65 / 71
65話 助ける方法
しおりを挟む突然、このままレオンハルト様が死んでしまうと告げられた。
さっきまでそんな事考えもしなかった。
また普通に話せると思っていた。また私をからかって笑うんだと思っていた。
でも、今目の前に居るレオンハルト様は刻一刻と命を蝕まれている。
これは嘘では無いのだと、隣に居るリーリエ様の涙が物語っている。
代われるものなら代わりたい。お願い、目を開けて、私を見て笑って?
「レオンハルト様・・・・・・私・・・ 」
私はレオンハルト様が好きだ。こんな状況になってやっと分かった。
「どうすればいいの? レオンハルト様が居なくなるなんて嫌よ 」
「エリシアさん・・・ 」
「リーリエ様、私に何かできることは無いのかしら、何でもするわ 」
リーリエ様の手を取って問いかけても、リーリエ様は首を横に振るだけだった。
「私にもどうすればいいか分からないの、ただこの毒はラクマドルで作られた薬だとしか・・・ 」
「なら、ラグマドルには解毒薬があるのでは無いの? ラグマドルにお願いすれば・・・ 」
そこまで言ってそんな事は無理だという答えが先に頭をよぎる。
レオンハルト様を襲ったのはラグマドルの刺客、ラグマドルがレオンハルト様を助けることは有り得ない。
もしもお願いしたなら、ラグマドルの出す条件は分かりきっている。
三国同盟の撤廃、ディアルドとの盟約の取り消し、我が国、アイスバーグ王国の受け渡し、考えられる条件は沢山あるけど、どれも呑めるものでは無い。
レオンハルト様1人を救う為に、国を危険に晒すことになってしまう。
「・・・・・・どうすれば・・・」
いつの間にか、頬を涙が伝っていた。
次々に溢れる涙で、レオンハルト様の顔も歪んで見える。
「レオンハルト様・・・ 私あなたに伝えてない事があるの・・・・・・ 」
好きだと言えてない。
求婚に答えてあげれてない。
最後に見たレオンハルト様は何だか元気が無かった。
きっと、私がジャスタ殿下を選ぶと思っていたからだ。
・・・・・・・・・ジャスタ殿下? クシャナ帝国!
そうだ、確か私の読んだ本の中にあったわ、あれは・・・
「エリシアさん? どうしたの? 」
考え事をしていて突然固まってしまった私を心配そうにリーリエ様が覗き込んできた。
「あ、リーリエ様、何でもありません、少し思い出したことがあって・・・私失礼します 」
そう言うと、立ち上がってレオンハルト様の部屋を後にした。
ジャスタ殿下は国王陛下に謁見に行くと言っていたわ、それならここを通って戻ってくるはず。
私はジャスタ殿下が戻ってくるまでに、図書館に行って確かめたい事を確認して、確信を得てからジャスタ殿下が戻って来るのを待ち構えた。
「エリシア、こんな所でどうしたんだ? 」
私が図書館から戻ってしばらくしてジャスタ殿下は戻ってきた。
「ジャスタ殿下にお願いがあって待っていました、少しお時間を頂けませんか? 」
「何だ? ここでは話せない内容なのか? 」
「ええ、出来れば人払いをお願いします 」
「分かった、では俺の部屋に来るか? それともお前の部屋がいいか? 」
「私の部屋でお願いします 」
男性と二人きりになるなんて、やってはいけないことだけど仕方がない、それに、ジャスタ殿下はそんな人じゃないと思う。
「分かった、この状況での誘いが喜ばしい事では無いと思うが、聞こう 」
ジャスタ殿下はそう言って私の部屋まで来てくれた。
「で、話とは? 」
ジャスタ殿下はカウチに座って足を組みながら問いかける。
私も正面の椅子に座って落ち着いて話し始めた。
「確認したい事があるのですが・・・レオンハルト様を苦しめている毒はレッドノバという毒では無いですか? 」
「うん、流石博識だな、その通りだ 」
ジャスタ殿下は驚いたように私を見る。
「やっぱり、そして、レッドノバを中和させる薬、ブルーノバはジャスタ殿下の住む後宮に有りますよね? 」
「・・・・・・何故それを知っている 」
私の問いかけに、明らかにさっきよりも大きく驚きの色を露わにするジャスタ殿下。
「本で読みました。レッドノバを開発したのはラグマドルと、帝国になる前のクシャナ王国、まだその頃は友好関係にあったクシャナの科学者は偶然生み出してしまった危険な薬をこの世から消してしまおうとした。だけど、ラグマドルに阻まれ完全に消し去ることは出来なかった。しかも、中和剤であるブルーノバの原料はラグマドル王国の奥地にある洞窟にしか生息しない苔から抽出されるので、他国はそこに関与できない。そして、ラグマドルから唯一逃げ出すことが出来た1人がクシャナに持ち帰ったブルーノバはたったの1回分、何百年経った今でもそれは、使われることなくクシャナ帝国の後宮に大事に保管されている。もしも、皇帝がレッドノバに侵されてしまった時のために・・・ 」
「そんな本どこで見たんだ? 」
「この城の図書館で・・・ ここに特別に借りてきています 」
私はテーブル置いた本のその記述がある場所を開いて見せた。
「・・・・・・どうしてこれがここに・・・ 」
ジャスタ殿下は戸惑いと驚きで困惑したように本を眺める。
「どうしてここにあったのか、私には分かりませんが、ブルーノバの作り方はここに記されています。でも原料はラグマドルにしかないので今すぐ手に入れる事なんて出来ません。もしかしたらこの先も手に入れることは出来ないんです 」
「ちょっと待て、精製方法が載ってるのか? 」
「ええ、ここに・・・ 」
そう言ってある一文を指さしてみせる。
だけどジャスタ殿下の反応がいまいち鈍い。
「エリシア、お前はこれが読めるのか? 」
「え? 読めますけど・・・何かおかしな事でも? 」
ジャスタ殿下は何を言っているのかしら、普通に読めるけど、これはジャスタ殿下の国の言葉では無いのかしら。
「俺には全く読めん、と言うかエリシア、お前はこの文字が理解出来るのか? 」
「ええ、普通に読めますけど、そんなに驚くことですか? 私の国の言葉ですよね? 」
いつも読んでる本と変わりないようにしか見えないけど、何か特別なことでもあるのか、ジャスタ殿下は苦笑いで私を見る。
「いや、これ古代語だぞ、これを書いた人物も相当マニアックな奴か、これを人に見せたくなかったかのどちらかだな 」
「・・・・・・え? 」
20
あなたにおすすめの小説
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる