『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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66話 条件

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は? 古代語? 何それ?

「ええ?? 何ですかそれ? 普通に読めますよ? 」

ジャスタ殿下は何を言ってるの? どう見ても普通の文字なんだけど・・・

「・・・・・・なるほど、エリシアは解読の能力持ちだったのか、ますます欲しいな 」

理解したようにしみじみと私を見るジャスタ殿下、私は理解出来てませんけど!

「解読の能力? 何ですか?それ 」

「俺は先見の能力を持っている。稀にそういった特殊な力を持った者が生まれるんだが、知らなかったのか? 」

「初耳です 」

知らなかった、私にそんな力があったなんて・・・読んでた物語の中にも、ゲームの中にもそんな設定は無かったんだけど・・・転生特典?

「で、解毒薬だよな、俺も一緒に居てレオンハルトをあんな目に遭わせてしまった以上、責任はあるがあれは我が帝国の宝だ。簡単には渡せない 」

「そうですよね・・・・・・でも今はそれしかないんです! レオンハルト様が助かるなら何でもします! どうか薬を譲ってください! 」

「何故そこまでする? 」

「・・・・・・私、レオンハルト様のことが好きだってやっと気がついたんです。レオンハルト様がもう一度笑ってくれるなら、私に出来ることは何でもします。このままレオンハルト様を失いたくないんです 」

ジャスタ殿下には何故か素直に打ち明けてしまう。いつもの見透かす目は、きっとこうなる事を分かっていたからかもしれない。

「・・・・・・そうか、俺は失恋した訳だ 」

「あっ・・・ 」

「・・・・・・なるほど、あの先見はこういう事だったのか・・・・・・そうだな、俺もレオンハルトは大事な親友だ、助けてやりたい。だけど国の宝を出すには、エリシアにはそれなりの条件を呑んでもらう 」

張り詰めた空気を壊すように、深くため息をついて何かを呟いたあと、ジャスタ殿下はニヤリと笑って私を見る。

「条件? 」

「今熱いレオンハルトへの想いを聞いたばかりだが、やっぱり俺もエリシアの事は諦められない 」

熱い思いって! なんか恥ずかしい言い方しないで欲しい。
で、ジャスタ殿下の言いそうな事は想像出来る。

「エリシアにはクシャナに来てもらう。クシャナの皇族になれ、それを条件に薬はすぐに運ばせるさ 」

やっぱり・・・というか、

「そんな条件で・・・私と引き換えに大事な国の宝を渡してもらってもいいんですか? 私にはそんな価値はありませんけど・・・ 」

「お前はまだ自分の価値に気がついていないのか? 」

ジャスタ殿下は足を組みかえて片手に顎を乗せながら嘆息する。
金色の瞳で射貫くように見つめられると思わずドキッとしていまう。
やっぱりイケメンは何しても様になるわね・・・カッコイイ。じゃなくて、

「価値? 」

「お前は解読の能力を持っている。それに今まで読んだ本の内容を全て覚えているんじゃないか? それは立派な能力だぞ 」

確かに・・・読んだ本の内容はほぼ覚えてるわ、それってそんなに凄いこと?
お兄様も読んだ本の内容は全て覚えてるから普通かと思っていたけど、でもそれで・・・私がクシャナに行けばレオンハルト様が助かるのなら・・・生きていてくれるならそれでいい。
それより今はグズグズしていられない。

「・・・・・・分かりました。クシャナに行きます。直ぐに薬を運んで下さい 」

真っ直ぐにジャスタ殿下を見据える私を、ジャスタ殿下も真剣な眼差しで受け止めてくれた。

「分かった。すぐに手配しよう 」

そう言ってジャスタ殿下は部屋を出て行った。

どうか薬が届くまでレオンハルト様が無事でいますように・・・
あまり祈ることの無い神様に今更縋っても聞いてくれるか分からないけど、どうすることも出来なくて祈っていると、しばらくして部屋のドアが鳴った。

「はい 」

「エリシア、解毒薬は手配した。直ぐに届くから安心しろ 」

返事を待って入ってきたのはジャスタ殿下だった。

「直ぐと言っても数日掛かりますよね・・・間に合うかしら・・・ 」

「心配することは無い。明日の朝には届くよ 」

「え? そんなに早く届くはずがありません 」

ジャスタ殿下の言葉が信じられなくて真剣に否定する私を、ジャスタ殿下は自信ありげに鼻で笑いながら見下ろす。

「俺を誰だと思っている。実はレオンハルトが刺された後、直ぐに手配を掛けていたんだ。襲われた場所はクシャナにも近かったからな、直ぐに知らせが行ってるはずだ 」

「え? 手配していた? じゃあ、私が言わなくても薬は届けられていたんですか? 」

もしかして、私はジャスタ殿下に騙されたの?

「それは違う、俺もあの瞬間、薬をここに届ける未来が見えたからそうしただけだ、本当に渡すかどうか、ずっと悩んでいたんだ。何しろ、帝国にもひとつしかない代物だからな・・・ だけど、精製方法を知るエリシアが手に入るんだ、薬の1つくらい、容易いものだ 」

ニヤリと笑うジャスタ殿下はやっぱり凄い人だと思った。きっとジャスタ殿下の収める帝国は更に発展するだろう。

「・・・・・・ジャスタ殿下、お願いがあります 」

「何だ? 俺はお前の弱みに付け込んでお前を手に入れようとした男だ、出来ることなら何でも聞いてやるさ 」

言葉は荒っぽいけど、ジャスタ殿下は真っ直ぐに私を見て優しい眼差しで微笑む。

「薬が届いたのを確認したら、直ぐに私をクシャナに連れて行ってください 」

「レオンハルトに会わなくていいのか? 」

「会ったら決心が鈍ってしまいそうなので、レオンハルト様が目覚める前にここを経ちたいんです 」

「・・・・・・分かった、本当にすまないが、俺もエリシアが欲しい、だから俺が国に連れて帰るよ 」

そう言ったジャスタ殿下の表情は、申し訳なさそうな、寂しそうな表情で、私を手に入れることが出来た喜びはどこにも感じることが出来なかった。





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