光の聖女は闇属性の王弟殿下と逃亡しました。

屋月 トム伽

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押し寄せる後悔

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セレスティアがシュタルベルグ国の王弟殿下ヴェイグに救われてあの闇のシード(魔法の核)から出て来て数日。

あの中にセレスティアがいるなど、想像もつかなかった。それ以上に、あのぞっとする闇のシード(魔法の核)の中に、王弟殿下ヴェイグは迷わずに入っていったのだ。

そして、セレスティアを連れ戻した王弟殿下ヴェイグは、シュタルベルグ国に以前も解放していた離宮にセレスティアを隠して、あれから一度もセレスティアに会わせてくれない。

セレスティアがいなくなり、エリーゼとの浮気がイゼルにもバレてしまい、父上にも報告された。ロクサスにまで、セレスティアとの婚約破棄したことを責められるような目つきで見られる。

針の筵のように、居心地が悪い。

それに、エリーゼとも会えなくなっていた。いや、会わなかったのだ。
毎日の光のシード(魔法の核)を完成させるのに、聖力の使い過ぎで毎日倒れていたエリーゼにイゼルはもう諦めていた。そんなところに、あの闇のシード(魔法の核)の事件が起きた。

そのうえ、セレスティアのように突出した能力もなく、あの場で逃げようとまでしたエリーゼに、今まで寄せていた好意は何だったのだろうかと思えるほど冷めていた。

「……聞いておるのか。マティアス」
「聞いてます。ですが、これでは、戦争のない国盗りです……」

王弟殿下ヴェイグがセレスティアを救い、闇のシード(魔法の核)を鎮めた。
そのおかげで、カレディア国は無事だった。

そこまでは良かった。だが、王弟殿下ヴェイグは、離宮にセレスティアを隠し、カレディア国をシュタルベルグ国の庇護下に入るように通達してきたのだ。

言葉はいいもの、実際はカレディア国をシュタルベルグ国の属国にするというものだ。
それも、シュタルベルグ国の下につくのだ。

「カレディア国が支配されるというものなど、簡単に受け入れられるわけが……」
「だが、あの闇のシード(魔法の核)をたった一人で鎮めたのですぞ……とても、我々が対抗できるとは……そうなると、戦になりカレディア国は滅びます」

シュタルベルグ国は大国。竜騎士団も備えており、血を流さずに抵抗することはできない。

「受け入れるしかない……っ」

苦渋の決断を強いられた父上が、表情を歪ませる。
王族を廃止するわけではない。あくまでも属国なのだ。カレディア国は、今までと変わらないだろう。だが、シュタルベルグ国には、二度と逆らえないカレディア国になってしまうのだ。

「……マティアス。お前を王太子殿下から外す」
「そんなっ……」
「セレスティアと婚約破棄をしたことがそもそもの始まりなのだ。見過ごすわけにはいかん。わかったら出ていけ。しばらくお前は謹慎だ。期間は、決めない。私の気がすむまでだ」
「しかし、父上の御子は私一人で……っ」

父上には、私しか子供はいない。その私が王太子殿下から外れるなど……。
すると、イゼルは厳しい表情のままで父上の前に立った。私を恨んでいるかのように。

「闇のシード(魔法の核)を伝えなかったことやセレスティアのことを教えなかった責を考え、今はこれだけに収めるのです。すぐにお下がりください」

そう言って、執務室に控えているロクサスに下がる様に合図すると、ロクサスが扉を開ける。

「ちなみにエリーゼは、すでに謹慎処分を下しております」

イゼルが、部屋を出ようとした私に冷たく言い放った。
エリーゼなど、もうどうでもいい。

こんなはずではなかった。セレスティアと婚約破棄をして、聖女を解任しただけで、こんなことになるなど……。

茫然したまま、言いようのない後悔が押し寄せたままで、有無も言わさずに謹慎処分を受けて、陛下の執務室を追い出された。



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