ちょっとエッチな短編集

ホスト・個室

　カランと小さな音をたてて会員制ホストクラブのドアが開く。工藤が足を踏み入れると、すぐにボーイがやってきて一礼した。
「工藤さま、いらっしゃいませ」
うなずいた工藤をボーイが個室に案内する。そこは革張りのソファとガラステーブルがあるそれほど大きくない部屋だったが、しっかりと防音がされた場所だった。
「失礼します。工藤さん、いらっしゃいませ」
工藤が部屋に入ってすぐ、樹がワゴンを押して入ってくる。ワゴンにはよく冷えた日本酒と盃、つまみ用の刺身が乗っていた。
「昨日は大丈夫だったかい？」
昨日官能的なキスだけをして帰った工藤が悪戯っぽい笑みを浮かべて尋ねる。樹は苦笑しながら肩をすくめると刺身と酒をテーブルに並べた。
「工藤さまが意地悪をなさるから、熱をもて余してしまいました」
「おや、それじゃあ誰かに慰めてもらったのかな？」
意地の悪い笑みを浮かべながら隣に座った樹を工藤が抱き寄せる。樹はにこりと笑うと工藤にもたれかかった。
「さて、どうでしょうね？」
「相変わらずの小悪魔だ」
楽しげに笑う工藤の腕からすり抜けて樹は日本酒を盃に注いだ。
「どうぞ。よく冷えていますよ」
「ああ、ありがとう」
工藤が盃を受け取って一息に飲み干す。樹はその飲みっぷりに目を細めた。
「美味いな。きみが選んでくれたのか？」
「はい。工藤さんは辛口のお酒を好まれますから」
微笑みながらうなずいた樹が空になった盃に酒を注ぐ。工藤は今度は味わうようにゆっくり飲んだ。
「樹は日本酒は苦手だったな？」
「辛口が苦手なんです」
苦笑する樹に笑みを深め、工藤は酒を口に含むとそのまま樹に口付けた。
「ん、ふぁ…」
口うちしで酒を飲まされた樹の唇から飲みきれなかった酒が流れる。うっとりとした表情に工藤は満足そうに目を細めた。
「美味いだろう？」
「ん、味なんて、わからないです…」
くたっと工藤に体を預けて樹が恨めしげに言う。工藤は笑い声をあげるとそのまま革張りにソファに樹を押し倒した。
「今日はアフターもあるからな。ここではほどほどにしておくか」
「ふふ、工藤さんのスケベ…」
「男はみんなスケベだろ？」
肩をすくめると工藤はスーツの上着を脱いだ。樹の体をシャツの上から撫でると、乳首はすでに硬く尖っていた。
「あん、ぁ…」
撫でる手が乳首をかすめて樹が甘い声をもらす。工藤はシャツの上からクニクニと乳首を摘まんだ。
「ああんっ、あっ、そこばっかり…」
ビクビクと震えながら樹が喘ぐ。工藤は樹のズボンからベルトを引き抜くと前をくつろげて樹のペニスを取り出した。
「ひゃん、工藤さぁん…」
ペニスだけを露出させた姿が妙にいやらしい。工藤は唇を舐めるとねだるように腰を揺らす樹のペニスを口に含んだ。
「ひゃっ、ああぁん！やぁっ！」
舌を絡められて吸い上げられる。ビクビクと仰け反りながら樹はひっきりなしに喘いだ。
「ん、樹、気持ち良さそうだな？」
「ふぁ、ん…工藤さん、いいの、気持ちいいのぉ…」
甘えるようにうなずきながら腰を揺らす樹。工藤はそんな樹のペニスを思いきり吸い上げた。
「ひぃっ！あぁぁぁっ！」
嬌声をあげて仰け反り絶頂に達する樹。工藤は樹が吐き出した白濁を飲み込むと顔をあげた。
「工藤さん…」
うっとりした表情の樹が両腕を伸ばす。工藤はねだられるままに唇を重ねた。
「ん、ちゅ…工藤さん、今度は僕の番ですね」
「ああ、お願いしよう」
樹はうなずと体を起こした。ソファに座る工藤の前に膝をつくと窮屈そうにしている股間に擦り寄る。そのまま口でズボンのチャックをおろす。樹は下着も口でずらすとペニスを取り出して先端にチュッとキスをした。
「んふ、いただきます…」
恍惚とした表情を浮かべて樹が工藤のペニスを頬張る。喉の奥まで咥えてしゃぶる樹の舌技はかなりのものだった。工藤は樹の髪を撫でながら気持ち良さそうに吐息をこぼした。
「ん、さすが樹だ。気持ちいいよ…」
「ふぁ、嬉し…」
褒められた樹が嬉しそうに微笑んでさらにペニスをしゃぶる。舌を絡めて吸い上げると工藤は樹の頭を押さえ込んでそのまま喉に叩きつけるように射精した。
「くっ！」
「んんっ！」
溢れる白濁を溢さないように飲み込んだ樹は残滓も吸い上げると顔をあげて見せつけるように濡れた唇を舐めた。
「濃いですね。最近ご無沙汰でした？」
「ああ、仕事が忙しくてな」
苦笑する工藤は樹の唇にチュッとキスをした。
「明日は休みだろう？今日は朝まで付き合ってもらうよ？」
「わかりました。工藤さんはお得意様ですから」
クスッと笑った樹は工藤の身なりを整えると自分もズボンを直してソファに座った。