『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

文字の大きさ
70 / 71

69話 決意の後

しおりを挟む



レオンハルト様を助ける為、クシャナに行くと決めた後、リーリエ様に挨拶に行った。

「レオンハルトの為にあなたが犠牲になることなんて無いのよ? どうしてそこまで・・・ 」

「私、レオンハルト様の事が好きなんです。だから、たとえこの先会うことが出来なくても生きていて欲しいと願ってしまったんです。そして、私に出来ることでレオンハルト様が助かるなら何でもすると、だから私は誇りを持ってクシャナに行きます 」

「エリシアさん・・・ 」

リーリエ様は私を見て何かを思案するように視線を彷徨わせた。

「? 」

「今更こんなこと言ったらエリシアさんの決心が鈍るかもしれないけど・・・でも知っていて欲しいの 」

「何をですか? 」

「・・・・・・エリシアさんは昔、街の図書館で男の子と仲良くなったと言ってたわね 」

「はい、そうです 」

初恋の男の子、私がお話を書くきっかけをくれた人。

「あの時会った男の子はね、エリシアさんの事が大好きだったのよ 」

「え? 」

優しい眼差しで私を見つめるリーリエ様。
ハルトが私を好きだった?

「真っ直ぐな瞳で、自由に生きる貴方に憧れてもいたわ 」

「・・・・・・何故リーリエ様がそれを・・・ 」

「あの子は私の所に来る度によく話してくれていたのよ、エリシアさんを幸せにするにはどうしたらいいかって 」

懐かしそうに話すリーリエ様の表情に、とある思考が頭をよぎる。

「まさか・・・あの時のハルトがレオンハルト様なの? 」

私の質問に、リーリエ様は優しく微笑むだけだった。

「エリシアさんが幸せになる事はあの子の願いでもあるの、だから、どうか幸せになってね 」

その言葉に、今まで我慢していた感情が一気に溢れて涙が幾重も頬を伝う。

「・・・っ・・・、はい、・・・っ、必ず幸せになります! 」




そして、ジャスタ殿下に連れられて国王陛下の元に行ったあと、すっかりいつもの様子に戻って何か忙しそうにしていたお兄様にも別れを告げた。
お兄様は自分の失態で妹を多国にやる事を本当に悔やんでいたけど、お兄様に、
「私はクシャナの皇族になるのよ?今の暮らしよりずっといい暮らしができるわ、今から楽しみで仕方がないの 」
と笑って言うと、少し困った表情で笑っていた。
お兄様を騙せるとは思わないけど、そう言えばお兄様はレオンハルト様と私を引っ付けるために協力していたんだっけ? ごめんね、お兄様。
なんて事を思いながらクシャナに向かった。


クシャナに着いてすぐに、私は皇帝に謁見する為、身を清めてクシャナの正装を着せられた。
そして、ジャスタ殿下と共に皇帝の御前にひれ伏した。

「陛下、既に知らせを入れております者を連れて参りました 」

ジャスタ殿下が敬語を使うの初めて聞いたわね、なんてどうでもいい事を考えて緊張を紛らわせていると、ジャスタ殿下の口から思いもよらぬ言葉が飛び出した。

「この者を陛下の養女に迎えて下さい 」

・・・・・・え? 

「うむ、詳細は既に聞いておる。その者、顔を上げよ 」

「・・・・・・はい 」

私は顔を上げながらもさっきのジャスタ殿下の言葉が聞き間違いだったのか考えていた。

「うむ、見目美しいな、読解の能力を持っているものは珍しい、それにジャスタが言うのだ、間違いなかろう。良かろう、その者の覚悟があるなら血の儀式を行うが良い 」

ジャスタ殿下のお父上にしては意外と老けたおじいちゃんに近い(失礼)陛下はあっさりと私を皇族に迎える事を了承してくれた。



「ジャスタ殿下、ちょっと待ってください 」

謁見の間を出て直ぐに慌てて呼び止める。

「何だ? 」

「私が皇帝の養女? ジャスタ殿下の側室か何かじゃないんですか? 」

てっきり私はジャスタ殿下のお嫁さんになるんだと思ってた。

「その方が良いなら俺も嬉しいんだけどな、もちろん側室ではなく、正室にするぞ 」

ニヤリと笑うジャスタ殿下。

「いや、今は側室とか正室とかそんな事ではなくて、私はどういう立場でここに来たんですか? 」

「父上の養女にする為だが、嫌なら俺が嫁に貰うぞ 」

あっけらかんと言い放つジャスタ殿下に、一瞬思考が停止しそうになるのを何とか回す。

「私そんなこと聞いてません! 」

「うん、言ってないからな 」

そう言うと、急に真顔になって壁に片手を付いて迫ってきた。
おお、イケメンの壁ドン! ・・・なんて喜んでる場合じゃない。

「俺はお前を幸せにしてやる。だから、大人しく俺に従っとけ 」

そっと耳元で囁かれて耳が火照る。

「ど、どういう事ですか? 」

さっぱり分からない私を楽しそうに見つめる俺様なジャスタ殿下は何処と無くレオンハルト様を思い出させる。

「今はまだ教えてやらん。それより陛下の許しは得た。血の儀式は皇族全ての承認が必要だ。今から皇族を一人一人回るけど、体力は残ってるか? 辛いなら明日にするぞ? 」

何だか分からないけど、こういう気遣いはジャスタ殿下だわ。いい男過ぎる。

「大丈夫です 」

私も皇室に入ると心を決めてきたんだから、今更逃げない。今はジャスタ殿下の言う事に従おう。

そうして皇族全てを回ったけれど、余程ジャスタ殿下が皆から信頼されているのか、私が皇族の仲間入りをすることに対して、誰も反対する人は居なかった。

血の儀式、一番濃い皇族、つまり皇帝、皇后、ジャスタ殿下等の皇帝の子の血をお酒の入った杯に1滴ずつ混ぜて飲み干す儀式で私は皇族の仲間入りを果たした。

それを見届けると直ぐに、ジャスタ殿下はまた旅立ってしまったんだけど、後から聞くと、ラグマドルに攻め込み、見事攻め落としてきたらしい。
やっぱりジャスタ殿下は凄いと感心した。
そして、その功で、皇帝が座を明け渡すと宣言した為、ジャスタ殿下は皇帝の座に着くことになった。

後から私が養子になった理由を聞かされた時は、本当にジャスタ殿下に頭が上がらなかった。

「クシャナの皇女ならあのいけ好かないアイスバーグの王妃も文句はないだろ? 」

満足そうに笑うジャスタ殿下に、何故そこまでしてくれるのか本当に不思議だったけど、ジャスタ殿下は無理やり人を縛るより、人の心を動かして自分に返ってくる事を望む人だと、傍で見ていて理解した。
 




しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

追放された悪役令嬢は貧乏になっても図太く生きますわ!

ワールド
恋愛
貴族の娘として生まれた公爵令嬢クラリッサ。 陰謀の濡れ衣を着せられ、華やかな社交界から追放――そして辿り着いたのは、ボロ小屋と畑だけの辺境村!? 「結構ですわ! 紅茶がなければハーブティーを淹れればいいじゃありませんの!」 貧乏生活でも持ち前の図太さで、村の改革に乗り出すクラリッサ。 貧乏でも優雅に、下剋上でも気高く! そんな彼女の前に現れたのは、前世(王都)で彼女を陥れた元婚約者……ではなく、なぜか彼の弟で村に潜伏していた元騎士で――? 「俺は見てた。貴女の“ざまぁ”は、きっとまだ終わっちゃいない。」 ざまぁとスローライフ、そしてちょっとの恋。 令嬢、辺境で図太く咲き誇ります!

単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?

甘寧
恋愛
婚約破棄したい令嬢が、実は溺愛されていたというテンプレのようなお話です。 ……作者がただ単に糸目、関西弁男子を書きたかっただけなんです。 ※不定期更新です。

処理中です...