『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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51話 お母様

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「ちょっと、レオンハルト様、私はレオンハルト様と一緒になるつもりは無いわよ? 何国王様にお礼なんて言ってるのよ! 」

「その方が話がスムーズに進むかと思ってな 」

西の区画に戻る途中、さっきの国王様とのやり取りを思い出して怒る私を、レオンハルト様は楽しそうに笑って返す。

「またからかう為にわざとあんな風に答えたのね 」

ツンとそっぽを向く私を、まだくすくすと笑っているけれど、もう無視よ。

しばらく無言で歩いていて思ったけれど、私の書いた本を持って歩いている女性をチラホラ見かける。こんな所にまで浸透してるなんて、何だか変な気持ちね・・・



「あら、レオンハルト 」

不意に声を掛けられて、声のした方を振り向くと、淡い栗色の髪の女性が立っていた。

「母上、ご機嫌麗しゅう 」

レオンハルト様が女性に向き直って挨拶をする。この方がレオンハルト様のお母様?
若い! 綺麗!何だか可愛らしい雰囲気。

「ふふっ、レオンハルト、そちらのお嬢さんは? 」

あの、楽しそうに私を見つめていらっしゃいますけど、そういった関係ではありませんからね!

「こちらはドロウシス子爵家のご令嬢のエリシア嬢です 」

「まぁ、エリシアさん、私はレオンハルトの母のリーリエです。レオンハルトが女性を連れて歩いてるのを見るのは初めてよ、よろしくね 」

明るく微笑むリーリエ様は可愛らしくて、どこか儚げな印象の方です。

「エリシアと申します。どうぞよろしくお願い致します 」

「可愛らしいお方ね、今度是非お茶をご一緒しましょう 」

「はい、お誘いありがとうございます 」

私よりもリーリエ様の方が可愛らしい気がするけれど、年上の方に可愛らしいって言うのは失礼よね。

「母上、こんな所まで出て来て大丈夫なんですか? 」

「ええ、今日は調子がいいから少しお散歩をしようと思って 」

「言ってくださればお供しましたのに 」

「レオンハルトは忙しいでしょ? それに、エリシア様が居るのに、私の所に来ていたら私が恨まれちゃうわ 」

話の流れからすると、リーリエ様はお身体がお弱いのかしら。

「リーリエ様、私は全然大丈夫ですわ、むしろレオンハルト様が居ない方が自由に読書を楽しめますもの・・・あっ、 」

そこまで言ってから、しまったと思った。

「レオンハルト様・・・ 失礼致しました 」

流石に王子に対して失礼な事を言ってしまったと思って謝る私を横目に、レオンハルト様はくすくすと笑う。
その横でリーリエ様も可笑しそうに笑っていた。

「ふふっ、エリシアさんはとても素直な方ね、そうね、男性が居ては読書に集中出来ないわよね 」

あら、リーリエ様も読書が好きなのかしら、何だかリーリエ様とは気が合いそう。

「最近話題の本をご存知? とても面白いのだけど、私の部屋にあるからいらっしゃいな 」

リーリエ様に誘われてしまったけれど、どうすればいいかしら、そう思ってレオンハルト様を見る。

「それ、私もご一緒してもいいですか? お邪魔なら遠慮しますけど 」

レオンハルト様がにっこり笑ってリーリエ様に問いかける。

「あら、そんなに遠慮しなくても、もちろん一緒で構わないわよ、ね? エリシアさん? 」

ウインクをしながら私に言われても、私はレオンハルト様が席を外すと言うなら女同士の話しがしたかったのだけど・・・

「はい、大丈夫です 」

そう答えるしかないじゃない・・・



そうして、私とレオンハルト様はリーリエ様のお部屋にお邪魔する事になった。

「そちらに掛けて自由にしててちょうだい、クレア、お茶を用意してちょうだい 」

リーリエ様はコロコロと表情を変えて楽しそうに指示を出す。
そして奥の部屋から本を一冊手にして戻ってきた。

私はその本を見た瞬間、まさかと思っていた事が現実となって少し焦る。

そんなことは無いだろうと思っていたけれど、リーリエ様まで私の本を読んでくださっていたなんて・・・オマケにレオンハルト様が居る。レオンハルト様は私が本を書いてるのを知らない。
これはどう反応すればいいかしら・・・

「エリシアさん、この本をご存知? 最近とても人気なのよ、私も読んでみたのだけど、とっても面白かったわ 」

嬉しそうに話すリーリエ様。
どう反応しよう・・・

「あら? どうしたの? 」

私がどう反応していいかわからず微笑むだけで返していると、さすがに怪しまれてしまった。

リーリエ様に嘘はつきたくないけど、レオンハルト様に私がこんな恋愛小説を
書いてるのを知られたくない。
夢みる乙女って絶対笑われる!

「母上、その本はどんな方が書いたのでしょうね? 」

レオンハルト様! なに余計なこと言ってるのよ!

「そうね、とても気になるわ、作者はアシェリーさんという方のようだけど、どんな方かしら、出来れば一度お会いしてお話してみたいわ 」

「意外と近くにいるかもしれないね 」

レオンハルト様はくすくすと笑いながらチラリと私を見る。

え? まさか、レオンハルト様は作者が私だって知ってる?





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