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70話 その先の物語
しおりを挟む「本当に、俺と結婚していいのか? 」
改めて問いかけるレオンハルト様は何だか自信なそうな表情をしている。
「はい、お兄様であるジャスタ陛下のご好意を無駄にはできません 」
「そうか・・・そうだな・・・」
「おいおい、何だ? 嬉しくないのか? 」
陛下が言うのも最もだわ、レオンハルト様は何だか歯切れが悪い。
もしかして、もう他に良い人が出来た?
・・・そう思うと少し胸が締め付けられる・・・
「レオンハルト様、もしも迷惑なら、私は陛下と共にクシャナに帰ります 」
「いや、そういう事じゃないんだ、ただ、・・・エリシアの意思が知りたかっただけなんだ 」
そう言われて、私は自分の気持ちをレオンハルト様に伝えていなかったんだと気が付いた。
「私はレオンハルト様の事が好きです。あの日、たとえ会うことが出来なくなっても生きていて欲しいと願った。けれど、出来るならずっと隣に居たかったんです。その願いを、ジャスタ陛下は汲み取って叶えてくれました。それがどれほど嬉しい事だったか・・・ 」
話しているうちにレオンハルト様が目の前にいる事が本当に嬉しくて、また涙が溢れてくる。
「エリシア・・・ 」
レオンハルト様はそっと近づいて、私を優しく抱きしめた。
「俺は何もかもジャスタに負けてたんだな、情けない・・・だけど、ありがとう 」
「レオンハルトがエリシアの地位向上の為に色々努力してるのは知ってた。その努力を踏みにじる形になってしまって、こっちこそ申し訳ない。俺もエリシアの能力が欲しかった、だからこの方法を思いついた。お互いさまさ 」
ジャスタ陛下はそこまで話して一旦間を置いてニヤリと笑う。
「エリシアは俺の妹だ、誰にも身分でとやかく言わせない 」
「ああ、・・・本当に、ジャスタには頭が上がらなくなったな 」
ククッと笑うレオンハルト様を見て、やっといつものレオンハルト様らしさが戻ってきたと思った。
「レオンハルト様、またよろしくお願いいたします 」
レオンハルト様を見上げて微笑みかけると、レオンハルト様も柔らかな笑顔をうかべる。
「ああ、こちらこそよろしく頼む 」
「あれ? 愛してるって言わないのか? 」
ジャスタ陛下の横槍に、レオンハルト様は一瞬動揺したみたいだったけど、すぐにまた私を見つめて囁く。
「もちろん、俺は初めて会った時からずっと、エリシアの事が好きだった、今でも愛してる。これからもずっと愛させてくれ 」
真正面から見つめて囁かれると照れる。
一気に顔が火照る。
「返事は? 」
恥ずかしくて顔を背けていると、レオンハルト様が意地悪そうに問いかけてくる。
何だか何時ものレオンハルト様に戻ってるわね・・・
「・・・・・・はい、私でよろしければ・・・ 」
恥ずかしい、しかもジャスタ陛下がニヤニヤと嬉しそうに見てる!
「ククッ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいだろ、相変わらず可愛いな 」
「なっ! 何言ってるんですか?! 変な顔してるのに可愛いはずありません! 」
「クククっ、お前らは相変わらずだな、感動の再会も台無しじゃないか、エリシアは何してても可愛いのにな 」
「だよな 」
「そこ! 何意気投合してるんですか? 」
ククッと笑い合う二人を見て言い返しながら、何故かまた涙が溢れる。
「・・・っ、」
「「どうしたんだ? 」」
そんな私を見て、二人が心配そうに覗き込んできた。
「何でもない、・・・・・・私、幸せだなって思ったら何故か涙が・・・ 」
私の答えに、二人はまた顔を見合わせて嘆息する。
「当たり前だ、俺はお前を幸せにしてやるって言っただろ? 」
そう言ってジャスタ陛下が私の頭を撫でる。
「俺はずっとエリシアが幸せになる道を探してた、今エリシアが幸せなら俺も幸せだ 」
レオンハルト様はそう言うと、屈んでそっと私に口付けをした。
「っ! もう、レオンハルト様! 」
いきなりのキスに焦ってレオンハルト様を睨みつけたその時、ドアが鳴った。
「誰かしら? 」
「うん、時間通りだな、どうぞ 」
ジャスタ殿下は誰が来たのか分かってるみたい。誰かしら? そう思っていると、ドアが開いて入ってきた二人を見て驚く。
「お兄様! クリスティーナ様! 」
「エリシア、久しぶりだね、手紙ではやり取りしてたけど、元気そうで良かった 」
お兄様はそう言って微笑みながら私を見つめる。
「また綺麗になったね 」
「な、お兄様・・・・・・相変わらずですね 」
「エリシア様、お久しぶりね、この日をどんなに待ちわびたか分からないわ 」
涙目になりながらそっと私に抱きついてきたのはクリスティーナ様だ。
「本当に、私も会いたかったわ 」
私も抱きしめ返しながら目尻に涙が溢れる。
「小説、書き溜めてるんでしょ? 私が一番の読者よ 」
「ええ、沢山書いたわ、また読んでくれる? 」
「もちろん! また出版活動再開ね! 」
「ちょっと待て、お前ら、その様子じゃ、エリシアが戻って来るのが分かってたのか? 」
レオンハルト様が私たちの会話を聞いて間に割り込んでき来た。
「知らなかったのはレオンハルト様だけだよ 」
お兄様がくすくすと笑いながら可笑しそうにレオンハルト様を見る。
「ジル! お前黙ってたのかよ! 」
「ジャスタ陛下からの頼みとあれば聞かない訳にはいかないだろ? 黙ってるの楽し・・・いや、辛かったよ? 」
そう言うお兄様はとても楽しそうに見える。
ラグマドル攻略に様々な策略を立てて、その項で出世したって聞いてたけど、相変わらずね。
「・・・・・・そう言えば、ジャスタの妹との結婚話が上がった時にお前、俺の背中を押すようなこと言ってたな、俺だけ踊らされてたのかよ 」
諦めたようにため息を着くレオンハルト様。
「ジル、クリスティーナ嬢、エリシア、機関車で国に帰ったら忙しくなるぞ、王妃に女性の凄さを、エリシアの素晴らしさを解らせてやる 」
「レオンハルト様、下準備はバッチリですわ! 」
レオンハルト様の不敵な微笑みに、クリスティーナ様が乗る。
この二人は何を企んでいるのかしら?
「なんの準備だ? 」
ジャスタ殿下が問いかけてくる。
「王妃様には私からさりげなくエリシア様の書いた本を紹介して、今は熱狂的な読者ですわ、もちろん、レオンハルト様はエリシア様が戻って来るのは知らないままでしたけど、王妃様がエリシア様が作者だって知った時の顔が見たいと言って進めてたんです 」
クリスティーナ様が嬉しそうに話す。
「あの王妃があんな俗世っぽい本を読んだのか? 」
「ええ、最初はそんな反応でしたけど、「今では私初め、上級貴族令嬢の嗜みですわ」っておすすめしたらいやいや目を通したみたいなんですけど・・・今では・・・ふふっ 」
クリスティーナ様がなんだか悪役っぽく微笑む。なんだか黒いですわよ、クリスティーナ様。
「なるほどな、あ、新作を書籍化したら俺の国にも輸出してくれよな 」
「もちろんですわ! 」
意気投合する二人に、あとの二人も加わって楽しそうに笑い合う。
そんな頼もしくて優しい四人を微笑ましく眺めていると、皆が私に向き直る。
「ほら、エリシアが中心に居ないと盛り上がらないぞ 」
声を揃えて私に向かって手を差し出した。
・・・ああ、私はみんなに守られて、愛されて本当に幸せだわ。
ーーーどうやら、私の物語は私の知る世界とは繋がっていなかったみたい。
ゲームも物語も、作られた人物だけど、ここは私の生きる世界、同じ物になるはずが無い、だって日々人は成長して変わっていくのだから。
私の物語はこれからどんな物になるのか・・・それは気が向いたら物語にするかもね。
ーーーー end ーーーー
この物語はここで終わりです。
お見苦しい点、至らぬ点、多々あったかと思いますが、暖かく見守ってくださった貴方様に最上の感謝を・・・
ありがとうございました。
月野さらさ
※『 婚約破棄してやる!って宣言した婚約者が可愛かったんだけど、どうしたらいい??』
というお話の連載を開始しました。
よろしければご覧ください。
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いど様
感想ありがとうございます(*^_^*)
そうです。ばればれでしたね、でも伏線をお褒め頂き嬉しいです(*^_^*)