サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第六章 ゆるり旅

第174話 キンブル

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 『名前  キンブル
  人種  エルフ
  Lv  63
  【ユニークスキル】
  必中
  【スキル】
  弓術Lv5
  身体強化Lv4
  精霊魔法Lv3
  植物学Lv4
  体術Lv2
  解体Lv2
  詐術Lv1
  性技Lv5                    』

 「生きてるエルフを初めて見たぜ」

 アギャインは生前エルフだったらしいけど。
 今は唯の骨爺だし。耳もないんだもん。

 「能力は微妙? なんか怪しいスキルもあるし」

 「でもユニークスキル持ちなんですよね?」

 【必中】。そのままだけど。
 必ず当たるみたい。いや、そう考えると強いか。
 どこに石を投げても絶対当たるって事でしょ? 避けたりしても追尾してくるのかな? ちょっと気になってきた。

 「うぅ…。そこに誰がいるのかい?」

 「で、噂の精霊魔法もしっかり覚えてると」

 「アギャインに聞いていた通りですね」

 何かエルフの男が喋った気がするけど、とりあえず無視。今はお前の査定の時間だ。

 「聞こえる…聞こえるぞ…。これは間違いなく美人の声だ…。まさか女神様が助けに来てくれたのでは…」

 「あれ? こいつなんか足についてるな?」

 「ですね。なんでしょう」

 他の捕えられてた人間にはついてなかったのに、エルフには足環の様な物がついている。
 魔道具かしらん? ウェインが喜びそうだ。

 「どうせここで死ぬなら美人に看取られて死にたい…」

 「魔吸の足環だって。すげぇ。ウェインが原理すら分からないから作れないって言ってた代物じゃん」

 「古代の遺物ですかね?」

 俺が結構警戒してた魔道具なんだけど。
 ウェインにも作り方は分からないって言ってたから安心してたけど、やっぱり存在するんじゃん。
 俺に仕掛けられる前に見つけれて良かったぜ。
 あいつに渡しておけば、何かしらの対抗策を立ててくれるだろう。

 「うぅ…。体中が痛い…。誰かから病気を貰ってしまったのかも…」

 「ふむ。とりあえず眷属にするか」

 「あ、結局するんですね」

 まぁ、せっかくのユニークスキル持ちだし。
 それに部屋の片隅で俯きながらの独り言を聞いてる限り面白そうかなって。
 こいつ、俺の予想が正しければ相当馬鹿で面白い奴だぞ。

 「い、痛い! 何をする!? はっ!? 女神!?」

 うつ伏せで倒れているエルフを無理矢理仰向けにして口を開ける。
 【感覚狂乱】を切ってないから、激痛だろうけど今は耐えてもろて。調整するのも面倒だし。

 痛みに悶えながらも、こちらをチラッと見たエルフは何を勘違いしたのか、俺を見て女神って言いやがった。百歩譲ってグレースだろうが。
 髪は長いとはいえ、顔の造形はどこからどう見ても男だろう。

 「女神レト様。やはり【感覚狂乱】は調整した方が良いのでは? 人間種を【眷属化】させる時は体が作り変えられるみたいですし、何か異変が起こるかもしれません」

 ほら。グレースが半笑いで俺の事を女神扱いし始めた。自分が対象じゃなかった事に怒ってるんではなかろうか。

 しかし、言ってる事はもっともだな。
 あれは見た目だけはやばいし、何か異変があったらその方が面倒か。

 「なら、よいしょっと」

 少しだけ集中して範囲の調整をする。
 こいつだけ範囲外にするのは、かなり繊細な作業なんだけど、俺も慣れたもの。日々の特訓のお陰です。

 「むっ? 急に体が…」

 「はい。あーん」

 「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁああ!!」

 「容赦ないですね」

 一々説明するのも面倒だし。とりあえず眷属にして、後から説明すれば良いだろう。
 ふはははは! 俺に目を付けられた時点で人権などないのだ!! 何せ俺は魔王だからな!

 「さて、この間に魔物の牢屋もチェックしてくるかね」

 「では、私はエルフを見張っておきますね。それにレト様。探知してますか? 何かが向かってきてるようですが」

 「むん? そうなの? 面倒だから探知してなかったや。強いのかね」

 「【シックスセンス】での反応的に大した相手ではないかと。私がついでに処理しておきます」

 「出来れば生け捕りで。【感覚狂乱】の中で動けるって事は超越者だろ。もしかしたらユニークスキル持ちかも」

 「かしこまりました」

 その向かってきてる相手が来るまで待っててもいいけど。グレースが大した事ない相手だって言ってるし、どうでも良いだろう。
 さっさと魔物を確認しに行く方が有意義ってもんだ。




 「いぎゃあぁぁぁ!」

 「まだなのか」

 「うるさいです」

 魔物確認して戻ってきました。
 特にこれといって心を惹かれる魔物は居なかったので、僅かばかりの経験値に変換しておいた。

 で、戻ってきたけど。エルフの眷属化はまだ終わってなかった。叫び声がやかましい。
 それからグレースが踏みつけてる相手。
 騎士っぽい格好の男が半殺しになっていた。

 「これはどうなさいますか?」

 「殺してウェインにあげて」

 ただの超越者だった。ユニークスキル持ちじゃなかったのでウェインにあげよう。
 キメラの材料にするでしょう。

 「そういえば、今回のキメラ作りは難航してるみたいだな」

 「素材選びに悩んでるみたいですよ。今回はアギャインの骨も積極的に使っていくみたいで、他の素材に合うのが中々見つからないみたいです」

 魔王の骨だもんなぁ。
 それに合わせるとなると、生半可な素材じゃダメだろう。

 「って事は俺も素材提供を求められる可能性があるのか」

 痛いから出来ればやめてほしいんだけどな。
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