『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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36話 たまにはちょっと真面目で

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「レオンハルト様、どこに行ってらしたんですか? 」

ジャスタ皇子が居なくなってから、自分が注目を浴びていたと気が付き、端に移動しながら問いかける。

「ずっと居たよ? 」

え? どこに居たのかしら。探しても見当たらなかったわ。

「居たのならもっと早く来て下さいよ 」

「困ってた? 」

「困ってましたよ! 」

何をとぼけてるのかしら、この猫かぶり王子は、婚約者(役)の私が他の男性と抱き合っているのだから早く止めに来るべきでしょう!
って言ってやりたいけど、皆の前ではさすがに言えない。

「そっか 」

ん? レオンハルト様の口元が緩んでいる。
何だかとても嬉しそうな表情なのだけど、何かあったのかしら?

「何故そんなに嬉しそうなんですか? 」

「何でもないよ 」

私に言われて、口元が緩んでいたことに気がついたのか、一瞬真顔に戻ってから、何時ものにこにこ笑顔に戻った。
んー、レオンハルト様はいつも何を考えてるのかさっぱり分からないわ、気にしたら負けね。

それにしても、色んな方とお話しているレオンハルト様を見ていて思ったけど、『王子』を見事にこなしているわね、言葉の違う国の方ともお話をされているし、色んな話題にも即座に対応してジョークも言える。
身のこなしも優雅で卒がない、完璧な王子様、だけど市民の話を聞きに行ったり情報を自ら集め、行動することも出来てその上強い。
え? めっちゃ完璧な人じゃない!
まぁ、実は腹黒猫かぶり王子だけど、私は腹黒王子の方がレオンハルト様らしいと思ってしまう。

「レオンハルト殿、エリシア嬢、楽しんでくれているかな? 」

話しかけて来たのは国王様だ。

「はい、楽しませていただいています 」

「うん、二人は明日帰国するのだろう? 」

「はい、明日の朝出発致します。長い間お世話になりました 」

「うむ、では、今日の夕刻に少し時間を空けてくれないか? 昨日の話の続きをしたい、エリシア嬢、なにか準備するものがあれば遠慮なく言ってくれ 」

昨日の話・・・蒸気機関車の話しね、そこまで話してないし、実際できるかなんて分からないけれど、やるからには我が国の国益に繋がることをしなくちゃね、って、一令嬢が考えることじゃないと思うけど、シュナイダー王はちゃんと話を聞いてくれそうだもの、真面目に答えないといけないわよね。

「はい、お言葉ありがとうございます 」



その後パーティーが終わって部屋に戻ってから、準備してもらいたい物を書き出していると、レオンハルト様が覗き込んできて書いたものを見る。

「なんか面白いことをしてくれそうだな 」

「面白いかどうかは分かりませんけど、やってみる価値はあると思います 」

「ああ、そう言う自信に満ちた表情好きだぞ 」

レオンハルト様は私の表情をマジマジと見て口角を上げて笑う。

「はいはい、レオンハルト様は成功するように祈っててくださいね、この話が上手く行けば忙しくなるのはレオンハルト様ですから 」

私はレオンハルト様の甘い言葉を軽くあしらいながら、レオンハルト様を脅迫するようににっこり笑ってみせる。

「俺が? 何故だ? 」

私が何をするか分かっていないレオンハルト様はまさか自分にお鉢が回ってくると思っていなかったらしく、首を傾げる。

「ええ、きっと忙しくなりますよ、私が提案しようとしてるものは石炭を使います 」

何時もは振り回されてばかりの私が、レオンハルト様を振り回す・・・なんて事にはならないだろうけれど、少し優位に立てたようで、不敵に笑って見せた。

「石炭が原料なのか、なるほど、ただの提案ではなく我が国の利益も考えてたって訳か、やっぱりジルの妹だな 」

レオンハルト様も意味を理解して嘆息して笑う。
ディアルド王国は鉄鉱石は沢山取れるけれど、石炭の埋蔵量が極端に少ない。それに比べてアイスバーグ王国は石炭の多く取れる国だ。
両国に鉄道を通す事が出来れば、我が国からは石炭を、ディアルドからは鉄を運ぶことが出来る。
前世の知識をそのまま使ってるだけだけど、大丈夫よね?


それから夕刻にシュナイダー王の待つ部屋まで案内されて、そこで蒸気の原理を用意してもらったもので説明して見せた。
まるで前世の理科の実験みたい・・・って思いながらちょっと楽しんでやってしまった。

「なるほど、石炭を燃やして水を蒸気に変え動力とするのか 」

「はい、トロッコのようなレールを敷いてその上を進みます。私も大まかな知識しかないので、原理を説明することは出来ても動力となる部分を作り上げることはできません。ですが陛下のお国は優れた技術力をお持ちですので、後は試行錯誤するのみです」

「うむ、これは面白そうだな、やってみる価値はある 」

目をキラキラさせながら見ていたシュナイダー王が不意にレオンハルト様を見る。

 「レオンハルト殿はとても優秀な女性を見つけたようだな、これは二国間の交易を加速させる案だ。そこまで考えていたとは、エリシア嬢には驚かされたよ 」

動力は石炭だと話した時点で理解力のあるシュナイダー王は直ぐに理解した。
シュナイダー王の言葉に、レオンハルト様は満足そうに微笑んで頷いていた。




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