『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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56話 ジャスタの提案(レオンハルト)

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エリシアが役に立つからそばに置いているのか、そう聞かれて少し返答に困った。
俺がエリシアをそばに置いているのは、俺がエリシアを好きだからだ。
だけどその為にエリシアの知識を利用してるのも確か、エリシアを好きだと言うことはジャスタに話したくない。
あ、ジャスタはエリシアを俺の婚約者だと思ったままか?

「・・・そうだな、彼女は使えるし、見目もいいからな 」

俺はとりあえずエリシアの事は便利なコマと思ってるふうに答えた。
なのに、ジャスタは見透かすように覗き込む。

「あれ? 本気でそんなこと言ってる? 」

「・・・なんだよ? 」

「俺にはレオンハルトはエリシアを大事に思ってるように見えたけど? 」

「また、お前の先見の目かよ、さぁな、どうだろうな 」

ディアルドではエリシアを婚約者だと偽っていたからそう見るのが当たり前だろうけど、ジャスタは本質を見抜く奴だから、何となく違うだろうなと思われてると思ってた。現に、エリシアをめちゃくちゃ気に入ってたみたいだし、婚約者だと言ってる俺が居るのに遠慮がなかった。
あれは俺が本物じゃないと見抜かれていたんだと思う。
なのにちゃんと本質は見抜かれてたって訳だ。本当にジャスタの目は侮れない。
嘘が通じないんだから面倒臭い相手だ。

「ふーん、俺の能力を分かっててその反応をするんならそれでもいいけどさ 」

「なんだよ、その含みを持った言い方は 」

「レオンハルトがはっきりしないなら俺が貰っても問題ないよな? 」

「な、ある! 」

思わず力いっぱい否定すると、ジャスタはクスクスと笑う。

「やっぱりエリシアは特別なんだろ? 」

可笑しそうに笑うジャスタに、乗せられたと自覚する。普段なら絶対冷静に対処するのに、1つ年上のジャスタは俺を崩すのが上手い。だから、留学してる間も余り関わらないようにしてたのにな。
こいつが皇帝になったら凄い事になりそうだ。みんな掌で転がされるんじゃないだろうか。

「・・・・・・俺がそう思ってるだけで彼女は知らない 」

「だろうな、じゃないとあんな顔はしない・・・ 」

「あんな顔? 」

「いや、こっちの話だ、それより提案がある 」

「提案とは? 」

何か意味深な事を言った気がするけど、提案と言われるとそっちに乗らない訳には行かない。
上手くそらされたな・・・

「うちとディアルドとお前んとこで三国同盟を結ばないか? 」

またサラッととんでもないことを言ってくれる。

「理由は? 」

「さっきも言ったけど、なんか企んでるだろ、それもディアルドと共同で、そこに俺も噛ませろ 」

ジャスタはさも当然のように言うけど、何を言ってんだ。

「エリシアの計画が分かってるから来たのか、これはアイスバーグとディアルド間の事業だ、まだ成功もしていない 」

「ああ、分かってる。けどそのまだ成功もしていないものに対してあいつらは警戒しているんだろ? エリシアも可哀想に・・・ 」

「ちょっと待て、何でそこでエリシアが出てくるんだ? 」

何でそこでエリシアが可哀想だという展開になるのか、こいつはどこまで知ってるんだ?

「エリシアが狙われてるのは知ってる。つい一昨日も危ない目にあった所だろ 」

「・・・何でそんなことまで知ってるんだよ 」

ジャスタが今日のこの時間、夕刻ここに到着したのなら昨日は移動中だったはず。
何処でそんな情報を手に入れたんだ? それとも一昨日にはすでに王都に入っていて俺たちの事を探っていたのか? 

「エリシアの兄のジルフレアが血相変えて城に飛び込んで行く姿を見たらなんかあったと思うだろ 」

口角を上げてにやりと笑いながら話すジャスタ。

「見てたのかよ 」

「ああ、俺の密偵がな、今この城の中に居るのも知ってるぞ 」

「優秀な密偵を持ってるな 」

嫌味も込めて褒めたのに、ジャスタは余裕の表情で俺を見る。

「お前もな 」

「どういう事だ? 」

「一昨日のエリシア誘拐の犯人、もう掴んでるんだろ? 」

「・・・・・・ジャスタは俺の周辺の事、何処まで掴んでるんだよ 」

何でも知られていそうで怖い。

「エリシアを誘拐したのはラグマドルだって事くらいしか知らないぞ 」

なるほど、だいたいジャスタの思惑が読めてきた。
エリシアが誘拐されたのは偶然だろうけど、それを好機として俺のところに来たのは間違いない。
このタイミングの良さももしかして先見の目の能力か?



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