未冠の大器のやり直し

Jaja

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第2章 夏の始まり

第41話 名門

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 「はい、改めてベスト4進出おめでとう。余韻に浸りたい所やけど、もう明後日が試合やからな。しっかり調整していくで」

 なんか最近、監督は関西弁がデフォルトになってきてるな。
 まぁいいんだけど。

 「注意するのは、何といっても3年の菊池やな。160キロのストレートにカットボールとシュートの手元で動かしてくるムービング系。それにチェンジアップやな。三振も取れるし、打たせて取る事も出来る万能なピッチャーや」

 メジャーリーガーみたいなスペックしてやがる。
 これ、プロでも打てるんですか? 
 無理でしょうよ。

 「弱点はコントロールやな。四隅に投げられる程のコマンド能力はない。ビデオ見ても結構逆玉投げてる。まぁそれが良い感じに荒れて、的絞らせへんねんけどな」

 弱点が弱点じゃない。

 「バッターはレオンみたいなバケモンはおらんけど、全体的に長打を打てる選手を揃えてきとる。1~8番全員がホームラン狙える打線やな」

 いつしかのプロの打線みたい。
 とりあえずホームランバッター並べました、みたいな。
 こんなに選手揃えてて、この世代甲子園行ってないって西東京どうなってんの?

 「先発は三井な。一筋縄ではいかん相手やけど、まぁ頑張ってくれや。打線は失投を見逃すな。偶に、変化球が抜けてくる事あるからな」

 球数投げさせても2年生の菊池の下位互換みたいな選手いるし、霊山もいるしなぁ。
 油断してくれないもんか。





 「はい、こちら! 特注マシンのゼウスです! 試合まで時間がないけど目を慣らすぐらいは出来ると思います。頑張って下さい」

 用意したのは、特注のピッチングマシン。
 なんと165キロまで出ます。
 出力にリソース振りすぎて変化球は投げてくれないけどね。

 「じゃあ、キャプテンから順番に打席立って下さーい! とりあえず10球ずつ交代で!」

 俺は次の試合出る予定は無いのでみんなのサポートに回る。
 勿論、ブルペン入ったりして準備だけはするけど、松美林で結局1人で投げ切ってしまったからなー。肘が若干熱持ってるのよね。

 「はやっ! これが160キロ? 人間が投げていいボールじゃないだろう」

 「どひゃー! 掠るので精一杯! これに緩急混ぜられたらきついよ」

 対応出来てるのは、キャプテンとレオン、後隼人ぐらい。
 後は当てにいってるだけでまともに前に飛ばせていない。

 「無理に当てにいくなよー! スイング崩れるぞー!」

 マシンばっかりやって、マシン慣れされても困るしな。
 ある程度の所で辞めさせないと。目的は目を慣らさせて160キロを体感させる事だし。
 後は三井先輩に疲れ残らん程度にバッピしてもらって仕上げかな。
 俺がやってもいいけど、俺のフォームだとタイミングの取り方とかが違うからあんまり練習にならないんだよなぁ。
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