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このままで良いの?
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翌日、恭介のスマートフォンから着信バイブが鳴った。
早速着信を調べてみると、さよりからの電話だった。
さよりが昨日見せたそっけない態度が引っかかっていた恭介は、一体何を言いたいのか?まさか、最悪の事態が?と思い、緊張しながらさよりに電話をかけた。
「恭介だよ。俺に電話した?」
「うん。昨日はごめん、少し取り乱してしまって」
「どうしたの?体調が悪いのか?それとも、気分が乗らないのか?」
「結婚についてだけどさ。ちょっと立ち止まって、考えてみたいの。恭介くんには悪いんだけど、時間がほしいの」
「え?どういうこと?ついこないだまで、結婚式をとても楽しみにしてたのに」
「とにかく、今は考える時間がほしいの。ごめん」
「何があったんだ?何か思い悩むことがあったの?それは、俺には言えないことなの?」
「ううん、言うよ。怒らないで聞いてくれるなら、言うよ」
「怒らない?何で?俺が怒る?黙っていた方がお互い気まずくなって、イライラすると思う。だから、気にしないで、言ってほしい」
しばらく静寂が流れた後、さよりが口を開いた。
「私、恭介くんに出会う前に、付き合ってた人がいたの。学生の時、同じサークルの先輩後輩で、お互い好きになって、社会人になっても、ずっと付き合ってた。2年前にその人が海外勤務になって、その後全く音沙汰が無くなったから、私達、もう別れたと思ってた。でも…」
「でも?」
「彼が先日帰ってきて。で、私のことを諦めてなかったの。まだ好きだって」
「そうなんだ」
「彼が居ない間、私は、寂しくて寂しくて。で、その気持を紛らしたくて、メダカちゃん達を飼い始めたんだ。そして、メダカちゃん達を通して恭介くんに出会って、結婚を決意したけど・・心のどこかで、まだ彼のことを忘れられないみたい」
「そうか…」
「ごめんね。本当にごめん。今の気持ちのままじゃあ、結婚してもうまくいかないって思って。だから、少し立ち止まって考える時間が欲しいんだ」
受話器の向こうで、すすり泣きながら、さよりは話を続けた。
しばらく恭介は考え込んだ。そして、優しい声で、さよりに語った。
「いいよ。待つよ」
「い、良いの?」
「待った結果、さよりがどういう答えを出すのか、正直怖いけどさ。ひょっとしたら、これでもうお別れになるかもしれない。でも、さより、俺に言ったじゃん。嘘つくヤツは嫌いだって。だからさ・・自分の気持ちに嘘のない答えを、じっくり時間をかけて探してほしい」
「恭介くん…」
「ゆっくり悩んで、自分の素直な気持ちに従って欲しい。嘘を付いて付き合っても、お互い気まずくなるだけだし」
「ごめんね。本当に、本当にゴメンね」
そういうと、さよりは電話を切った。
恭介は、電話を切ると、思わず髪をかきむしった。
何でもっと強気に出なかったのか?何で引き止めなかったのか?
恭介にとって最初の彼女だったさより。あと少しで、無事結婚できたのに。
先日の結納では、両親が半信半疑ながらも、2人の結婚を心から喜んでいた。
さよりの返事次第では、そんな両親の期待を裏切ることになってしまうかもしれない。
そして、何より、さよりと一緒に、メダカを観察しながら楽しく会話する日々が終わってしまうかもしれない。
正直、心苦しいが、でも、今としてはこれで良いのかな?と感じている。
お互い本当の気持ちを隠しながら、無理に付き合っても、破綻するのは目に見えている。その時は、もっと酷い状況の中で別れなければならない。
恭介の部屋には、さよりの私物が何個か残っていたが、片付けず、そっと押入れにしまいこんだ。
ほんの僅かではあるが、さよりが再びこの部屋に戻ってくる、という根拠のない確信があり、それがなくなるまでは、捨てる気持ちにはなれなかった。
水槽では、ジョリーが相変わらず餌を片っ端から奪い取り、子どもたちとたえ子は、水槽の底で何かに耐えるかのように動かなかった。
早速着信を調べてみると、さよりからの電話だった。
さよりが昨日見せたそっけない態度が引っかかっていた恭介は、一体何を言いたいのか?まさか、最悪の事態が?と思い、緊張しながらさよりに電話をかけた。
「恭介だよ。俺に電話した?」
「うん。昨日はごめん、少し取り乱してしまって」
「どうしたの?体調が悪いのか?それとも、気分が乗らないのか?」
「結婚についてだけどさ。ちょっと立ち止まって、考えてみたいの。恭介くんには悪いんだけど、時間がほしいの」
「え?どういうこと?ついこないだまで、結婚式をとても楽しみにしてたのに」
「とにかく、今は考える時間がほしいの。ごめん」
「何があったんだ?何か思い悩むことがあったの?それは、俺には言えないことなの?」
「ううん、言うよ。怒らないで聞いてくれるなら、言うよ」
「怒らない?何で?俺が怒る?黙っていた方がお互い気まずくなって、イライラすると思う。だから、気にしないで、言ってほしい」
しばらく静寂が流れた後、さよりが口を開いた。
「私、恭介くんに出会う前に、付き合ってた人がいたの。学生の時、同じサークルの先輩後輩で、お互い好きになって、社会人になっても、ずっと付き合ってた。2年前にその人が海外勤務になって、その後全く音沙汰が無くなったから、私達、もう別れたと思ってた。でも…」
「でも?」
「彼が先日帰ってきて。で、私のことを諦めてなかったの。まだ好きだって」
「そうなんだ」
「彼が居ない間、私は、寂しくて寂しくて。で、その気持を紛らしたくて、メダカちゃん達を飼い始めたんだ。そして、メダカちゃん達を通して恭介くんに出会って、結婚を決意したけど・・心のどこかで、まだ彼のことを忘れられないみたい」
「そうか…」
「ごめんね。本当にごめん。今の気持ちのままじゃあ、結婚してもうまくいかないって思って。だから、少し立ち止まって考える時間が欲しいんだ」
受話器の向こうで、すすり泣きながら、さよりは話を続けた。
しばらく恭介は考え込んだ。そして、優しい声で、さよりに語った。
「いいよ。待つよ」
「い、良いの?」
「待った結果、さよりがどういう答えを出すのか、正直怖いけどさ。ひょっとしたら、これでもうお別れになるかもしれない。でも、さより、俺に言ったじゃん。嘘つくヤツは嫌いだって。だからさ・・自分の気持ちに嘘のない答えを、じっくり時間をかけて探してほしい」
「恭介くん…」
「ゆっくり悩んで、自分の素直な気持ちに従って欲しい。嘘を付いて付き合っても、お互い気まずくなるだけだし」
「ごめんね。本当に、本当にゴメンね」
そういうと、さよりは電話を切った。
恭介は、電話を切ると、思わず髪をかきむしった。
何でもっと強気に出なかったのか?何で引き止めなかったのか?
恭介にとって最初の彼女だったさより。あと少しで、無事結婚できたのに。
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そして、何より、さよりと一緒に、メダカを観察しながら楽しく会話する日々が終わってしまうかもしれない。
正直、心苦しいが、でも、今としてはこれで良いのかな?と感じている。
お互い本当の気持ちを隠しながら、無理に付き合っても、破綻するのは目に見えている。その時は、もっと酷い状況の中で別れなければならない。
恭介の部屋には、さよりの私物が何個か残っていたが、片付けず、そっと押入れにしまいこんだ。
ほんの僅かではあるが、さよりが再びこの部屋に戻ってくる、という根拠のない確信があり、それがなくなるまでは、捨てる気持ちにはなれなかった。
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