サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第87話 やっぱり採掘

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 現在60階のボス戦。
 相手はミスリルゴーレム。
 能力も7個あったり、本来なら苦戦する相手なんだろうけど。

 「アシュラ一人でなんとかなるじゃん。やばすぎない?」

 「グギャギャ!!」

 【金剛城塞】がまじでやべぇ。
 肉体がゴリゴリのガチガチになってる。
 しかしだ。

 「あいつ、また身体強化の練習サボり始めたな」

 「【金剛城塞】になって、大抵なんとかなってしまいましたからね」

 「ふむ。今度から【感覚狂乱】をもっと強めにぶつけてやるか。まだ慢心するのは早い」

 竜王や他の魔王を片手間に倒せるぐらいになるまで、油断は禁物だぞ?
 人間ってのは思いもよらない方法で牙を向けてきたりするからな。
 とりあえずは妲己に説教してもらおう。

 俺が目線で妲己にお願いすると、心得たとばかりに戦ってる最中のアシュラに近寄る。
 そして、後ろから思いっきり尻尾で叩きつけた。

 「グ、グギャラ!?」

 「キュンキュン!」

 アシュラはミスリルゴーレムとぶつかり、妲己はそれを見てもお構い無しに、魔法を使う。

 「キュンキューン!」

 アシュラは慌てて回避するが、ミスリルゴーレムは避けれず。
 【火炎魔法】の矢というより、バリスタの矢みたいなのが50本程飛んでいく。
 哀れ、ミスリルゴーレム。
 妲己に片手間でやられてしまった。
 ボスなのに。

 そして、妲己はそのままアシュラに近寄り、更に魔法をぶっ放す。
 アシュラは泣きそうな顔になりながら必死に避けていく。
 なんで怒られてるのかも分かってない感じかな。

 「聖母妲己も説教させると怖いと。みんなしっかり覚えておくように」

 周りを見渡して言うと、みんなコクコクと頷く。
 怒らせちゃいけない存在ってのは何処にでもいるもんです。
 グレースとかもな。
 うちの女性陣怖すぎでは?
 テレサもそうなるんだろうか。

 「グギャ! グギャ! グギャ!」

 「キュン!」

 長らく逃げ回ってたアシュラは許しを得たのか、ヘトヘトになりながらも、こちらに戻って来た。

 「身体強化の練習。サボらないように」

 「グギャギャ!!!」

 ビシーっと綺麗な敬礼をして、大きな声で返事するアシュラ。
 敬礼なんてどこで覚えたんだよ。


 「さてさて、宝箱ちゃんは…?」

 「キュンキュン!」

 妲己が開けたそうにしてたから、開けてもらう。
 一応倒したのは妲己になるしね。
 ドロップ品を回収しつつ、見てみると中には魔法書が三冊も入っていた。

 「きたきたきたー!! 土! 土の魔法書はあるかえ!?」

 どこぞの天竜人みたいな喋り方になったが、気にしちゃいけない。
 こっちの世界に来ちゃったから、続きが読めないな。
 向こうの世界に残した唯一の心残りかもしれん。

 魔法書は、土、風、水だった。

 「うひゃー!! 妲己さん流石っす! もう一生着いていきます!!」

 妲己がドヤ顔するのも分かるってんだ。
 まさかの被りなし。中々の豪運。

 「テレサー! 頑張って覚えてくれー!」

 「……レト様のテンションが気持ち悪いぐらい高いの」

 「仕方ありませんよ。ずっと追い求めてたものですし。採掘もしたがってましたからね」

 グレースとテレサが引いてる気がする。
 でも、仕方ないよね。
 これで採掘出来るんだもん。

 「レト様。ここに来るまでに、かなりの量を既に入手してあります。もう満足では?」

 「むぐっ。それもそうなんだけど」

 もう、木箱の中に大量にあるんだよね。
 鉄鉱石やらミスリルも。
 金銀、宝石はもう少し欲しいかな、なんて。
 それに、アダマンタイトとかオリハルコンとかヒヒイロカネとかは見つかってないしー。

 「では、それらがレト様の【魔眼】で見つかったら採掘するという事でよろしいですね?」

 「えー、どうせなら他のもついでに……」

 「いつまで経っても先に進めないんですよ!!」

 「ひゃ」

 背筋ピーンですわ。
 さっき怒らせたらダメな相手が云々と言ったばっかりなのに。
 人の振り見て我が振り直せ。
 なんて素晴らしい言葉でしょう。
 次から気を付けます。

 「まぁ、最初の方はテレサの練習の為にも採掘する事は許可しましょう。【土魔法】で、坑道から採取するのは中々難しいと聞きますからね」

 「グレースさん!!」

 これぞ飴と鞭!
 グレースは俺の動かし方というのが良く分かってらっしゃる。
 そうと決まれば善は急げ。
 テレサに魔法を覚えて貰おう。

 「じゃ、テレサが魔法覚えてる間に、61階に進みますか」

 どうせまた噴火するんだろ。
 階層進む度に噴火して、1日待たされるんだ。
 無理して進む事も出来るけど、なんか割に合わないんだよね。

 「で、案の定噴火と。また1日潰れるな」

 「テレサが魔法を覚えないといけませんし、丁度良いでしょう。いつも通り休憩で?」

 「うん。テレサには悪いけど、他のみんなは自由時間で」

 「俺はまた木箱作っとくんだぞ!」

 「そうだな。頼むよ」

 鉱石やらを入れる木箱はウェインが生産スキルを使って作ってくれてる。
 森に木はいっぱいあるしな。
 乾燥させるのも魔法使えば簡単だし。

 さて、俺は前世知識の書き出しでもしようかな。
 マジでそろそろ記憶が薄れてきてる。
 大体役に立ちそうな事は書いたと思うけど。

 みんなから意見を聞いて、何があったら便利か。
 色々言われるんだけど、前世ならある程度再現出来るものばっかりだったんだよね。
 それを、おおまかに書き出して、いつかウェインに良い感じに作ってもらう。
 人任せにする気満々だけど、俺はアイデア係だから。
 後はみんなにお任せってね。
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