『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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30話 自由ですね

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「・・・え ? 」

まさかここで私に振られると思っていなかったので、びっくりして目を見開いてしまった。

「レオンハルト殿、女性にこんな話は無理だろう 」

シュナイダー王がククッと笑いながら私を見る。
私もここでまともな意見を言って注目されたくもないので、ヘラりと笑い返す。

「そうですわ、レオンハルト様ったらびっくりさせないで下さい 」

「エリシアは鉱山で何か思った事があったようだけど? 言ってごらん? 」

げっ、レオンハルト様、私がなにか考えてたのを何で知ってるの?
てか、私に何を言わせようとしてるんだ、この人は。

「なんの事ですか? 」

とぼけて首をかしげながら可愛く聞き返してみる。

「思った事、何でもいいから言ってごらん 」

優しく微笑んでるけど、目が怖いです、レオンハルト様、これは素直に従わないとあとでまた何か言われそうだ。
私も言うからにはちゃんと思った事を言いたい。

「・・・それでは、ディアルド王国は、大きな何人も乗れる馬車を作る優れた技術をお持ちのようでしたので、馬で引くのではなく、他の技術でもっと早く進む物が作れないかと考えておりました 」

「ほう・・・具体的には? 」

シュナイダー王が少し驚いたように私を見る。

「私にも不確かなのですが、蒸気を動力に走る物が作れないかと・・・」

「蒸気? そんな物で鉄の塊が動くのかね? 」

「ええ、私もどこかで得た知識ですので詳しくはやってみないと分かりません 」

「ふむ・・・その原理、また詳しく聞かせてくれないか? 」

「はい、喜んで 」

私の返事をにっこり笑って頷いてから、シュナイダー王は去って行った。
シュナイダー王は社交辞令なのか、私の話に少し興味を持ったのか、とりあえず変な案でも聞くことにしてるのか分からないけれど、また聞きたいと仰った。
これは我が国の為にもいい流れになるのかもしれない・・・って、私はこんな事に首を突っ込みたいんじゃないのに、レオンハルト様は何を考えてるの?
レオンハルト様を見上げると、何故か満足そうに微笑んでいた。


それからは平凡に、何事もなく晩餐会も終わりを向迎え、私達は自室へと戻ってきた。

「ちょっと、レオンハルト様、色々と聞きたいことがあります! 」 

今はレオンハルト様の部屋の居間にいる。

「ん? 何だ? 」

シャツのボタンを外してソファーに深く座ってくつろぎながら私を見る。レオンハルト様、何故貴方はその仕草一つでそんなに色っぽいのですか・・・

「何だ? 」

はっ、危ない危ない、レオンハルト様の色香にやられるところだったわ。
私もお酒を飲んだせいかしら・・・・・・じゃなくて、あー、なんだったかしら、いろいろ言いたいことがあったのに!

「・・・さっきのシュナイダー国王様とのお話、なぜ私にあんな話を振ったのですか? 普通に考えて女性が答えられるはず無いでしょう!」

「ああ、あれか、お前なら何か答えるだろうと思って振ったみた 」

「何ですかそれ! 」

「さっきも言ったけど、鉱山でなんか考えてただろ 」

「何で私がそういう事を考えてるって分かったんですか? 」

「鉱山にあったトロッコと移動に使ってた大きな馬車をチラチラと見てただろ、なんか考えてるなって思ってたんだが、違うか? 」

大当たりですレオンハルト様、何故わかったのかしら・・・

「その通りです。でも、何故あの場で発言を促されたのですか? 」

恥をかかせるつもりだったようには思えないけど、女性がああいうことを言うとあまりよく思われない。

「シュナイダー王はちゃんと意見を聞く方だ。エリシアの意見も聞いてくれると思った 」

「だからって、私にこんな事させてどうするつもりなの? また何か企んでる? 」

「ははっ 」

突然、レオンハルト様が楽しそうに笑う。

「なっ、私が真剣に話してるのに、何故笑うの? 」

「いや、すまん、気にするな 」

何故か楽しそうにニコニコと笑いながら言われても気になります。
めちゃくちゃ気になるけど、ここで問いただしたら私が負ける気がする。私が聞きたいことから本題をそらされそうなので、仕方なく話を戻す。

「ですから、何故あの場で私に発言をさせたのですか? 」

「あ、戻った 」

また私の発言を遮るようにレオンハルト様がボソリと呟く。

「・・・さっきから私の邪魔をして何が言いたいんですか? 」

私が話してるのに、レオンハルト様は何か違うことに気を取られているようだ。

「ああ、ごめん、エリシアの言葉遣いが敬語に戻ってしまったからガッカリしてた 」

え? 私敬語使ってなかった? 感情的になってしまったので抜けてしまったのかしら。

「申し訳ございません、失礼致しました 」

「いや、いいんだ、むしろ普通に話してくれる方が嬉しい 」

王族に対して礼儀をかいてしまったことを謝ったのだけど、何故かレオンハルト様は少し寂しそうに話す。
その表情がなんだか寂しげで、一瞬、理由を聞きたくなった。
いやいや、私は基本レオンハルト様と親しくするつもりは無いので敬語継続で!

「いえ、それは出来ません、で、質問の答えをお願いします 」

「うん、疲れたからまた明日でもいいか? 」

「・・・はぁ?よくありません!」

何を言ってるの? この自由な猫かぶり王子は! はっ! まさしく猫ね!猫だと思うと可愛い?  なんて事はどうでもいい!今は話をしてるのよ?

「俺は寝る。あ、今日も俺の寝室で寝ろ、部屋へは戻るな 」

レオンハルト様はそう言うと、眠りに落ちた。



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