サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第128話 合同探索

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 「ウェインー。このパーティーメンバーの死体はいるかー?」

 「うーん。初めてのやる事だからあんまり不確定要素は入れたくないんだぞ。純度の高い素材同士でやるとどうなるかも気になるし…。取っておいてほしいぞ! 純度の悪い素材のキメラも作ってみたいんだぞ!」

 アグネスを焼死体にする事を阻止してから、少しして。
 俺はパーティーメンバーを影で操り、同士討ちごっこをさせて、最後には普通に殺した。
 中々面白かったな。今度何人か大勢拉致って、劇をするのも面白いかもしれん。
 俺の影操作能力が試されるな。

 で、死体はどうするかウェインに聞いてみたんだけど、一応取っておくらしい。
 まぁ、せっかく超越者同士のキメラが出来るのに、わざわざ弱いのを混ぜる必要はないわな。

 「先に純度が悪い素材で実験してみるんだぞ。なるべく超越者の素材では失敗したくないんだぞ」

 って事なので、後でテレサに冷凍保存しておいてもらおう。



 「あっけなく、二人の超越者とのお遊びが終わっちゃったな。楽しみにしてた分、ちょっと落差がひどい」

 「ゴギャギャ」

 「いつもの模擬戦とはちょっと違った感じで楽しかったの」

 アシュラは消化不良気味だが、テレサはそれなりに楽しめたらしい。
 まぁ、魔法の使い方とかは勉強になったな。
 早速レポートに纏めてたみたいだし、あとで見せてもらおう。

 「次はどっちの超越者が来るかなぁ。メインディッシュは竜人だから、出来れば暗殺者風の奴に来て欲しいけど」

 「こればかりはなんとも言えませんね。私としては早く戦いたいのですが」

 間髪入れずに次とか来てくれないかな。
 デスターに続いて、アグネスも戻らないとなると警戒されるかもだし。
 うむむむ。唸れ! 異世界ご都合主義! 俺に楽をさせてくれたまえ!!

 俺は馬鹿な事を考えながら地上の迷宮付近に戻り、次の獲物が来るのを待った。



 ☆★☆★☆★

 冒険者ギルドの会議室にて。
 厳しい顔をしたギルドマスターとサブマスター。
 それに急遽呼び出された、S級冒険者の2名と書記の人間が顔を合わせつつ、現状の確認をしていた。

 デスターとアグネスのパーティーが、迷宮から戻って来なくなり、1か月が経過した。
 最初の1.2週間は長めに迷宮に入ってるだけだと、楽観視していたが日が経つにつれて、不安になっていき、とうとう緊急会議を開く事になった。

 「それで? デスターの犬っころとアグネスのババァが戻ってこないって話だろ? 街中でもちょっと噂になってるぜ」

 切り出したのはS級冒険者の一人のカラミス。
 口は悪いが、戻って来ない二人の冒険者と仲が良く、かなり不機嫌そうな顔をしている。
 すぐにでも迷宮に探しに行きたかったのだが、現在は異常事態として、冒険者ギルド側が迷宮に入る事を自粛するように呼びかけているのだ。

 強制ではないため、無視して入る事は出来るが、S級冒険者となると、この異常事態にも敏感になる。逸る気持ちを抑えてギルドの招集に応じ、会議に参加している。

 「やはり、まだ帰ってきていないのか」

 言葉少なめに、威風堂々と発言するのは竜人のマスカード。
 性格は真面目で、ギルドからの評価も高い。
 更に、ラビリントス最強とも言われており、みんなから一目置かれている。

 「ああ。戻って来ていない。流石に一カ月以上も戻って来ないのはおかしい。長期間入るなら事前報告があるしな。しかも、二人とも休暇明けだった筈だから、初めからそんなに無茶はしない筈なんだ」

 二人の言葉を受けてギルドマスターは返答する。
 前のギルドマスターが不正行為をして、新たに昇進してから数年。
 つつがなくギルドを運営してきたが、就任してから初めての事件がこんな大事だとは。
 まだそんなに大きな事件を差配した事もなく、ギルドマスターは力不足を感じていた。

 「それでどうすんだよ。いつまでも迷宮自粛させとく訳にはいかないだろ?」

 「うむ。何もしないままという訳にはいかんのでな。二人のパーティーにギルドから合同で依頼したい」

 「協力して原因を究明してこいという事か?」

 「その通りだ。何も原因が分かってないため、かなり危険な任務になるとは思うが…」

 「仕方ねぇだろ。そこらの奴にやらせる訳にはいかねぇしな。だが、一つ条件がある。パーティーメンバーは拒否したら連れて行かねぇぞ? あいつらに一緒に死にに行くかも知れねぇ依頼は受けさせされねぇ」

 「我も同じく」

 パーティーメンバーが行く行かないに限らず、二人は依頼を受けてくれるらしい。
 最悪二人で行く事になるかもしれないが、S級二人。しかも、片方はラビリントス最強だ。

 「それで構わない。なんとか原因を探してきてくれ。何があるか分からないからな。不審な点があったらすぐに引き返してきてくれ」

 それから二人は冒険者ギルドを後にして、パーティーメンバーに今回の依頼の説明。
 危険を承知で同行する事になり、あっという間に準備を整え迷宮に出発した。

 「カラミス。斥候全般は任せるぞ」

 「おうよ。これだけはマスカードのオジキには負けねぇからな!」

 こうして、二つのS級パーティーの合同探索が始まった。
 果たしてこの選択で良かったのか。
 それは終わってみるまでは分からない。
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