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素直になって
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「ねえ、恭介くん」
「何だい?」
「死んじゃったピンキーちゃんとヒレ吉くん、どこにお墓があるの?」
「ああ、このアパートの1階の、人目につかない所かな」
「一度、手を合わせに行きたいの。いい?」
「いいよ」
恭介は立ち上がり、さよりをアパート1階のメダカ達を埋めた場所に案内した。
人目につかない、土のある場所に埋めたものの、埋めた所が分かるように、そして供養の意味も込めて、水槽に入れていた砂や小石を埋めた場所の周りに軽く敷き詰めておいた。
「ここ?」
「ああ、ここだよ。ピンキーやヒレ吉だけじゃなく、パンダもここに埋めたんだ。ここに来ると、一緒に居たときのことを想い出してさ、涙が出てきちゃうんだよなあ」
さよりはその場でしゃがみ込み、目を閉じて手を合わせた。
しばらくして、恭介の方を振り向いたさよりの目には、ちょっぴり涙ぐんでいた。
「3匹とも…天国で元気にしてるかな?」
「ああ、ここにいた時のように、また3匹で餌の取り合いしたり、追いかけっこしたりで、毎日楽しく過ごしていると信じたいな」
恭介は、自分は泣くまいと思い、淡々とふるまおうとしていたが、さよりに語りかけるうちに、自然に記憶が蘇り、涙が流れてきてしまった。
「恭介くん、泣いてる?」
「ば、バカ言うなよ」
「だって、頬のあたり、涙、流れてきてるよ。目だって赤いし」
「あのなあ、俺は、もう、大丈夫だから!たえ子とジョリーが居れば十分だから。気になんかしてねえよ!」
恭介は、さよりの方を振り向き、キッと睨みつけた。
「嘘つかないで。恭介くん。私、嘘付く人、大嫌い。」
「さ、さより…」
さよりは、睨みつける恭介に対し、毅然とした表情で語りかけた。
「悲しい気持ちをごまかさないで、今の本当の気持ちをごまかさないで。悲しいときは悲しい、で良いのよ。私は、恭介くんの素直な気持ちを受け止めるから」
その瞬間、恭介の両目から、とめどなく涙が溢れ、恭介の頬を伝っていった。
「俺は…俺は…可愛いメダカ達に、何も、出来なかった。悔しくて、そして寂しくて」
「恭介くん!」
さよりは恭介に近づき、両手を恭介の肩に添えた。
そして、恭介の背中に、顔をうずめた。
夕暮れ時、静寂が覆う中、二人はじっとその場で動かず、メダカ達の墓を眺めていた。やがて恭介は立ち上がると、さよりも一緒に立ち上がった。
「ありがとう、さより。何と言えばいいかわからないけど、俺、自分の素直な気持ちと向き合えて良かった。そしてさよりの言葉が嬉しかった」
「良かった」
恭介は涙を拭うと、さよりはハンカチを手渡した。
「さよりも泣いてるじゃん。自分の涙を拭くのに使いなよ」
「じゃあ、恭介くんが使ったら、私に渡して。私も自分の涙を拭くから」
そういうと、さよりは恭介にポンとハンカチを手渡した。
恭介がハンカチで涙を拭うと、さよりに手渡した。
さよりは、恭介の使ったハンカチで涙を拭った。
恭介は、少し気分が落ち着くと、さよりの顔を見つめた。
「もう夕暮れ時だな。お腹、空いただろ?何か作ろうか?オムライスでよければ。ササッと作るよ」
「ええ?良いの?わあ~食べてみたい、恭介くんの手作りオムライス♪」
「じゃあ、すぐ用意するから。」
恭介はニコッと笑うと、さよりもニコッと笑い返した。
二人はどちらからともなく手をつなぎ、夕陽が差し込み、赤く染まったアパートの階段を一緒に駆け上がっていった。
「何だい?」
「死んじゃったピンキーちゃんとヒレ吉くん、どこにお墓があるの?」
「ああ、このアパートの1階の、人目につかない所かな」
「一度、手を合わせに行きたいの。いい?」
「いいよ」
恭介は立ち上がり、さよりをアパート1階のメダカ達を埋めた場所に案内した。
人目につかない、土のある場所に埋めたものの、埋めた所が分かるように、そして供養の意味も込めて、水槽に入れていた砂や小石を埋めた場所の周りに軽く敷き詰めておいた。
「ここ?」
「ああ、ここだよ。ピンキーやヒレ吉だけじゃなく、パンダもここに埋めたんだ。ここに来ると、一緒に居たときのことを想い出してさ、涙が出てきちゃうんだよなあ」
さよりはその場でしゃがみ込み、目を閉じて手を合わせた。
しばらくして、恭介の方を振り向いたさよりの目には、ちょっぴり涙ぐんでいた。
「3匹とも…天国で元気にしてるかな?」
「ああ、ここにいた時のように、また3匹で餌の取り合いしたり、追いかけっこしたりで、毎日楽しく過ごしていると信じたいな」
恭介は、自分は泣くまいと思い、淡々とふるまおうとしていたが、さよりに語りかけるうちに、自然に記憶が蘇り、涙が流れてきてしまった。
「恭介くん、泣いてる?」
「ば、バカ言うなよ」
「だって、頬のあたり、涙、流れてきてるよ。目だって赤いし」
「あのなあ、俺は、もう、大丈夫だから!たえ子とジョリーが居れば十分だから。気になんかしてねえよ!」
恭介は、さよりの方を振り向き、キッと睨みつけた。
「嘘つかないで。恭介くん。私、嘘付く人、大嫌い。」
「さ、さより…」
さよりは、睨みつける恭介に対し、毅然とした表情で語りかけた。
「悲しい気持ちをごまかさないで、今の本当の気持ちをごまかさないで。悲しいときは悲しい、で良いのよ。私は、恭介くんの素直な気持ちを受け止めるから」
その瞬間、恭介の両目から、とめどなく涙が溢れ、恭介の頬を伝っていった。
「俺は…俺は…可愛いメダカ達に、何も、出来なかった。悔しくて、そして寂しくて」
「恭介くん!」
さよりは恭介に近づき、両手を恭介の肩に添えた。
そして、恭介の背中に、顔をうずめた。
夕暮れ時、静寂が覆う中、二人はじっとその場で動かず、メダカ達の墓を眺めていた。やがて恭介は立ち上がると、さよりも一緒に立ち上がった。
「ありがとう、さより。何と言えばいいかわからないけど、俺、自分の素直な気持ちと向き合えて良かった。そしてさよりの言葉が嬉しかった」
「良かった」
恭介は涙を拭うと、さよりはハンカチを手渡した。
「さよりも泣いてるじゃん。自分の涙を拭くのに使いなよ」
「じゃあ、恭介くんが使ったら、私に渡して。私も自分の涙を拭くから」
そういうと、さよりは恭介にポンとハンカチを手渡した。
恭介がハンカチで涙を拭うと、さよりに手渡した。
さよりは、恭介の使ったハンカチで涙を拭った。
恭介は、少し気分が落ち着くと、さよりの顔を見つめた。
「もう夕暮れ時だな。お腹、空いただろ?何か作ろうか?オムライスでよければ。ササッと作るよ」
「ええ?良いの?わあ~食べてみたい、恭介くんの手作りオムライス♪」
「じゃあ、すぐ用意するから。」
恭介はニコッと笑うと、さよりもニコッと笑い返した。
二人はどちらからともなく手をつなぎ、夕陽が差し込み、赤く染まったアパートの階段を一緒に駆け上がっていった。
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