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52話 リーリエ様
しおりを挟む「意外と近くにいるかもしれないよ 」
「あら、レオンハルトはこの方を知ってるの? 」
レオンハルト様の口ぶりは明らかに作者が私だと気付いてる。
なぜ分かったのかしら。
「もしかして、これを書いたのはエリシアさんなの? 」
リーリエ様が、レオンハルト様の視線の先に気がついて私を見る。
「・・・そうですわ 」
「きゃーっっ! すごい! すごいわ! 」
仕方なくそうだと告げると、リーリエ様はめちゃくちゃはしゃいで、乙女のような瞳で私の手を取る。
「こんなに素敵なお話を書いた方と直接お会い出来るなんて夢見たい 」
「ありがとうございます。レオンハルト様、なぜ私が書いたと分かったんですか? 言ってませんでしたよね? 」
「アシェリーはエリシアのアナグラムだろ? 挿絵はクリスティーナ嬢、二人でコソコソしてるのは分かってたし、巷で噂の小説なら直ぐに俺の情報網に引っかかるからな、簡単な事だろ 」
レオンハルト様はなんでもない事のように答える。そうか、レオンハルト様に隠し事なんて出来なかったのね。
「レオンハルト、まだ市井で情報入手なんてしてるの? 危ないから辞めてって言ってるでしょ? 」
「大丈夫だよ、俺は裏方専門だから、国の情報は正確に把握して国王にお伝えするのが役目だ、それは兄上が国王になっても変わらない。俺は国を豊かにし、国民の安全と健康を守る為に生きる事が王族に生まれた意味だと思ってる 」
「その考えは素晴らしいと思うわ、でも、何時どこで何があるか分からないんだから気を付けてね 」
リーリエ様はとても心配そうにレオンハルト様を見つめる。
レオンハルト様の心情なんて初めて聞いたわ、そんな事を考えていたなんて知らなかった。
「わかってる、相変わらず心配性だな、大丈夫だよ 」
レオンハルト様ってお母様にとても優しいのね、見つめる表情がとても穏やかで、とても大切なんだってわかる。
レオンハルト様もこんな表情するのね・・・
「本当に気を付けてね、・・・・・・エリシアさんごめんなさいね、小説のお話聞かせてもらえるかしら、この挿絵もとても素敵よね、こんな絵は見たことがないわ! 」
リーリエ様はレオンハルト様のことを心配しながらも、部屋に呼んだ私に話を戻す。
レオンハルト様を見ていた時は母の顔だったのに、私に見せる表情は乙女の顔になっていた。
「お答え出来ることでしたら 」
私も、私の書いたものを面白いと言ってくれる人でクリスティーナ様以外の人とは初めて話すのでドキドキする。今後の作品の参考になるかもしれないので、リーリエ様の事もお聞き出来たら聞いてみたい。
そうして私はリーリエ様との会話を楽しみ、レオンハルト様は穏やかな表情でそれを眺めていたのだけど、途中レオンハルト様の近侍のライル様がレオンハルト様の所に来て少し話した後、
「母上、俺は失礼するけど、エリシアは置いていくからお相手をお願いします 」
そう言って出て言った。
「ここからは女子トークに切り替えね 」
レオンハルト様が居なくなったあと、リーリエ様がお茶目ににっこり笑ってくれるので、失礼だけど、本当に友達と話してる気分になってしまう。
「エリシアさんは好きな人は居るの? レオンハルト? 」
嬉しそうに聞いてくるリーリエ様、うん、まず最初にそう言うだろうとは思ってたわ。
「好きな人・・・は居ません。もちろん、レオンハルト様の事もそのようには思っていませんわ 」
「え? そうなの? でもこのお話は恋を知ってる女の子のお話よ? 本当に好きな人居ないの? 」
リーリエ様は意外だと言わんばかりに私を見つめる。
「好きな人・・・と言うか、初恋の人はいましたけど、昔の話です 」
「まぁ、そのお話、詳しく聞かせて? 」
リーリエ様の目がキラキラととても楽しそうに問いかけてくるのでつい話してしまう。
私もぼんやりとしか覚えてなくて、思い出したのは最近なんだけどね。
「そうなの、じゃあ、エリシアさんが小説を書くきっかけになったのはその男の子のおかげなのね? 」
「そうなりますね 」
リーリエ様はとても楽しそうに私の話を聞いてくれて、今もニコニコと嬉しそうに笑っている。人の初恋の話ってそんなに楽しいかしら。
「その男の子はどこの子だったのかしら、今はどうしてるのかしらね? 」
「私も家柄とか気に止めて居ませんでしたので聞かなかったんです。いつも会えると思ってましたし・・・ 」
「でも突然姿を消してしまったのね? 」
「そうなんです 」
本当に、今どこで何をしているのか、生きているのかも分からない。
もしかしたら流行病で死んでしまったの?
「ねぇ、エリシアさん、こんな事をエリシアさんに頼むのもおかしな事なんだけど、レオンハルトはずっと無理をしてるの 」
「無理? ですか? 」
突然のリーリエ様の話に少し興味が沸いた。
レオンハルト様が無理をしてるのは私も見ていてわかる。
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