砂漠の国のハレム

さち

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ひとり寝の朝

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 ひとりで夜を過ごしたシャイムは朝、侍女の手を借りて着替えると運ばれてきた食事の多さに目を丸くした。
「朝からこんなには食べられません」
申し訳なさそうに言うシャイムに侍女たちは明日からは少し減らすし、残してもかまわないのだと言った。
「失礼します。おはようございます」
シャイムが困っていると、声をかけてカシムが入ってくる。侍女たちはカシムが入ってくると一礼して退室していった。
「カシムさま、おはようございます」
どこかほっとした表情のシャイムにカシムは首をかしげた。
「シャイムさま、何かありましたか?」
「えっと、食事をこんなに用意してもらったのに、食べきれないから」
そう言うってうつむくシャイムにカシムは微笑んだ。奴隷だったシャイムには食事を残すなどということはとても贅沢で、できればしたくないことなのだと理解できた。
「では、私もご一緒してよろしいですか?」
「でも、カシムさまは食事はお済みなのでは?」
「いえ、いつもこの時間にはすませているのですが、今朝は少しゆっくりしていたので実はまだなのです。ですから、ご一緒させていただけると嬉しいのですが」
そう言うカシムにシャイムの表情がパッと明るくなる。カシムはその様子に微笑みながらシャイムと自分用に茶を入れた。
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