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『君と待つ光』
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しかし、そんなこんなで一年生三人は一気に錬金部へ入学してしまった。不覚。
あれよあれよという間に入部届を書くことになり提出され、一応受理する前にも確認を取ったのだ。確認をとるというか、ヴィンセントルートに入るための根回しというか。
「三人とも? この部活、多分来年には消えるし馬術部に行っても……」
「いえ!! もう決めましたので!!」
「アーノルド様の助けになれるなら幾らでも」
「二人以外と仲良くなれる気がしませぇん!」
──三者三様の理由で失敗に終わったが。
まずい。このままではルースのルート分岐が厄介になってくる。何しろ錬金部は俺が作った謎部活である。今でこそ予算をもらって正式に部活として活動しているが、数年前までは同好会の様相を呈していたし、週に何回と決めずに暇だったら遊びに来て色々やる場所と化している。
(真面目なルースは毎日部活に来そうだし、そうなると他のフラグが……)
休日や放課後限定で会える相手やイベントスチルも存在しているわけだし。ちなみに、代表格は狼寮のワイアットだ。
寮も違えば不真面目を気取っているので、部活をサボって放課後デートに洒落込むイベントがある。それが健全街歩きなのだから可愛いものなのだが。いや、めちゃくちゃ可愛い。
「そういう訳で、そろそろ部活に制限かけたいと思うんだよな」
「な、何がどういう訳……てか、なんでここで相談するの」
「よくわかんねーけどいいと思うぜ!」
という旨をセリオンとポチに話してみたところ、反応はまちまちだった。一応部員であるセリオンに好感触であって欲しかったが、そもそもシチュエーションに気を取られており内容についての言及がない。
ちなみに現在深夜。眠れなかったのでセリオンの布団に潜り込んで見れば意外と抵抗されなかったので、腹の上に乗って相談している状況である。
「いいだろ? 三年なんてどうせ朝たいして起きないんだし……なぁポチ」
「うん! 寝る!」
「あ、はい。ごめんな起こして」
俺のベッドは現在ポチが占領していた。
一緒に寝てはいるのだが、抜け出した拍子に起きたらしい。
話を一通り聞いて興味がなかったようで、一旦反応だけして睡眠した。別にガン無視して寝ててもよかったのに律儀なやつである。
「……で、部活に制限かけたいんだよ。毎日毎日部活ってなったら、ルースが負担に思うだろ? 真面目だから、この七年間部活一色ですとかあり得るぞあの子」
「それも青春の形とか言ってなかった?」
「いつ? あ、フィレオフィッシュに適当言ってた時か」
去年くらいに忙しくなり部室に寝泊まりしていたフィレオフィッシュへ投げた言葉が返ってくる。それを素知らぬ顔で避けながら、それはそれこれはこれとセリオンの胸にこてっと頭をのせた。
「ッ……この、体勢には、何か意味が」
「無いぜ」
「この……!!」
セリオンは細身だが、俺より長身だ。
アバロンほどにガリガリという訳でもなく、メキメキと筋トレの成果が出ていて少しずつ頼り甲斐がある体になっている。
ので、物理的に頼らせてもらった。こうでもしないと無視されそうだったので。
「ルースは確かに父が拾ってきた子供だが、うちの下働きでもある。年齢もセリオンと同じだしな、第二の弟が出来たみたいで嬉しいんだ」
「は? ならぼくでも良いじゃん」
「家族なんていっぱいいた方が楽しくないか?」
貧民街ではそうだ。姉代わりの少女が婿を迎えればその相手も兄であったし、逆もある。貧民街の子供達は基本的に同じ孤児院で育つから、みんなが家族でみんながきょうだいだった。
それなら父親のことも認めてやれよという話につながりそうだが、それはそれ、なのである。少なくとも、俺は彼らを真の親だとは思えないだろう。
んなことをつらつらと考えていれば、腰に手が回る。セリオンのものだ。ぎゅう、と体に押し付けられた。
不機嫌そうな顔。くっきりと刻まれた眉間の皺。
怒ってる? なんで。
「……あんたには、唯一ってないの」
「お前以外で?」
何やら怒っているセリオンが聞いてきた言葉に反射で返した。あ、まずい。こういうところが愛の押し付けなんだぞ俺! 反省しろ! ごめんなさい。でも好きだから仕方なく無いか? 好きだからで許されたらこの世にストーカーやヤンデレは存在しない。
おずおずとセリオンを見上げれば、呆気に取られた顔──ついで、猫のような目がふわりとほころんだ。
「……ぼく以外で、だったら?」
「?」
なんで機嫌治ってるんだこの弟は。本当に理不尽ギレがうまい子である。世界で一番お姫様かな。可愛いね。
(よくわからんが、唯一って言われたのが嬉しかった……嬉しかったであってるのか? 一旦機嫌は治ったし)
これで喜んでるフリだったらどうしような。でももうそれは喜んでるふりとかしてる方が悪くない? 俺は悪くない、モーマンタイ!
「お前しかいないから、唯一なんだろ……? お前以外はいないよ、意味ある? その問い」
「ない」
なんなんだ。
よくわからないが、素直な回答はセリオンのお気に召したらしい。
あれよあれよという間に入部届を書くことになり提出され、一応受理する前にも確認を取ったのだ。確認をとるというか、ヴィンセントルートに入るための根回しというか。
「三人とも? この部活、多分来年には消えるし馬術部に行っても……」
「いえ!! もう決めましたので!!」
「アーノルド様の助けになれるなら幾らでも」
「二人以外と仲良くなれる気がしませぇん!」
──三者三様の理由で失敗に終わったが。
まずい。このままではルースのルート分岐が厄介になってくる。何しろ錬金部は俺が作った謎部活である。今でこそ予算をもらって正式に部活として活動しているが、数年前までは同好会の様相を呈していたし、週に何回と決めずに暇だったら遊びに来て色々やる場所と化している。
(真面目なルースは毎日部活に来そうだし、そうなると他のフラグが……)
休日や放課後限定で会える相手やイベントスチルも存在しているわけだし。ちなみに、代表格は狼寮のワイアットだ。
寮も違えば不真面目を気取っているので、部活をサボって放課後デートに洒落込むイベントがある。それが健全街歩きなのだから可愛いものなのだが。いや、めちゃくちゃ可愛い。
「そういう訳で、そろそろ部活に制限かけたいと思うんだよな」
「な、何がどういう訳……てか、なんでここで相談するの」
「よくわかんねーけどいいと思うぜ!」
という旨をセリオンとポチに話してみたところ、反応はまちまちだった。一応部員であるセリオンに好感触であって欲しかったが、そもそもシチュエーションに気を取られており内容についての言及がない。
ちなみに現在深夜。眠れなかったのでセリオンの布団に潜り込んで見れば意外と抵抗されなかったので、腹の上に乗って相談している状況である。
「いいだろ? 三年なんてどうせ朝たいして起きないんだし……なぁポチ」
「うん! 寝る!」
「あ、はい。ごめんな起こして」
俺のベッドは現在ポチが占領していた。
一緒に寝てはいるのだが、抜け出した拍子に起きたらしい。
話を一通り聞いて興味がなかったようで、一旦反応だけして睡眠した。別にガン無視して寝ててもよかったのに律儀なやつである。
「……で、部活に制限かけたいんだよ。毎日毎日部活ってなったら、ルースが負担に思うだろ? 真面目だから、この七年間部活一色ですとかあり得るぞあの子」
「それも青春の形とか言ってなかった?」
「いつ? あ、フィレオフィッシュに適当言ってた時か」
去年くらいに忙しくなり部室に寝泊まりしていたフィレオフィッシュへ投げた言葉が返ってくる。それを素知らぬ顔で避けながら、それはそれこれはこれとセリオンの胸にこてっと頭をのせた。
「ッ……この、体勢には、何か意味が」
「無いぜ」
「この……!!」
セリオンは細身だが、俺より長身だ。
アバロンほどにガリガリという訳でもなく、メキメキと筋トレの成果が出ていて少しずつ頼り甲斐がある体になっている。
ので、物理的に頼らせてもらった。こうでもしないと無視されそうだったので。
「ルースは確かに父が拾ってきた子供だが、うちの下働きでもある。年齢もセリオンと同じだしな、第二の弟が出来たみたいで嬉しいんだ」
「は? ならぼくでも良いじゃん」
「家族なんていっぱいいた方が楽しくないか?」
貧民街ではそうだ。姉代わりの少女が婿を迎えればその相手も兄であったし、逆もある。貧民街の子供達は基本的に同じ孤児院で育つから、みんなが家族でみんながきょうだいだった。
それなら父親のことも認めてやれよという話につながりそうだが、それはそれ、なのである。少なくとも、俺は彼らを真の親だとは思えないだろう。
んなことをつらつらと考えていれば、腰に手が回る。セリオンのものだ。ぎゅう、と体に押し付けられた。
不機嫌そうな顔。くっきりと刻まれた眉間の皺。
怒ってる? なんで。
「……あんたには、唯一ってないの」
「お前以外で?」
何やら怒っているセリオンが聞いてきた言葉に反射で返した。あ、まずい。こういうところが愛の押し付けなんだぞ俺! 反省しろ! ごめんなさい。でも好きだから仕方なく無いか? 好きだからで許されたらこの世にストーカーやヤンデレは存在しない。
おずおずとセリオンを見上げれば、呆気に取られた顔──ついで、猫のような目がふわりとほころんだ。
「……ぼく以外で、だったら?」
「?」
なんで機嫌治ってるんだこの弟は。本当に理不尽ギレがうまい子である。世界で一番お姫様かな。可愛いね。
(よくわからんが、唯一って言われたのが嬉しかった……嬉しかったであってるのか? 一旦機嫌は治ったし)
これで喜んでるフリだったらどうしような。でももうそれは喜んでるふりとかしてる方が悪くない? 俺は悪くない、モーマンタイ!
「お前しかいないから、唯一なんだろ……? お前以外はいないよ、意味ある? その問い」
「ない」
なんなんだ。
よくわからないが、素直な回答はセリオンのお気に召したらしい。
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