『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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65話 助ける方法

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突然、このままレオンハルト様が死んでしまうと告げられた。
さっきまでそんな事考えもしなかった。
また普通に話せると思っていた。また私をからかって笑うんだと思っていた。
でも、今目の前に居るレオンハルト様は刻一刻と命を蝕まれている。
これは嘘では無いのだと、隣に居るリーリエ様の涙が物語っている。
代われるものなら代わりたい。お願い、目を開けて、私を見て笑って?

「レオンハルト様・・・・・・私・・・ 」

私はレオンハルト様が好きだ。こんな状況になってやっと分かった。

「どうすればいいの? レオンハルト様が居なくなるなんて嫌よ 」

「エリシアさん・・・ 」

「リーリエ様、私に何かできることは無いのかしら、何でもするわ 」

リーリエ様の手を取って問いかけても、リーリエ様は首を横に振るだけだった。

「私にもどうすればいいか分からないの、ただこの毒はラクマドルで作られた薬だとしか・・・ 」

「なら、ラグマドルには解毒薬があるのでは無いの? ラグマドルにお願いすれば・・・ 」

そこまで言ってそんな事は無理だという答えが先に頭をよぎる。
レオンハルト様を襲ったのはラグマドルの刺客、ラグマドルがレオンハルト様を助けることは有り得ない。

もしもお願いしたなら、ラグマドルの出す条件は分かりきっている。
三国同盟の撤廃、ディアルドとの盟約の取り消し、我が国、アイスバーグ王国の受け渡し、考えられる条件は沢山あるけど、どれも呑めるものでは無い。
レオンハルト様1人を救う為に、国を危険に晒すことになってしまう。

「・・・・・・どうすれば・・・」

いつの間にか、頬を涙が伝っていた。
次々に溢れる涙で、レオンハルト様の顔も歪んで見える。

「レオンハルト様・・・ 私あなたに伝えてない事があるの・・・・・・ 」

好きだと言えてない。
求婚に答えてあげれてない。
最後に見たレオンハルト様は何だか元気が無かった。
きっと、私がジャスタ殿下を選ぶと思っていたからだ。

・・・・・・・・・ジャスタ殿下? クシャナ帝国!

そうだ、確か私の読んだ本の中にあったわ、あれは・・・

「エリシアさん? どうしたの? 」

考え事をしていて突然固まってしまった私を心配そうにリーリエ様が覗き込んできた。

「あ、リーリエ様、何でもありません、少し思い出したことがあって・・・私失礼します 」

そう言うと、立ち上がってレオンハルト様の部屋を後にした。

ジャスタ殿下は国王陛下に謁見に行くと言っていたわ、それならここを通って戻ってくるはず。


私はジャスタ殿下が戻ってくるまでに、図書館に行って確かめたい事を確認して、確信を得てからジャスタ殿下が戻って来るのを待ち構えた。


「エリシア、こんな所でどうしたんだ? 」

私が図書館から戻ってしばらくしてジャスタ殿下は戻ってきた。

「ジャスタ殿下にお願いがあって待っていました、少しお時間を頂けませんか? 」

「何だ? ここでは話せない内容なのか? 」

「ええ、出来れば人払いをお願いします 」

「分かった、では俺の部屋に来るか? それともお前の部屋がいいか? 」

「私の部屋でお願いします 」

男性と二人きりになるなんて、やってはいけないことだけど仕方がない、それに、ジャスタ殿下はそんな人じゃないと思う。

「分かった、この状況での誘いが喜ばしい事では無いと思うが、聞こう 」

ジャスタ殿下はそう言って私の部屋まで来てくれた。

「で、話とは? 」

ジャスタ殿下はカウチに座って足を組みながら問いかける。
私も正面の椅子に座って落ち着いて話し始めた。

「確認したい事があるのですが・・・レオンハルト様を苦しめている毒はレッドノバという毒では無いですか? 」

「うん、流石博識だな、その通りだ 」

ジャスタ殿下は驚いたように私を見る。

「やっぱり、そして、レッドノバを中和させる薬、ブルーノバはジャスタ殿下の住む後宮に有りますよね? 」

「・・・・・・何故それを知っている 」

私の問いかけに、明らかにさっきよりも大きく驚きの色を露わにするジャスタ殿下。

「本で読みました。レッドノバを開発したのはラグマドルと、帝国になる前のクシャナ王国、まだその頃は友好関係にあったクシャナの科学者は偶然生み出してしまった危険な薬をこの世から消してしまおうとした。だけど、ラグマドルに阻まれ完全に消し去ることは出来なかった。しかも、中和剤であるブルーノバの原料はラグマドル王国の奥地にある洞窟にしか生息しない苔から抽出されるので、他国はそこに関与できない。そして、ラグマドルから唯一逃げ出すことが出来た1人がクシャナに持ち帰ったブルーノバはたったの1回分、何百年経った今でもそれは、使われることなくクシャナ帝国の後宮に大事に保管されている。もしも、皇帝がレッドノバに侵されてしまった時のために・・・ 」

「そんな本どこで見たんだ? 」

「この城の図書館で・・・ ここに特別に借りてきています 」

私はテーブル置いた本のその記述がある場所を開いて見せた。

「・・・・・・どうしてこれがここに・・・ 」

ジャスタ殿下は戸惑いと驚きで困惑したように本を眺める。

「どうしてここにあったのか、私には分かりませんが、ブルーノバの作り方はここに記されています。でも原料はラグマドルにしかないので今すぐ手に入れる事なんて出来ません。もしかしたらこの先も手に入れることは出来ないんです 」

「ちょっと待て、精製方法が載ってるのか? 」

「ええ、ここに・・・ 」

そう言ってある一文を指さしてみせる。
だけどジャスタ殿下の反応がいまいち鈍い。

「エリシア、お前はこれが読めるのか? 」

「え? 読めますけど・・・何かおかしな事でも? 」

ジャスタ殿下は何を言っているのかしら、普通に読めるけど、これはジャスタ殿下の国の言葉では無いのかしら。

「俺には全く読めん、と言うかエリシア、お前はこの文字が理解出来るのか? 」

「ええ、普通に読めますけど、そんなに驚くことですか? 私の国の言葉ですよね? 」

いつも読んでる本と変わりないようにしか見えないけど、何か特別なことでもあるのか、ジャスタ殿下は苦笑いで私を見る。

「いや、これ古代語だぞ、これを書いた人物も相当マニアックな奴か、これを人に見せたくなかったかのどちらかだな 」

「・・・・・・え? 」





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