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入れ替わりですわ!
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わたくしは、聖女様と入れ替わりました。
「え……」
聖女様は、わたくしを見て絶句します。
それはそうでしょう。だって、わたくしの姿かたちは、今は、かつての聖女様と同じなのですから。
「な……なにをしているの? 一体……」
「ようやく、貴女とお話することができますね」
わたくしはにっこりと笑います。
このチャンスを逃すわけにはいきません。
「ごめんなさいね」
わたくしは、聖女様に謝りました。
「わたくしは、貴女からすべてを奪います」
「え……な……なにを言っているの……?」
「今のわたくしは、もう貴女が聖女ではないことを知っているのです。貴女は偽物なのです」
「……!?」
聖女様の顔が驚愕に染まります。
「そして、本物の聖女様は、わたくしです」
わたくしははっきりと告げます。
「な……何を馬鹿なことを……」
聖女様が首を振ります。
「わたくしは、貴女のすべてを奪いました。聖女の力はもちろん、立場も名誉もすべてです」
「……」
聖女様は沈黙します。
「貴女がどんな気持ちで聖女を演じていたか、わたくしにはわかっているつもりです」
「…………」
「貴女は、大変な苦労をして聖女の座についたのでしょう? ですが、もう安心してください。わたくしが代わりに務めを果たさせていただきますので」
「……ふざけないで!」
聖女様が激昂します。
「こんなことがあってはいけないのよ。」
わたくしは令嬢とはいえ、聖女様の耳にも一度は入る程に悪評を流されているわけですから抵抗があるのでしょうね。「貴女にわたくしの代わりなんて務まるはずないじゃない!」
「……ええ、そうですね」
わたくしは頷きます。
「だから、貴女はご令嬢失格なのですよ?」
「……」
わたくしは言い返せずにいました。
「貴女は偽物なの。本物の聖女はわたくしだけなのよ」
「……そうかもしれませんわね」
わたくしは否定せずに同意します。
「ですが、これが現実ですわ」
わたくしの言葉に、聖女様は黙り込んでしまいます。少しすると、
「きっと後悔しますわよ。」とだけ言って去っていきました。
わたくしは元聖女様の後ろ姿を見送りながら、聖女様のことが少し可哀想だと思いました。
聖女様が去った後、入れ替わりでアリシアさんが現れました。
「どうだった?」
「首尾よく騙せましたわ」
わたくしが答えると、黒魔法使いのアリシアさんは満足そうに頷きました。
「これで彼女と貴方の人生は転機を迎えるでしょう」
「ええ、ありがとうございます」
わたくしは頭を下げます。
「それにしても、聖女様って、意外と弱かったのですね」
「それは違うよ。彼女が弱かったんじゃない。貴方が強すぎたんだよ」
「あら……」
わたくしは自分の顔を撫でながら言いました。
「嬉しいことをおっしゃるのね」
「彼女から聖女の力を奪ったのだから当然だよ」
アリシアさんは平然と答えます。
「これで、貴女が本物の聖女になるんだから」
「ええ、頑張りますわ」
わたくしは頷きました。
わたくし達は喜びました。これでもう、あんな屈辱的な思いをすることはありませんから。
「貴方のおかげです」
わたくしは改めてアリシアさんに感謝しました。「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとう」
アリシアさんは微笑んでくれました。
「これで、貴女は本物の聖女になれるよ」
「……はい」
わたくしは頷きます。しかし、その表情に曇りがあるのをアリシアさんは見逃さなかったようでした。「どうかした?」
「いえ、その……本当にわたくしなんかが聖女でいいのかしらって……」
わたくしは躊躇いがちに打ち明けました。
「私は今までずっと煙たがられてそれが嫌だったから、貴女が封印を解いて救ってくれたように、今度は私が誰かを救う番だと思ったんだ」
「アリシアさん……」
わたくしの胸が熱くなります。この人はなんて優しい人なのでしょう。
「だから、気に病むことはないよ」
「……ありがとう」
わたくしは泣きそうになるのを堪えて微笑みました。
「私は貴女の力になりたいんだ」
アリシアさんはそう言ってくれました。「貴女が望むなら、なんだってするよ」
「本当に?」
「ああ、約束するよ」
アリシアさんは力強く頷いてくれます。
「それじゃあ……」
わたくしは少し考えてから、こう言いました。
「わたくしに忠誠を誓ってくださいませんこと?」
「……」
アリシアさんは面食らったような表情を浮かべましたが、すぐに笑顔になりました。
「わかった」
そう言って、跪き、手の甲に口づけをしてくれました。
「貴女の盾となり剣となることを誓います」
アリシアさんはそう言って微笑みました。その笑顔はとても素敵で、わたくしは胸が高鳴るのを感じました。
「ありがとう……」
わたくしは自然と涙を流していました。嬉しかったのです。誰かに信頼されるということはこんなにも心が暖かくなるものなのだと知りましたから。「さあ、参りましょう」
わたくしはアリシアさんを連れて聖堂に向かいます。
聖女様とわたくし、どちらの方が幸せになれるのか。人生を賭けたたたかいですわ。
「え……」
聖女様は、わたくしを見て絶句します。
それはそうでしょう。だって、わたくしの姿かたちは、今は、かつての聖女様と同じなのですから。
「な……なにをしているの? 一体……」
「ようやく、貴女とお話することができますね」
わたくしはにっこりと笑います。
このチャンスを逃すわけにはいきません。
「ごめんなさいね」
わたくしは、聖女様に謝りました。
「わたくしは、貴女からすべてを奪います」
「え……な……なにを言っているの……?」
「今のわたくしは、もう貴女が聖女ではないことを知っているのです。貴女は偽物なのです」
「……!?」
聖女様の顔が驚愕に染まります。
「そして、本物の聖女様は、わたくしです」
わたくしははっきりと告げます。
「な……何を馬鹿なことを……」
聖女様が首を振ります。
「わたくしは、貴女のすべてを奪いました。聖女の力はもちろん、立場も名誉もすべてです」
「……」
聖女様は沈黙します。
「貴女がどんな気持ちで聖女を演じていたか、わたくしにはわかっているつもりです」
「…………」
「貴女は、大変な苦労をして聖女の座についたのでしょう? ですが、もう安心してください。わたくしが代わりに務めを果たさせていただきますので」
「……ふざけないで!」
聖女様が激昂します。
「こんなことがあってはいけないのよ。」
わたくしは令嬢とはいえ、聖女様の耳にも一度は入る程に悪評を流されているわけですから抵抗があるのでしょうね。「貴女にわたくしの代わりなんて務まるはずないじゃない!」
「……ええ、そうですね」
わたくしは頷きます。
「だから、貴女はご令嬢失格なのですよ?」
「……」
わたくしは言い返せずにいました。
「貴女は偽物なの。本物の聖女はわたくしだけなのよ」
「……そうかもしれませんわね」
わたくしは否定せずに同意します。
「ですが、これが現実ですわ」
わたくしの言葉に、聖女様は黙り込んでしまいます。少しすると、
「きっと後悔しますわよ。」とだけ言って去っていきました。
わたくしは元聖女様の後ろ姿を見送りながら、聖女様のことが少し可哀想だと思いました。
聖女様が去った後、入れ替わりでアリシアさんが現れました。
「どうだった?」
「首尾よく騙せましたわ」
わたくしが答えると、黒魔法使いのアリシアさんは満足そうに頷きました。
「これで彼女と貴方の人生は転機を迎えるでしょう」
「ええ、ありがとうございます」
わたくしは頭を下げます。
「それにしても、聖女様って、意外と弱かったのですね」
「それは違うよ。彼女が弱かったんじゃない。貴方が強すぎたんだよ」
「あら……」
わたくしは自分の顔を撫でながら言いました。
「嬉しいことをおっしゃるのね」
「彼女から聖女の力を奪ったのだから当然だよ」
アリシアさんは平然と答えます。
「これで、貴女が本物の聖女になるんだから」
「ええ、頑張りますわ」
わたくしは頷きました。
わたくし達は喜びました。これでもう、あんな屈辱的な思いをすることはありませんから。
「貴方のおかげです」
わたくしは改めてアリシアさんに感謝しました。「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとう」
アリシアさんは微笑んでくれました。
「これで、貴女は本物の聖女になれるよ」
「……はい」
わたくしは頷きます。しかし、その表情に曇りがあるのをアリシアさんは見逃さなかったようでした。「どうかした?」
「いえ、その……本当にわたくしなんかが聖女でいいのかしらって……」
わたくしは躊躇いがちに打ち明けました。
「私は今までずっと煙たがられてそれが嫌だったから、貴女が封印を解いて救ってくれたように、今度は私が誰かを救う番だと思ったんだ」
「アリシアさん……」
わたくしの胸が熱くなります。この人はなんて優しい人なのでしょう。
「だから、気に病むことはないよ」
「……ありがとう」
わたくしは泣きそうになるのを堪えて微笑みました。
「私は貴女の力になりたいんだ」
アリシアさんはそう言ってくれました。「貴女が望むなら、なんだってするよ」
「本当に?」
「ああ、約束するよ」
アリシアさんは力強く頷いてくれます。
「それじゃあ……」
わたくしは少し考えてから、こう言いました。
「わたくしに忠誠を誓ってくださいませんこと?」
「……」
アリシアさんは面食らったような表情を浮かべましたが、すぐに笑顔になりました。
「わかった」
そう言って、跪き、手の甲に口づけをしてくれました。
「貴女の盾となり剣となることを誓います」
アリシアさんはそう言って微笑みました。その笑顔はとても素敵で、わたくしは胸が高鳴るのを感じました。
「ありがとう……」
わたくしは自然と涙を流していました。嬉しかったのです。誰かに信頼されるということはこんなにも心が暖かくなるものなのだと知りましたから。「さあ、参りましょう」
わたくしはアリシアさんを連れて聖堂に向かいます。
聖女様とわたくし、どちらの方が幸せになれるのか。人生を賭けたたたかいですわ。
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