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67話 全て終わったあとに (レオンハルト)
しおりを挟むーーーー 2年後 ーーーー
2年前、俺がヘマをして昏睡状態に陥ったあと、目覚めると、俺の身体を蝕んでいた毒は消えていた。
あんなに苦しかった痛みが嘘のように消えていて、肩の矢傷以外は元通り戻っていた。
そして、俺が回復することが出来た理由を母から聞かされた時、俺はどん底に突き落とされた気持ちになった。
俺を助ける為に、解毒薬と引き換えにエリシアはクシャナ帝国のジャスタの元に行った。
そして、体力回復の為療養している間に、アイスバーグ、クシャナ、ディアルドの三国同盟がラグマドルを討ち取ったという報告が入ってきた。
大事な時に動けなかったのは痛い。
だけど、早く事が片付いたのはジャスタが先読みでディアルド近くに兵を待機させていたかららしい。直ぐに父上にラクマドルへの報復を申し出たのもジャスタだ。
ジャスタには叶わないと思った。エリシアは俺なんかより、ジャスタの元にいた方が幸せになれるんだと思って割り切る事でしか前を向くことが出来なかった。
「殿下、もうすぐディアルド王宮に到着です 」
「分かった 」
従者の声に軽く答えて窓の外を眺める。
そこにはディアルド王国の城が近付いている。
今日はディアルド王国と、アイスバーグ王国を繋ぐ鉄道の開通式が行われるため、俺は賓客としてここに来た。
エリシアが始めた事業はクリスティーナ嬢が引き継いでくれたので、ここまでなんの問題もなく進めてくることが出来た。
そのクリスティーナ嬢も今日は別の馬車で来ている。
俺たちはディアルドを出る機関車に乗って我が国に帰る事になる。
女性が主体となって進めてきた事業が実を結ぶ。これにはアイスバーグの男共も驚き頭を下げるだろう。
そんな場所にエリシアが居ないのが悔しいけど、今更仕方がない。
・・・・・・そう、今更エリシアの事を考えても仕方がない。
俺はジャスタの提案で、ジャスタの妹を嫁に迎える事を了承したのだから・・・・・・
あれ以来、ジャスタとは何度か会っているがお互いエリシアの話をしたことは無い。
エリシアは幸せだろうか?
そこまで考えて首を大きく横に振る。
ダメだ、エリシアのことは考えても無駄だと思ったばかりなのに、俺ってこんな女々しい奴だったのか?
元々俺はエリシアがジャスタを選んでも祝福してやるつもりだったのに、心はこんなに脆かったのかと言うくらいにダメになってしまった。
エリシアが居なくなってから、ポーカーフェイスが苦手になった。こんな事ではジャスタの妹に失礼だ。早く忘れなければ・・・
そう考えているうちにディアルド王国の城に到着した。
「レオンハルト殿、ようこそ 」
「お久しぶりです。シュナイダー国王 」
相変わらず気さくな笑顔で、国王自らの出迎えに、こちらも笑顔で返す。
うん、ちゃんと笑顔は作れてる。大丈夫だ。
「やっと完成したな 」
「ええ、長かったですね 」
「おいおい、ちょっと待て、まだ完成じゃないだろ 」
シュナイダー国王の後ろから声がして、話に入ってきたのはジャスタだ。
「ジャスタ陛下 」
「おい、辞めてくれ、レオンハルトに陛下なんて呼ばれると虫唾が走る 」
相変わらず人好きのする笑顔で笑うジャスタはラクマドルを落として直ぐに皇帝の座に着いた。
なのに相変わらずあちこち動き回っている自由な皇帝だ。
「そうだな、クシャナ帝国に線路が繋がって三国が機関車で繋がって始めて完成だったな 」
シュナイダー国王が改めて俺とジャスタの肩に手をかける。
「そうですね、クシャナ帝国の技術者が入って線路を敷く作業も加速しましたから、クシャナ帝国に繋がるのももうすぐですね 」
「当たり前だ、全労力を路線開通に注ぎ込んでいるんだ、早く出来てもらわなければ困る 」
ジャスタはそう言って俺の方を見る。
「線路が繋がれば俺の妹の里帰りも容易くなるからな 」
「ジャスタ陛下は妹思いですね 」
しっかり俺に釘を刺してくるジャスタに、いつものポーカーフェイスでにっこり笑って答える。
「ああ、シュナイダー王、今日は貴殿の城を俺達のために使わせてもらってすまない、少し借りる事になるが良いだろうか? 」
ジャスタは俺のポーカーフェイスは無視してシュナイダー国王に向き直ると、改めてこれからのことに断りを入れる。
「とんでもない、こんなめでたい事はない、いくらでも使ってくれ 」
「ありがたい、では遠慮なく一室をお借りする 」
「ああ、案内させる 」
シュナイダー国王はそう言うと侍女に合図を送った。合図を受けた侍女が先に立って深々と礼をした後、俺たちを連れて歩き始める。
実は、今日はジャスタの妹、俺の妻になる女性とここで会うことになっている。
第二王子の存在意義は有力者との繋がりの為の婚姻だ、それもクシャナ帝国と深く繋がりを持つことになるなら俺の役目は十分に果たしていると言える。
それにジャスタの妹だ、美人なんだろう。
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