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頭が高いですわ 2
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シオンもアベルも数日後には、カレディア国に到着していた。彼らは、ヴェイグ様がロクサスと転移のシードを使う時には、カレディア国に向けて飛竜で向かっていたらしい。
「アベル。怪我をさせてしまってごめんなさい」
「無事でようございました。それに怪我というほどのものではありませんので……セレスティア様は、どうかヴェイグ様の側にいてくださいね」
気遣ってくれるアベルに申し訳なくなるけど、アベルは気にした素振りもなかった。
「ヴェイグ様。アベルは、すごく優しいですね」
「俺の部下だからな」
「ヴェイグ様とは、正反対の好青年です」
どちらかと言うと、ロクサスに似ている。
「では、ドレスをお持ちしたので、すぐにお召しになってください」
シオンが、見計らったように声をかけてくる。
シオンたちが到着するまでの数日間。ヴェイグ様がこの離宮に私を匿ってくれていたおかげで、ゆっくりと二人でパズルをして休めていた。
でも、いつまでもそうしてはいられずに、今夜の晩餐にはカレディア国の陛下たちに招待されている。そのドレスを、シュタルベルグ国から持って来たシオンが用意してくれている。
ワインレッドのような深い赤のドレスに黒いシースルーをあしらったドレス。大人っぽい。
支度を整えて部屋を出れば、盛装姿のヴェイグ様が待っていた。
その姿に見惚れると、ヴェイグ様がそっと近づいてくる。
「綺麗だよ。セレスティア」
うっとりとした顔で言われることが、こそばゆい。こんな気持ちを味わえるなど考えたこともなかった。
「……嬉しいです」
「ああ、では行こうか」
少し照れながらそっとヴェイグ様の腕に手を添えて歩き出した。
隣には、赤を交えた黒を基調とした正装姿のヴェイグ様。
彼と揃いにするように、シオンに赤と黒を指示したのだろう。
「ヴェイグ様。晩餐会に来るのが早くないですか?」
「陛下に少し話がある。約束を取り付けているから問題はない。先に陛下のところに行くぞ」
「私もですか?」
「一人にするわけにはいかんだろう」
「はぁ……」
「そう言えば、御父上たちは、領地か?」
「はい……私がまだ、聖女を解任されたと知らないので来ているかもしれませんけど……王都からは、三日ほどで着きますよ」
本当ならば、すぐに手紙を出すつもりだったのです。
「ご実家にも、ご挨拶をせねばな……意外と緊張するものだ」
「ヴェイグ様が緊張ですか?」
「不思議と緊張している」
この堂々とした人が? そっちの方が不思議ですよ。
そう思い、こてんと首を傾げて歩いているとヴェイグ様が一言呟く。
「誰か来たぞ」
「よくわかりますね……」
二人で足を止めると、後ろから聖女機関の責任者であるイゼル様がやって来ていた。
「セレスティア」
「イゼル様……ご無沙汰しております」
「ああ、思ったよりも元気そうだな」
「……イゼル様は、少しお疲れですか?」
「気苦労が絶えぬ……」
「大丈夫ですか?」
たった数日で、疲れ切っているように見える。
「……少し話がある」
「婚約のことなら、セレスティアではなく俺を通していただこうか」
ヴェイグ様が、厳しい表情で私を塞いだ。少しだけ、空気がピリッとする。
「王弟殿下。お初にお目にかかります。婚約のことは……どうか、陛下とお話しください。私からは、聖女の話です……」
「でしたら、セレスティアには関係のない話だ。彼女は、聖女も解任されている」
「……セレスティアは、大聖女候補でした……その話をしなければなりません……」
イゼル様が、厳しい目つきで私を見る。でも、今更秘密の話などない。
「……ヴェイグ様。イゼル様と少しお話します。どうぞこのまま行ってください。どうせ、陛下の元に行っても、きっと王太子殿下との婚約の話になるでしょうし……私だと陛下たちの不興を買ってしまいますしね」
「図が高いなど言うからだ」
「聞いてましたか……」
どうやら、マティアス殿下の図が高いと言ったことを聞いていたらしい。
「……大丈夫なのか? セレスティア」
表情が暗んだ私を、心配そうにヴェイグ様が労わる。肩に回された手が熱い。
「大丈夫ですよ」
「何かあれば、すぐに呼べ」
「……また、来てくれるのですか?」
「当たり前だ」
「でも……本当に大丈夫です。私は、一人で十分です」
「バカなことを言うな。俺は、見捨てたりしない」
「……はい」
知っている。私のためにあの闇のシード(魔法の核)の中にまで追いかけて来てくれたのだ。
私は、誰も頼らずに強くならなくてはならなかったのに……でも、それが少しだけ心地よかった。目尻に涙が少しだけ浮かんでしまう。
「ヴェイグ様。すぐに追いかけますね」
「ああ」
ヴェイグ様が大事そうに私の身体を抱き寄せて頭にキスをして、名残惜しそうに行った。
「アベル。怪我をさせてしまってごめんなさい」
「無事でようございました。それに怪我というほどのものではありませんので……セレスティア様は、どうかヴェイグ様の側にいてくださいね」
気遣ってくれるアベルに申し訳なくなるけど、アベルは気にした素振りもなかった。
「ヴェイグ様。アベルは、すごく優しいですね」
「俺の部下だからな」
「ヴェイグ様とは、正反対の好青年です」
どちらかと言うと、ロクサスに似ている。
「では、ドレスをお持ちしたので、すぐにお召しになってください」
シオンが、見計らったように声をかけてくる。
シオンたちが到着するまでの数日間。ヴェイグ様がこの離宮に私を匿ってくれていたおかげで、ゆっくりと二人でパズルをして休めていた。
でも、いつまでもそうしてはいられずに、今夜の晩餐にはカレディア国の陛下たちに招待されている。そのドレスを、シュタルベルグ国から持って来たシオンが用意してくれている。
ワインレッドのような深い赤のドレスに黒いシースルーをあしらったドレス。大人っぽい。
支度を整えて部屋を出れば、盛装姿のヴェイグ様が待っていた。
その姿に見惚れると、ヴェイグ様がそっと近づいてくる。
「綺麗だよ。セレスティア」
うっとりとした顔で言われることが、こそばゆい。こんな気持ちを味わえるなど考えたこともなかった。
「……嬉しいです」
「ああ、では行こうか」
少し照れながらそっとヴェイグ様の腕に手を添えて歩き出した。
隣には、赤を交えた黒を基調とした正装姿のヴェイグ様。
彼と揃いにするように、シオンに赤と黒を指示したのだろう。
「ヴェイグ様。晩餐会に来るのが早くないですか?」
「陛下に少し話がある。約束を取り付けているから問題はない。先に陛下のところに行くぞ」
「私もですか?」
「一人にするわけにはいかんだろう」
「はぁ……」
「そう言えば、御父上たちは、領地か?」
「はい……私がまだ、聖女を解任されたと知らないので来ているかもしれませんけど……王都からは、三日ほどで着きますよ」
本当ならば、すぐに手紙を出すつもりだったのです。
「ご実家にも、ご挨拶をせねばな……意外と緊張するものだ」
「ヴェイグ様が緊張ですか?」
「不思議と緊張している」
この堂々とした人が? そっちの方が不思議ですよ。
そう思い、こてんと首を傾げて歩いているとヴェイグ様が一言呟く。
「誰か来たぞ」
「よくわかりますね……」
二人で足を止めると、後ろから聖女機関の責任者であるイゼル様がやって来ていた。
「セレスティア」
「イゼル様……ご無沙汰しております」
「ああ、思ったよりも元気そうだな」
「……イゼル様は、少しお疲れですか?」
「気苦労が絶えぬ……」
「大丈夫ですか?」
たった数日で、疲れ切っているように見える。
「……少し話がある」
「婚約のことなら、セレスティアではなく俺を通していただこうか」
ヴェイグ様が、厳しい表情で私を塞いだ。少しだけ、空気がピリッとする。
「王弟殿下。お初にお目にかかります。婚約のことは……どうか、陛下とお話しください。私からは、聖女の話です……」
「でしたら、セレスティアには関係のない話だ。彼女は、聖女も解任されている」
「……セレスティアは、大聖女候補でした……その話をしなければなりません……」
イゼル様が、厳しい目つきで私を見る。でも、今更秘密の話などない。
「……ヴェイグ様。イゼル様と少しお話します。どうぞこのまま行ってください。どうせ、陛下の元に行っても、きっと王太子殿下との婚約の話になるでしょうし……私だと陛下たちの不興を買ってしまいますしね」
「図が高いなど言うからだ」
「聞いてましたか……」
どうやら、マティアス殿下の図が高いと言ったことを聞いていたらしい。
「……大丈夫なのか? セレスティア」
表情が暗んだ私を、心配そうにヴェイグ様が労わる。肩に回された手が熱い。
「大丈夫ですよ」
「何かあれば、すぐに呼べ」
「……また、来てくれるのですか?」
「当たり前だ」
「でも……本当に大丈夫です。私は、一人で十分です」
「バカなことを言うな。俺は、見捨てたりしない」
「……はい」
知っている。私のためにあの闇のシード(魔法の核)の中にまで追いかけて来てくれたのだ。
私は、誰も頼らずに強くならなくてはならなかったのに……でも、それが少しだけ心地よかった。目尻に涙が少しだけ浮かんでしまう。
「ヴェイグ様。すぐに追いかけますね」
「ああ」
ヴェイグ様が大事そうに私の身体を抱き寄せて頭にキスをして、名残惜しそうに行った。
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