異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第5章 クトゥルフ再始動

第108話 開店準備

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 ☆★☆★☆★

 「旦那様。商人のレイモンドという人間の使いが訪ねておりますが」

 「むっ」

 執務室で書類仕事をしてると執事が部屋に入って来た。以前、国境視察の帰りに助けられた行商の一行の使いがやって来た。
 なんでもそろそろ商会を我が領でオープンする為に、商品の売り込みをしたいそうで、都合の良い日を訊ねに参ったみたいだ。

 私は三日後なら予定を空けられると使いの人間に告げて、執事にもその日の予定を調整してもらう。

 「よろしかったのですか? 危ないところを助けられたとはいえ、ただの商人ですぞ? 旦那様の予定を空ける程ではないと思いますが」

 「礼をしたいという気持ちもあるがな。それよりも気になるのは、あの商人が抱えておる護衛だ。一介の商人が抱えるには強すぎる。我が騎士団も決して精強とは言えんが、あの者の護衛は強さが違いすぎる。誼を通じておって損はあるまい。もしかしたらとんでもない商人かもしれんぞ」

 我が国、フレリア王国には隣に敵国の帝国がいるが、ここ10年程は戦争がなかったゆえに、騎士団の質が年々落ちておる。
 王直属の騎士はまだしも、地方の騎士団ではオークにすら勝てない事もザラだ。
 現にこの前は危ない所だった。あの商人が通り掛からなければ間違いなく犠牲が出ていただろう。

 「それほどですか?」

 「ああ。特に護衛団を指揮しておった女。あれは我が国の騎士団長よりも強いかもしれんぞ」

 「まさか…」

 あの女は他の護衛よりも一際強かった。
 それが当たり前のようにあの商人に付き従っておるのだ。気になっても仕方ないだろう。
 出来れば私が召し抱えたいぐらいだが…。
 流石にそれは許されないだろうな。あの商人が優秀な護衛を手放すとは思えん。
 強硬策に出るとあの護衛の刃がこちらに向く事も考えられる。
 穏便にまずは商売を通じで誼を深める方が良いだろう。

 「これで何か面白いモノでも売りに来たら儲けものだな」

 「あまり期待されたら商人が酷ですよ」

 「それもそうか」

 しかし私はあの商人を甘く見ておった。
 あんな魅力的な商品の数々を持ってくるとは。


 ☆★☆★☆★

 「ボス。三日後だそうです」

 「あいあーい」

 そろそろ店舗が完成するって事でね。
 伯爵さんにアポを取りに行ってもらってたんだけど。流石にいきなり押しかけるのは迷惑だし。
 三日後とは。思ったよりもフットワークが軽い人なのかね。貴族なんて平気で一ヶ月とか待たせると思ってたや。

 「何を売るつもりで?」

 「とりあえず転送箱は絶対。これは食い付くに決まってるからね。後は高貴な人用に作ったリバーシ。便利魔道具も軽く見せてみるかな。魔法が使える貴族には要らないだろうけど、あの伯爵が下々の事を考えてる善良貴族なら、使用人の為に便利魔道具に興味を持つかもしれん」

 既に地下室は完成してるので、カタリーナが商会に来てる。オープンの準備を手伝ってもらってます。

 で、売り込むモノの選定をしてるんだけど。
 転送箱は絶対。
 ボードゲームはとりあえずリバーシだけを持って行く予定だ。
 一気に用意してもルールとかがあって浸透しにくいかと。まずは簡単なリバーシでボードゲームの楽しさを味わってもらってから。
 徐々にボードゲームを売り込んでいこうかと。

 魔道具は興味ないかなと思ったんだけどね。
 生産者を軽視してる世界だし。でも秘密基地でみんなの普段の生活を見てると、結構使ってるっぽいんだよね。魔法を使える奴でも。
 まぁ、簡単な火を付けるとか、魔法を使うより便利だからな。

 これのターゲットは使用人だ。
 この世界は火を付けるのも一苦労な世界だ。
 なんか火付け石? そんなんでカチカチやらないといけないらしい。綺麗な水も井戸から一々汲んできたりと面倒な事だらけ。

 でもこの魔道具があれば簡単に出来る。
 魔石の補充は必要だが、この魔道具はゴブリン程度の魔石で稼働出来る。
 一回この便利さを味わうと抜け出せないと思うんだよなぁ。

 「ボスが家電魔道具と言っていたのは、まだ売り出さない予定ですか?」

 「あれはまだ早い」

 異世界転生者ならリバーシやトランプ並みにマストで広める義務があるもの。
 それは、便利な家電だ。
 冷蔵庫に洗濯機、照明系やエアコン、トイレなんかだな。

 「いきなり出し過ぎると間違いなくパンクする」

 「それはそうですね」

 うちは人員がまだまだ少ないんだ。
 戦闘関連ならどうにかなるが、商人や文官系の仕事をする人間は育てるのに時間がかかる。
 まずは軽いジャブ程度にしておいて、色々な作業に慣れておかないと。

 「人員の補充はどうなんですか?」

 「マーヴィンとアハムに任せてる」

 現在、このデッカー領のスラムに居着く裏の人間の制圧準備中だ。レーヴァンとラブジーのNo.2同士が協力してやってくれてます。
 最初はアンジーに任せる予定だったんだが。
 伯爵に顔が割れてるし、万が一見られたら面倒だって事で。今は秘密基地の方に戻って、ローザとキャッキャしてる頃だろう。

 「まぁ、そっちはゆっくりで良いよ。人員を消耗しないように言ってあるし。あの二人なら大丈夫だろう」

 頭の悪いラブジーのボスを支えてたアハムと、アンジーが長年右腕にしていたマーヴィン。
 お手並み拝見といきましょうぜ。
 
 
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