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4.私を食べて
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このままではいけない――と、柔らかき二つの山を短い腕で押し上げ、悪魔は夜明け前の暗闇でつぶやく。
「もう一度、仕切り直さねばな」
「あ……うん……へへへ」
胸を上げて寄せてされて、どんな夢を見ているのやら。大蔵田 景はにまにま笑いながら眠っている。
景が見ているのは、こんな夢だ。
見知らぬ女の子が、はしゃいでいる。
『家族みんな、なかよしなのが、いちばんしあわせなんだよお!』
少々舌っ足らずに言い切る。だがその声はか細く、掠れているのが気になった。どこか具合でも悪いのだろうか。
女の子を気遣っているうちに、意識がはっきりしてくる。
――ここは? 私は?
どうやら眠っていたようだ。大蔵田 景は自室の布団の上で、目を覚ました。
周囲は薄暗い。五時か六時か、まだ早い時間だろう。
ふと、妙な感触がした。寝転んだまま下を向けば、抱いていたぬいぐるみに、肘の付け根の辺りを噛まれている。痛くはないが、はむはむと弱く当たる牙がくすぐったかった。
――ぬいぐるみ? そんなの、うちにあったっけ?
そうだ、違う。景の胸元で惰眠を貪る、ふわふわもこもこの青い仔熊は、ティンカー・ベル。悪魔だ。
「こらこら……」
景は青いクマを自分の腕から引き剥がし、小さな彼の頭をぽんぽんと叩いた。
「大福……。みたらし団子……」
ティンカー・ベルは、どうやら寝ぼけているらしい。フガフガと意味を成さぬことをつぶやき、小さないびきをかいている。
「夢の中でも、なにか食べてるの?」
この悪魔は本当に食いしん坊だ。
景はぷっと吹き出すと、ティンカー・ベルのほっぺたをそっと摘んだ。それでも悪魔が起きる気配はない。
――誰かと一緒に寝るのって、いいなあ。
ごろんと仰向けになり、古びた天井を眺めながら、景は微笑む。
幼少時から、両親とも弟とも、寝室は別だった。だからもしかしたら、景が誰かと同じ部屋でくっつくように眠ったのは、これが初めてのことかもしれない。
ついでに言えば、ティンカー・ベルが景のうちに泊まったのも、昨晩が初めてだ。景の横でよだれを垂らし、爆睡しているこの悪魔は、変なところで生真面目で、「嫁入り前の娘の部屋に男が泊まるなど言語道断」と、どんなに遅い時間になろうとも常に帰っていくのである。
「こんなモフモフしたくなる生きもののくせに、男だなんだ言われてもねえ……」
摘んだままだった頬をむにむに伸ばすと、ティンカー・ベルは「マシュマロ……」と、またもや食い意地の張った寝言をこぼした。
まあきっと昨晩は景が取り乱してしまったので、一人にするのが心配だったのだろう。ティンカー・ベルは大いに変わっているが、同時にとても優しい悪魔でもあるのだから。
枕元に置いたスマートフォンを確かめれば、五時半になるところだった。まだ充分寝直せる時間だ。しかし景の目は、ぱっちり覚めてしまっている。昨日は変な夢を立て続けに見させられて疲労困憊し、早目に床に就いたからだろうか。
「んー……」
景はティンカー・ベルを起こさないよう、布団からそっと這い出た。
焼き上がったばかりのだし巻き玉子を切り分けているところだった。背後に気配を感じ、振り返る。
「あ、起きたー……!?」
後ろにぬっと立った人物の姿を見て、景は悲鳴を上げそうになった。
「うむ」
人型に戻ったティンカー・ベルが、欠伸をしている。いつもきっちり整えられていた黒髪はボサボサに跳ね、整った顔はいかにも眠たそうだ。
そのうえ彼は、ほぼほぼ裸だった。青い肌色のたくましい三角筋、大胸筋、腹直筋、そして太い手足を惜しげもなく晒し、股間には申し訳程度に、動物の皮かなにかでできた腰ミノを巻いている。思い返せばそれは、一番最初に景の部屋に現れたときと同じ格好だった。
「ちょ、な、え」
ついさっきまではラブリーなクマちゃんだったのに、今はマッパのマッチョマン。差が、激し過ぎる。
どこを見たらいいのか、いや見てはいけないのか、景は混乱し、目玉をぐるぐる動かした。
「あわわわ……!」
「顔を洗ってくる」
硬直した景を残し、ティンカー・ベルはのっそのっそと洗面所へ消えた。
「タオルを借りてもいいか?」
「ど、どうぞ、何枚でも好きなだけ……!」
洗面所からの野太い声に答えてから、景は早鐘を打つ胸を押さえた。
「びびびび、びっくりした……!」
いくら局所を隠しているとはいえ、男性慣れしていない景にはあまりに刺激が強い。
むさ苦しいのと紙一重の、男のフェロモンたっぷりの出で立ち。
――綺麗なお姉さんの裸を見て、興奮する男の子の気持ちが、とてもよく分かったよ……!
赤く熱くなった顔を、景はパタパタと手で扇いだ。
ちゃぶ台の上に並べたのは、ご飯に味噌汁、だし巻き玉子に漬けものだった。
「美味そうだな」
顔を洗って戻ってきたティンカー・ベルは、すっかりいつもどおりだった。仕立ての良いスーツを着て、髪も整え、パリッとしている。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
きちんと正座をし、頭を下げてから、ティンカー・ベルは景のよそってやったご飯を食べ始めた。素早く一杯目を平らげ、二杯目に取りかかる。
「この漬けもの、美味いな」
「あ、おばあちゃんが漬けたんだよ。私にはなかなかこの味が出ないんだよね~」
景はニコニコしながら答えた。唯一仲の良い身内の、祖母の話をするとき、景はいつも笑顔になる。
「祖母殿とは頻繁に会っているのか?」
「うん、月に一度くらいは遊びに行ってるよ。本当はもっと会いたいけど、県が二つ離れてるからね」
「ふむ。ところでお前が親しくしているのは、父君と母君、どちらのご母堂だ?」
「お母さんのほう。お父さんのほうのおじいちゃんやおばあちゃんとは、会ったことがないんだよね」」
もぐもぐと口を動かしながら、景はテレビを点けた。丁度、七時のニュースが始まるところだ。
「ティンカー・ベル、もうちょっと寝てても良かったのに」
「仕事があるからな。ゆっくりしていられないのだ」
「そうなんだ。忙しいんだね……」
景はまだ中身が残っている茶碗を、一旦ちゃぶ台の上に置いた。
「仕事」。その単語をティンカー・ベルの口から聞いては、どうしても確かめずにはいられない。朝の話題として相応しくないのは、重々承知だが。
「えーと、あの、ティンカー・ベル。仕事ってことは……。そのお客さんたちからも報酬を貰うんだよね?」
「もちろん」
「それってやっぱ、あの……。私と同じ――」
精気をもらうのだろうか。
――景にしたのと同じように。
ほかの女の人にも、あんなことをするのか。全身に触れ、口づけて……。
想像するだけで胸が苦しい。これは明らかな嫉妬だ。
「受け取る報酬は、契約者によって異なる。食べものだったり、洋服(スーツ)だったり、現金だったり。客の持っている一番良いものを、我ら悪魔はいただくのだ」
ティンカー・ベルはボリボリと漬けものを噛み砕きながら答えた。
「一番良いもの?」
「だいたい、客が男だったらどうするのだ。我に男の体をまさぐる趣味はない」
「あ、そうか……」
景は安堵にほっと息をついた。
「お前はまだ若く、財産と呼べるようなものを持っていない。しかし精気はとびきり美味だ。だから我は、それを頂戴することにしたのだ」
ティンカー・ベルは味噌汁の入ったお椀に口をつけながら、景を見詰めた。
「……う」
悪魔の流し目の色っぽさに耐えられず、景は逃げるようにご飯をかき込み始めた。
「そうだ、報酬といえば……。今夜もここに寄っていいか?」
「え、うん! もちろん、いいよ! 今日、私、バイト休みだし、なにか美味しいもの作るよ!」
「……ちょっとでいい」
景がぱっと嬉しそうに笑うと、ティンカー・ベルはなぜか複雑な表情になった。
八時。食後のお茶を飲んでから、ティンカー・ベルは玄関に向かった。
「あ、ティンカー・ベル、これ」
「ん?」
景はティンカー・ベルに、アルミホイルで包んだ塊を渡した。水玉模様がプリントされたそれを、ティンカー・ベルはその場でさっさと解こうとする。
「あ、まだ開けないで。おにぎりを握っておいたの。お昼に食べてもらおうと思って。そのまま持って行って」
「おにぎり」
悪魔は珍しいものでも手に入れたかのように、包みをじっと見詰めた。
「お前は水玉が好きなのだな」
「あ、うん。可愛いじゃない?」
ティンカー・ベルはジャケットのポケットにおにぎりを入れると、ぺこりと頭を下げた。
「ありがとう」
「ど、どういたしまして」
ピカピカの革靴を履き、悪魔は外に出る。
「いってらっしゃい。お仕事頑張ってね」
「いってきます」
部屋で一人になってからも、景の顔はニヤニヤとだらしなく緩みっぱなしだった。
――まるで新婚さんみたいじゃなかった?
さて本日、景は休みだ。なにをするかはだいたい決まっている。
洗濯をして、掃除をして、買い物に行って、おかずを作り置きして。
いつもどおりのつまらないルーチンワーク。しかし心がわくわくと踊るのは、ティンカー・ベルという変化が起きたからだ。
――今夜もまた会えるんだ……!
静かな水面のようだった平凡で退屈な景の日常を、あの悪魔は楽しく踏み荒らし、色とりどりの波紋を生じさせてくれる。
「もう一度、仕切り直さねばな」
「あ……うん……へへへ」
胸を上げて寄せてされて、どんな夢を見ているのやら。大蔵田 景はにまにま笑いながら眠っている。
景が見ているのは、こんな夢だ。
見知らぬ女の子が、はしゃいでいる。
『家族みんな、なかよしなのが、いちばんしあわせなんだよお!』
少々舌っ足らずに言い切る。だがその声はか細く、掠れているのが気になった。どこか具合でも悪いのだろうか。
女の子を気遣っているうちに、意識がはっきりしてくる。
――ここは? 私は?
どうやら眠っていたようだ。大蔵田 景は自室の布団の上で、目を覚ました。
周囲は薄暗い。五時か六時か、まだ早い時間だろう。
ふと、妙な感触がした。寝転んだまま下を向けば、抱いていたぬいぐるみに、肘の付け根の辺りを噛まれている。痛くはないが、はむはむと弱く当たる牙がくすぐったかった。
――ぬいぐるみ? そんなの、うちにあったっけ?
そうだ、違う。景の胸元で惰眠を貪る、ふわふわもこもこの青い仔熊は、ティンカー・ベル。悪魔だ。
「こらこら……」
景は青いクマを自分の腕から引き剥がし、小さな彼の頭をぽんぽんと叩いた。
「大福……。みたらし団子……」
ティンカー・ベルは、どうやら寝ぼけているらしい。フガフガと意味を成さぬことをつぶやき、小さないびきをかいている。
「夢の中でも、なにか食べてるの?」
この悪魔は本当に食いしん坊だ。
景はぷっと吹き出すと、ティンカー・ベルのほっぺたをそっと摘んだ。それでも悪魔が起きる気配はない。
――誰かと一緒に寝るのって、いいなあ。
ごろんと仰向けになり、古びた天井を眺めながら、景は微笑む。
幼少時から、両親とも弟とも、寝室は別だった。だからもしかしたら、景が誰かと同じ部屋でくっつくように眠ったのは、これが初めてのことかもしれない。
ついでに言えば、ティンカー・ベルが景のうちに泊まったのも、昨晩が初めてだ。景の横でよだれを垂らし、爆睡しているこの悪魔は、変なところで生真面目で、「嫁入り前の娘の部屋に男が泊まるなど言語道断」と、どんなに遅い時間になろうとも常に帰っていくのである。
「こんなモフモフしたくなる生きもののくせに、男だなんだ言われてもねえ……」
摘んだままだった頬をむにむに伸ばすと、ティンカー・ベルは「マシュマロ……」と、またもや食い意地の張った寝言をこぼした。
まあきっと昨晩は景が取り乱してしまったので、一人にするのが心配だったのだろう。ティンカー・ベルは大いに変わっているが、同時にとても優しい悪魔でもあるのだから。
枕元に置いたスマートフォンを確かめれば、五時半になるところだった。まだ充分寝直せる時間だ。しかし景の目は、ぱっちり覚めてしまっている。昨日は変な夢を立て続けに見させられて疲労困憊し、早目に床に就いたからだろうか。
「んー……」
景はティンカー・ベルを起こさないよう、布団からそっと這い出た。
焼き上がったばかりのだし巻き玉子を切り分けているところだった。背後に気配を感じ、振り返る。
「あ、起きたー……!?」
後ろにぬっと立った人物の姿を見て、景は悲鳴を上げそうになった。
「うむ」
人型に戻ったティンカー・ベルが、欠伸をしている。いつもきっちり整えられていた黒髪はボサボサに跳ね、整った顔はいかにも眠たそうだ。
そのうえ彼は、ほぼほぼ裸だった。青い肌色のたくましい三角筋、大胸筋、腹直筋、そして太い手足を惜しげもなく晒し、股間には申し訳程度に、動物の皮かなにかでできた腰ミノを巻いている。思い返せばそれは、一番最初に景の部屋に現れたときと同じ格好だった。
「ちょ、な、え」
ついさっきまではラブリーなクマちゃんだったのに、今はマッパのマッチョマン。差が、激し過ぎる。
どこを見たらいいのか、いや見てはいけないのか、景は混乱し、目玉をぐるぐる動かした。
「あわわわ……!」
「顔を洗ってくる」
硬直した景を残し、ティンカー・ベルはのっそのっそと洗面所へ消えた。
「タオルを借りてもいいか?」
「ど、どうぞ、何枚でも好きなだけ……!」
洗面所からの野太い声に答えてから、景は早鐘を打つ胸を押さえた。
「びびびび、びっくりした……!」
いくら局所を隠しているとはいえ、男性慣れしていない景にはあまりに刺激が強い。
むさ苦しいのと紙一重の、男のフェロモンたっぷりの出で立ち。
――綺麗なお姉さんの裸を見て、興奮する男の子の気持ちが、とてもよく分かったよ……!
赤く熱くなった顔を、景はパタパタと手で扇いだ。
ちゃぶ台の上に並べたのは、ご飯に味噌汁、だし巻き玉子に漬けものだった。
「美味そうだな」
顔を洗って戻ってきたティンカー・ベルは、すっかりいつもどおりだった。仕立ての良いスーツを着て、髪も整え、パリッとしている。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
きちんと正座をし、頭を下げてから、ティンカー・ベルは景のよそってやったご飯を食べ始めた。素早く一杯目を平らげ、二杯目に取りかかる。
「この漬けもの、美味いな」
「あ、おばあちゃんが漬けたんだよ。私にはなかなかこの味が出ないんだよね~」
景はニコニコしながら答えた。唯一仲の良い身内の、祖母の話をするとき、景はいつも笑顔になる。
「祖母殿とは頻繁に会っているのか?」
「うん、月に一度くらいは遊びに行ってるよ。本当はもっと会いたいけど、県が二つ離れてるからね」
「ふむ。ところでお前が親しくしているのは、父君と母君、どちらのご母堂だ?」
「お母さんのほう。お父さんのほうのおじいちゃんやおばあちゃんとは、会ったことがないんだよね」」
もぐもぐと口を動かしながら、景はテレビを点けた。丁度、七時のニュースが始まるところだ。
「ティンカー・ベル、もうちょっと寝てても良かったのに」
「仕事があるからな。ゆっくりしていられないのだ」
「そうなんだ。忙しいんだね……」
景はまだ中身が残っている茶碗を、一旦ちゃぶ台の上に置いた。
「仕事」。その単語をティンカー・ベルの口から聞いては、どうしても確かめずにはいられない。朝の話題として相応しくないのは、重々承知だが。
「えーと、あの、ティンカー・ベル。仕事ってことは……。そのお客さんたちからも報酬を貰うんだよね?」
「もちろん」
「それってやっぱ、あの……。私と同じ――」
精気をもらうのだろうか。
――景にしたのと同じように。
ほかの女の人にも、あんなことをするのか。全身に触れ、口づけて……。
想像するだけで胸が苦しい。これは明らかな嫉妬だ。
「受け取る報酬は、契約者によって異なる。食べものだったり、洋服(スーツ)だったり、現金だったり。客の持っている一番良いものを、我ら悪魔はいただくのだ」
ティンカー・ベルはボリボリと漬けものを噛み砕きながら答えた。
「一番良いもの?」
「だいたい、客が男だったらどうするのだ。我に男の体をまさぐる趣味はない」
「あ、そうか……」
景は安堵にほっと息をついた。
「お前はまだ若く、財産と呼べるようなものを持っていない。しかし精気はとびきり美味だ。だから我は、それを頂戴することにしたのだ」
ティンカー・ベルは味噌汁の入ったお椀に口をつけながら、景を見詰めた。
「……う」
悪魔の流し目の色っぽさに耐えられず、景は逃げるようにご飯をかき込み始めた。
「そうだ、報酬といえば……。今夜もここに寄っていいか?」
「え、うん! もちろん、いいよ! 今日、私、バイト休みだし、なにか美味しいもの作るよ!」
「……ちょっとでいい」
景がぱっと嬉しそうに笑うと、ティンカー・ベルはなぜか複雑な表情になった。
八時。食後のお茶を飲んでから、ティンカー・ベルは玄関に向かった。
「あ、ティンカー・ベル、これ」
「ん?」
景はティンカー・ベルに、アルミホイルで包んだ塊を渡した。水玉模様がプリントされたそれを、ティンカー・ベルはその場でさっさと解こうとする。
「あ、まだ開けないで。おにぎりを握っておいたの。お昼に食べてもらおうと思って。そのまま持って行って」
「おにぎり」
悪魔は珍しいものでも手に入れたかのように、包みをじっと見詰めた。
「お前は水玉が好きなのだな」
「あ、うん。可愛いじゃない?」
ティンカー・ベルはジャケットのポケットにおにぎりを入れると、ぺこりと頭を下げた。
「ありがとう」
「ど、どういたしまして」
ピカピカの革靴を履き、悪魔は外に出る。
「いってらっしゃい。お仕事頑張ってね」
「いってきます」
部屋で一人になってからも、景の顔はニヤニヤとだらしなく緩みっぱなしだった。
――まるで新婚さんみたいじゃなかった?
さて本日、景は休みだ。なにをするかはだいたい決まっている。
洗濯をして、掃除をして、買い物に行って、おかずを作り置きして。
いつもどおりのつまらないルーチンワーク。しかし心がわくわくと踊るのは、ティンカー・ベルという変化が起きたからだ。
――今夜もまた会えるんだ……!
静かな水面のようだった平凡で退屈な景の日常を、あの悪魔は楽しく踏み荒らし、色とりどりの波紋を生じさせてくれる。
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