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学園というより伏魔殿
しおりを挟む学園は標高ウン百メートルの場所にある。酸素は大丈夫なのだろうか。
4月に入ったというのにまだ雪を残す路肩をずっと目の端に映しながら、曇天の空を見上げていると、今から鬱屈した気分になってくる。
そうこうしている内に頑強そうな塀に護られた城塞のような荘厳な建築物が見えてきた。。
う~わ…天候も相まってマジで伏魔殿ジャン…。
既に数十メートル手前の時点で、入学許可の下りている俺の生体認証は成されており、車が停止すると同時に無人の門扉は開いた。
そのまま緩いスピードでエントランス迄進む。
それにしても何時見てもこの鉄壁の護り…1人の脱走者も逃がすまいって心意気に溢れてるように見えて、最早監獄のようだ。
…ま、実際似たようなもんではあるか。
基本的にここでは長期休暇以外の外出は許されない。
大事なご子息の身に間違いが起こらないようにお護り致します!!
が売りのようだが、内部でバンバン間違い起こしちゃってるから世話ねえんだよなあ…。
白けた気分でいると、何故か校舎の付近に付けられ、そこに待機していたらしき学長と数人の大人に出迎えられた。
待遇が明らかに違う。
前回は即、学生寮の方に行ったから、やはり本格的にルートが変わっているのを実感するな…。
数回遠目から目にした学長の傍にいた数人は、理事長と教師達だった。
ギャヒ…初めて見たわ理事とか。
しかし特に興味も無いので一通りの挨拶を受けてこちらもご挨拶を返して、寮の部屋を見たいと言って解放してもらおうとしたら寮まで先導された。
で、またゾロゾロゾロ…。
1人で良くない?案内役は。
そして、これは確かに有り得る事だったのに、想像するのを忘れていたが、入寮する寮自体が変わっていた。
他国の王族や国賓待遇の留学生、皇室関係者のみが入寮する特別寮。
Villa Noble。
最早dormitoryではない。Villa。
…フーン…。
俺にはぶっちゃけ分不相応な気もするが、現・立場上、他の貴族のクソガキ共とわちゃわちゃさせとくと殿下のご不興を買うって事なんだろうな。
学園側としては出来る限りのセキュリティで婚約者様(笑)の安全と貞操(笑)を守ってくれる気構えのようだ。感心感心。
前回では有り得なかった措置だ。
これで、俺を狙っていると思しき連中も迂闊には手を出せないかもしれないな…。
気持ちが少し軽くなる。
部屋は8階建ての最上階。良いのか俺で?…良いのか、自国の皇太子の嫁さん予定者だもんな。
しっかし広い。
俺の、実家の自室の数倍はあるわ。
…無駄な遊びスペースよ…。
内装や調度品は白を基調として品よくコーディネートされている。
…気を使うなぁ…。茶色とかで良かったのに…。
部屋はリビングと寝室とバスルームとキッチンも備えてある。
何故1人用のベッドがキングサイズ以上にでっかい仕様なのかは謎だが、俺としてはリビングの全面スクリーンが一番嬉しいですね。
「過分なお計らい、ありがとうございます。殿下にもこのお心尽くしの事は必ずお伝え致します。では、もうここで。」
そろそろ寝っ転がりたいな~と思い学長にそう言うと、
「あ、左様ですか。では、」
と、引きあげるのかと思いきや、
「入りなさい。」
と出入口の扉に向かって声を掛けた。
入って来たのはすらりとした茶色い髪の執事服の青年。
穏やかな微笑みがプロフェッショナルを感じさせる。
「これは岩城様専属の付き人にお使い下さい。若いですが気も利いて腕は確かです。」
学長に紹介されたその青年は俺の前に片膝をつき、胸に片手を当てて頭を下げた。
「草鹿と申します。誠心誠意、お仕えさせていただきます。」
草鹿はにこりと柔和な笑みを深くして俺を見上げた。
俺はそれに応えて頷いた。
「…よろしく頼むよ。」
……………。
こ、これか~!
前回在学中にも噂に聞いた事はある、VIP生徒に付くという専属執事~!!
でも要らねえ~~~~~!!!
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