『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

文字の大きさ
58 / 71

58話 お城は慌ただしい

しおりを挟む



私がお城に来てから3日目、突然レオンハルト様がディアルド王国に行く事になったと告げられた。

「え? 急にどうしたんですか? 」

ディアルドは鉄道開発を急ピッチで進めていて、採掘場から街までの路線は敷き終わったと聞いているけど、まだ肝心の列車が完成していない。
開通式には呼ばれると聞いていたけど、それもまだ先だと思っていたのに、急になんの用かしら・・・

「少し政治的な話でディアルドのシュナイダー王と直接話しをしなきゃいけない件が出来たんだ、ここに来たばかりで心細い思いをすると思うけど、しばらく留守を頼む 」

にっこり王子の笑顔を浮かべながら言うレオンハルト様、レオンハルト様も忙しい身なのに私の事を構ってくれてたんだと、今さらながら気が付いた。

「いつ出発されるんですか? 」

「急ぐ話なんで明日には出るよ、馬で行くからそんなに日数は掛からない 」

「そうですか、気を付けて下さいね 」

「うん 」

そう答えたレオンハルト様は何だか何時もより元気がないように見えた。 

「・・・何かありましたか? 」

元気が無いように見えたことを正直に尋ねるか、見なかった振りをするのか一瞬考えたけど、何故か今日は素直に聞いてみたくなった。

「ん? 何も無いよ 」

柔らかに笑うレオンハルト様は明らかにいつもと違う。
レオンハルト様は演技以外で私にそんなに優しい笑顔と言葉遣いはしないわ。まぁ、言いたくないのならいいんだけど、一度気になると余計気になるわね・・・

「何も無いならいいんですけど、いつもより元気ないですよ? 」

私がそう言うと、レオンハルト様は少し驚いたように私を見る。
失礼ね、人の杞憂に私が気付かないとでも思ってたのかしら。

「・・・何も無い、やっぱり俺はエリシアが好きだな 」

またいつものお立て言葉、こういう言葉を口にする時はろくな事がない。

「はいはい、今度は何に私を嵌めようとしてるんですか? 」

「・・・っ 」
コンコンコンッ

レオンハルト様が何か言おうとするのと、私の部屋のドアが鳴るのとが同時だった。
私は叩かれたドアの方を見る。

「どうぞ 」

誰かしら? お兄様が来てくれたのかしら?
そう思ったのに、扉が開いて姿を表したのは意外な人物だった。

「エリシア! 久しぶりだな、エリシアの顔が見たくて来てしまったぞ! 」

「ジ、ジャスタ殿下?? 」

私は居るはずの無い、一番予想していなかった人物の登場に驚いた。
そしてレオンハルト様は私の隣で深い溜息を着いた。

「ジャスタ、後で連れて行くから待ってろって言っただろ 」

「遅いから来てしまった、そもそも俺が待てるわけない 」

えっと・・・何から突っ込んでいいのかしら。
「待てるわけない」って、ジャスタ殿下、犬でも待ては出来ますよ。
そしてレオンハルト様、ジャスタ殿下が来ている事を黙っていたのね?
まぁ、言う機会が無かったのかもしれないけど・・・さっきそれを言おうとしたのかしら?

「ジャスタ殿下、お久しぶりです。いつこちらにいらっしゃったのですか? 」

「一昨日だ、ちょっとレオンハルトに用があって来たんだけど、エリシアが居るって分かったら会いに来ない訳には行かないだろ? 」

相変わらずイケメンな顔でウインクしながら話すジャスタ殿下、とりあえず在り来りな言葉で返そう。

「いつもお上手ですわね、ジャスタ殿下からお越し頂けるなんて光栄ですわ 」

にっこり笑って答えると、ジャスタ殿下が近づいて来て私の手を取る。

「え? 」

突然の事に驚く私の手の甲にキスを落として見つめる。

「俺と結婚しないか? 」

「はい? 」

「おい、何言ってんだよ 」

突然の告白(求婚)に困惑していると、直ぐに横からレオンハルト様が痛いものを見るかのような目付きで(何言ってんだこいつ)とでも言いたげに突っ込みを入れる。
あれ? そう言えば、ジャスタ殿下が居るのに素のレオンハルト様だわ。

「レオンハルトに言ってないよ、今俺はエリシアに言ったんだ、エリシア、どうだ? 俺の后にならないか? 」

「あの、私は身分が低いのでそのようなお言葉をいただくのに相応しくありません 」

ジャスタ殿下の后? 妾ではなく? そんな事冗談に決まってる。

「俺の国は身分には寛容だぞ、アイスバーグほど堅苦しくない、自由な国だ 」

「堅苦しい国で悪かったな 」

ジャスタ殿下の言葉に反応したのはレオンハルト様だ。
何だか苦虫を噛み潰したような顔をしている。
自分の国を侮辱されたのが気に入らないのね、でもジャスタ殿下の言っている事は本当の事だもの、だからレオンハルト様もそれ以上言い返せないでいる。

「レオンハルトが頑張っているのは知ってるさ、だけど、何時までも時間を掛けてたら俺が貰うぞ 」

えっと・・・ジャスタ殿下は何が言いたいのかしら? レオンハルト様が頑張ってる? 何を? 俺が貰う? 何を貰うのかしら? なんの話しをしてたっけ?

「ジャスタがどう思おうと、俺はエリシアの意志を尊重する 」

「それもそうだな、エリシア、返事を聞かせてくれるか? 」

「ええ? 私? もしかして、貰うって私の事? 」

「今エリシア以外に欲しいものなんてないぞ、今の会話で他の話なんてしたか? 」

「いえ、・・・そうですね 」

ああ、何だか他人事のように聞いてたけど、今ジャスタ殿下は私に求婚してるのよね?
何だか冗談では無いようだし・・・私はどうすればいい?




しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...