細く小さな心地よい鳥の声のような音が響いた。
と、思ったらトタトタトタトタと煩くはない沢山の足音が聞こえてきた。
3分刻ほどで祭壇の間はびっしり人で埋め尽くされた。
ルナ「お、多いですねっ・・想像以上です・・」
思わず顔が引き攣ってしまうのは仕方ないくらいに、どこにこんなに人がいたのか??という人数である。
ルイ「うわ・・まじか・・」
ジーン「収まる人数じゃないわよ??」
ヴァル「一応、警戒を怠らないようにリルにも伝えたよ」
ルイ「そうだな・・」
ジーン「大事ね」
ルナティカは呆然としていた。
なんせリキュア神殿よりも小さく見えたこの神殿に、まさかこれだけの人数の神官が居たとは・・リキュアの倍はいるだろう。
ルナティカ達が呆然としているのを横に、神殿長エトナがルナティカ達の紹介をして、これから一緒に祈る場を設けてくれたことを感謝するように、と伝えている。
誰も声は出さず、一斉に跪き頭を垂れる。
圧巻の光景とは、こういうことを言うのかもしれない・・
しかし、気を取り直して。
ルナ「で、では、祈りを始めましょう。・・皆さん、気をしっかり持って下さいね?」
その合図で一斉に伏せる。
ルナティカは祈り語りかける。
”神様たち、私はどうにか一歩踏み出しました。ご心配おかけしてごめんなさい・・こうやって話しかけるのも久しぶりになってしまいましたけど、私は元気です。
この度、クレイ国へやってきました。
無理やり私へ取り入ったり、声をかけてきたり、接触を試みる人もいなく、街中でもとても快適に過ごせました。
神殿でもわざわざ人払いして下さっていたり、しっかりとした心遣いを示してくれたのですよ。
この国は国民性・神への信仰心どちらも素晴らしいです。
出来たらでいいのですが、この国の神殿の者たちを集めていますので、一度お姿だけでも見せてあげたいのです・・
彼らは本当に心から信仰を捧げている者たちです・・是非この機会にと思いまして。”
その後ろでは、神殿長ならびに神官たちが静かに祈っている。
ルイとジーンとヴァルは不測の事態の対応のためにルナティカの両サイドと後ろで見守っている。
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