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ホワイト家
ルイス ホワイト
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情けながら僕は、ルイスに着替えを手伝ってもらった。ルイスは嫌な顔1つしない、優しすぎる。
話している内に足の脱力感はなくなり、普通に1人で歩いた。
ルイスが「まだダメだよ!」と焦ったように話していたけど、歩行くらいできる。
洗面所で朝の支度を終え、ルイスと共に父上がいる書斎へ向かった。
書斎の扉目前で、ルイスが僕の袖を引く。ギュンときた。上目遣い可愛いー。
「兄さん、本当に行くのですか?」
「うーん、悩んでる。学園に行かないとダメだけど……」
「ですよね!一生ここで暮らしましょう!」
僕の言葉を遮るようにルイスが話した。瞳がキラキラしていて、めっちゃ嬉しそう。
王立魔導学園はその名の通り、優秀な魔導士を育成するため、様々な国、地域から学生が集まる世界最大の魔導学園だ。
全寮制で、貴族階級と王族は通学する事が一般的。というより、最早強制だ。
それを放棄するのは、ヘタレで国の発展に献身的でない者だと、白い目で見られる。
15歳から冒険者になれる事もあり、普通は12歳から入学するのだが、僕は行っていない。
だから、僕とルイスはイレギュラーなのだ。
けれど、兄として弟との別れは辛いし、もう稼ぎに出よう。ルイスは冒険者になりたいという夢があるしな。僕はその補助でもするか。世間体は知らん。
「そうだね。僕は農地でも耕すよ」
「嬉しいです!僕はここに座って待ってますね」
その場で1回飛び跳ねると、僕より少し長い髪が揺れる。ここまで喜ばれると、嬉しい。
ルイスが軽い足取りで壁際に座る。
お尻が冷えるからやめなさい。と言いたいけど、ルイスは僕に引っ付き虫な所があるから、たぶん無駄だ。
僕がダメ人間であるから、ルイスの優しさに甘えてしまっていた。これから自重しないと、共依存になりそうだ。
「いつもありがとう、ルイス。僕は今日から自立する!」
「やりたくてやった事ですから、兄さんはそのままで良いですよ」
笑顔も天使。この世界に転生して良かったのは、温かい家族ができた事だな。前世では、父親がいないし、母親も家に帰ってこなかったから、僕は今の家が好きだ。母上はいないけどな。
「いってらしゃい!」というルイスに、僕は手を振り返し、書斎のドアをノックする。
「いいぞー」
「失礼します」
中に入り、顔を上げれば、白髪交じりの父親。その頭上にある鹿の頭が目に入った。
なんか、映像が流れてくる……。
第1攻略対象、いやバッドエンド回避対象。
『ルイス ホワイト』は、常時ノアの横にくっついていた依存型ヤンデレ。
四六時中、お風呂もベッドでもだ。夜な夜な乳首を開発されているサイド付き。しかも、ルイスお手製クッキーに媚薬が入っていたり……。
ハッピーエンドは、ノアが廃人になり、スプーン以外持てなくなるニート化。
「これならずっと一緒ですね」と言われて、剥製にされるエンディングもある。
運営は病んでいるのか?
しかも、場所が小屋?だ。
ルイスに強力な媚薬でも盛られたら、弟との禁断ラブストーリーになってしまう。それは避けたい。
「ノア?とうとうお前も狩りに目覚めたかね?」
「……いえ、しかし目覚めました。……僕は魔法を極めたい!そして救いたい!」
自分の、ノアの未来を救済する。
ヤンデレ達にお世話されるのも、お陀仏も、その他諸々も遠慮させて頂く。
僕の人生は僕が決める。そのために魔導士として自活できるようになるんだ。
厚底眼鏡をかけて、陰に隠れながら、勤勉に魔法を学ぼう。
熱い想いが伝わったのか、父親は「おぉ」と感嘆している。
実際、僕は自分の事で精一杯だ。ごめん。
「そうか、もう12時の馬車には間に合わないがな」
「いえいえ、這ってでも行きます」
頼む行かせてくれ。ルイスと僕が、2人で病んでいく姿なんて見たくないよね?
父上は腕を組んで唸った後、1つ咳払いをした。
「どちらにしろ、我が家の馬車を出すつもりだ。あまり見栄えしないのだがな」
「僕を魔導学園に入学させるつもりは、ないのかと思っていました」
「そんなわけないだろう。だから、ノアをここに呼んだのだ」
流石、父上。最後の馬車が出発する1時間前まで熟睡させてくれたのか。
僕の父上は、ぬるく穏やかな思考をお持ちの方で、国へ納める税金は足りていない。けれど国から文句を言われたことはないらしい。
実は高貴な血統だから許されているのでは、と内心思っている。
「特殊製造の馬車でな……。魔力を注ぎ込むと、王都まで走ってくれるのだ」
「完璧ですね。今すぐ乗りたいです」
父上が僕から視線を外す理由が気になるけど、あえて聞かない。
質問したら、決意が揺らぎそうだ。
話している内に足の脱力感はなくなり、普通に1人で歩いた。
ルイスが「まだダメだよ!」と焦ったように話していたけど、歩行くらいできる。
洗面所で朝の支度を終え、ルイスと共に父上がいる書斎へ向かった。
書斎の扉目前で、ルイスが僕の袖を引く。ギュンときた。上目遣い可愛いー。
「兄さん、本当に行くのですか?」
「うーん、悩んでる。学園に行かないとダメだけど……」
「ですよね!一生ここで暮らしましょう!」
僕の言葉を遮るようにルイスが話した。瞳がキラキラしていて、めっちゃ嬉しそう。
王立魔導学園はその名の通り、優秀な魔導士を育成するため、様々な国、地域から学生が集まる世界最大の魔導学園だ。
全寮制で、貴族階級と王族は通学する事が一般的。というより、最早強制だ。
それを放棄するのは、ヘタレで国の発展に献身的でない者だと、白い目で見られる。
15歳から冒険者になれる事もあり、普通は12歳から入学するのだが、僕は行っていない。
だから、僕とルイスはイレギュラーなのだ。
けれど、兄として弟との別れは辛いし、もう稼ぎに出よう。ルイスは冒険者になりたいという夢があるしな。僕はその補助でもするか。世間体は知らん。
「そうだね。僕は農地でも耕すよ」
「嬉しいです!僕はここに座って待ってますね」
その場で1回飛び跳ねると、僕より少し長い髪が揺れる。ここまで喜ばれると、嬉しい。
ルイスが軽い足取りで壁際に座る。
お尻が冷えるからやめなさい。と言いたいけど、ルイスは僕に引っ付き虫な所があるから、たぶん無駄だ。
僕がダメ人間であるから、ルイスの優しさに甘えてしまっていた。これから自重しないと、共依存になりそうだ。
「いつもありがとう、ルイス。僕は今日から自立する!」
「やりたくてやった事ですから、兄さんはそのままで良いですよ」
笑顔も天使。この世界に転生して良かったのは、温かい家族ができた事だな。前世では、父親がいないし、母親も家に帰ってこなかったから、僕は今の家が好きだ。母上はいないけどな。
「いってらしゃい!」というルイスに、僕は手を振り返し、書斎のドアをノックする。
「いいぞー」
「失礼します」
中に入り、顔を上げれば、白髪交じりの父親。その頭上にある鹿の頭が目に入った。
なんか、映像が流れてくる……。
第1攻略対象、いやバッドエンド回避対象。
『ルイス ホワイト』は、常時ノアの横にくっついていた依存型ヤンデレ。
四六時中、お風呂もベッドでもだ。夜な夜な乳首を開発されているサイド付き。しかも、ルイスお手製クッキーに媚薬が入っていたり……。
ハッピーエンドは、ノアが廃人になり、スプーン以外持てなくなるニート化。
「これならずっと一緒ですね」と言われて、剥製にされるエンディングもある。
運営は病んでいるのか?
しかも、場所が小屋?だ。
ルイスに強力な媚薬でも盛られたら、弟との禁断ラブストーリーになってしまう。それは避けたい。
「ノア?とうとうお前も狩りに目覚めたかね?」
「……いえ、しかし目覚めました。……僕は魔法を極めたい!そして救いたい!」
自分の、ノアの未来を救済する。
ヤンデレ達にお世話されるのも、お陀仏も、その他諸々も遠慮させて頂く。
僕の人生は僕が決める。そのために魔導士として自活できるようになるんだ。
厚底眼鏡をかけて、陰に隠れながら、勤勉に魔法を学ぼう。
熱い想いが伝わったのか、父親は「おぉ」と感嘆している。
実際、僕は自分の事で精一杯だ。ごめん。
「そうか、もう12時の馬車には間に合わないがな」
「いえいえ、這ってでも行きます」
頼む行かせてくれ。ルイスと僕が、2人で病んでいく姿なんて見たくないよね?
父上は腕を組んで唸った後、1つ咳払いをした。
「どちらにしろ、我が家の馬車を出すつもりだ。あまり見栄えしないのだがな」
「僕を魔導学園に入学させるつもりは、ないのかと思っていました」
「そんなわけないだろう。だから、ノアをここに呼んだのだ」
流石、父上。最後の馬車が出発する1時間前まで熟睡させてくれたのか。
僕の父上は、ぬるく穏やかな思考をお持ちの方で、国へ納める税金は足りていない。けれど国から文句を言われたことはないらしい。
実は高貴な血統だから許されているのでは、と内心思っている。
「特殊製造の馬車でな……。魔力を注ぎ込むと、王都まで走ってくれるのだ」
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