時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

屋月 トム伽

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第二章 レオンハルト編

闇に溶ける 2

リディアは初めてのパブに興味津々だった。

「オズワルド様、お酒がジョッキで出ましたよ。」
「カクテルが良かったか?」
「せっかく来たので飲んで見ます。」

リディアはジョッキが初めてで、しかも大きいのか両手を添えてビールを飲んでいた。

「パブでは女性が給仕をするんですね。ボーイはいないのですか?」
「パブはウェイトレスがほとんどだな。」

リディアはこちらを見ているウェイトレスを見て、少しムッとしていた。

「…オズワルド様、色目を使わないで下さいね。」
「向こうが勝手に頬を染めるんだ。」

前から思っていたが、リディアは妬きもちをよく焼く。レオン様の時はそう見えなかったが意外と俺の時は気になるらしい。

「レオン様はセシルさんをどうしますかね?」
「どうかな。先に魔法を学ばせた方がいいと思うが…。薬学の魔法でも習わせるのがとりあえずはいいだろうな。」
「オズワルド様も魔法の学校にいきましたか?」
「行ったが…俺は子供の時から使えていたからな。父親も魔法使いだったし…」
「お母様もですか?」

リディアが母親のことを聞いた時どうしたもんかと脳裏をかすった。
母親とはあまり想い出がない。
子供の時から闇を纏っていた俺を気味悪がっていた。別に虐待をされていたわけではないが、あまり関わらなかったのだ。
…闇を触手のように伸ばしオモチャで遊んでいた俺を不気味だと思ったのだろう。
母親は魔法使いではないから余計受け入れがなかったのだ。
これが、闇ではなくヒースやライアのように四大元素の魔法ならそう思わなかったかもしれない。

「母親は普通の人間だったぞ。」
「では、私と同じですね。」
「どうかな、リディアは少し違うな。」

リディアはキョトンとして意味がわからないという風だったが、リディアは怖がらない。
アリシアの時に闇の魔力を見たはずだが、お化けが怖いくせに俺を怖がらなかった。
可愛い娘だと思ったが、リディアはただ可愛いだけではないのだ。
普通の人間なのに、刻の精霊にも愛されているし、どこか不思議だ。

「しかし、リディアは全く酔わんな。」
「お酒に酔ったことはないですよ。」

あっという間にジョッキのビールを飲み干し追加で頼んでいると、魔法騎士がパブに慌ただしく入って来た。
…嫌な予感がする。
まさか俺を呼びに来たんじゃないだろうな。
俺は今デート中だ。

「オズワルド様…あれは魔法騎士じゃないですか?」
「リディア見るな。不吉だ。」
「何が不吉ですか。」

そして案の定、ブラッドフォード公爵様はおられますか。とスタッフに聞いていた。

「オズワルド様、お呼びですよ。ご指名では?」
「他のブラッドフォードかも知れん。」
「何をバカなことを。ブラッドフォードなんて世界でオズワルド様だけですよ。」

行きたくない。ヒースもいるのになんで俺を呼びに来るんだ。

そして、魔法騎士にバレた。

「失礼します。ブラッドフォード公爵様でお間違えないかと。一度講習に来て下さった時にお顔を拝見しております。」
「まぁ、オズワルド様、講師でもしてたのですか?」

追加で頼んだビールを飲みながらリディアが聞いてきた。
しかも、上品にごくごくと飲んどるし!

「はい、臨時の闇魔法の講師としておいでくださいました!」

答えるな魔法騎士よ。他人のフリが出来なくなる。

「オズワルド様、やはりオズワルド様をご指名ですよ。」

「俺は今、妻とデート中だぞ。」
「し、失礼しました!…しかし、ヒース・アスノーム様から応援要請がありまして…!」
「ヒースから?」

ヒースはあの廃墟に行ったはずだ。
あの廃墟に何かあるのか。
セシルが魔水晶を保管していると言っていたし…。

「…わかった。行ってやるがレオン様の邸にいるライア・ディーネを呼んでくれ。妻を邸に送らせる。」
「ライア様にはすでに報告致しまして、ヒース様の元へ向かいました。」

なんでライアまで呼ぶんだ!
俺は要らんだろう!
絶対後で臨時手当てをふんだくってやる!
リディアを送るにしたって、知らない者に二人っきりで送らせたくない。

「リディア、ヒースのいる廃墟はここよりレオン様の邸の方が近い。廃墟についたらライアに送らせるから一緒に行くぞ。」
「…廃墟?お化けは出ますか?」
「知らん。」

リディアは行きたくない、という顔だった。
面倒くさいのかもしれん。
そしてパブを出ると魔法騎士が乗って来た馬がいた。

「馬を借りるぞ。お前は後から来い。」
「はい。馬は一時的に魔法で身体能力を上げていますので早馬になってますが大丈夫ですか?」
「問題ない。」

呼びに来た魔法騎士にそう話しながら、リディアを持ち上げ馬に乗せ、リディアの後ろに俺が乗った。
馬は身体能力を上げているせいか足踏みをするように動いている。
早く走りたいのだろう。

「リディア、少し早いからしっかり掴まっておけ。」
「はい!」

リディアは俺の背中まで腕を回し、しがみつくようにした。
そして、手綱を引き馬を走らせ一気に廃墟へと向かった。


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