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心から愛を込めて
第四話
しおりを挟む目が覚めた時には保健室のベッドに寝ていて、横を見ると何故か、その先生がいた。
『倒れるまで無理するな。』
そう言って優しく頭を撫でられて、俺は涙が止まらなかった。
先生は優しいままで。
それが嬉しくて。
溜まりに溜まったストレスがぶぁ~っと涙となって溢れた。
撫でられる手に思い出させられる。休み時間、窓際にいた俺のすぐ側の窓をいきなり開けながら『木原、今日は…』と話しかけられて、『び、びっくりしたー!先生っなんで磨りガラスなのに俺って分かったんだよ!マジでびびった!』『ん~?この後頭部の丸い感じで?』『いや無理でしょ!?』そんな他愛もない遣り取りが懐かしい。
「先生が、怒ってる理由が分からないけど、俺、先生のこと好き。好きなんです。ごめんなさい。怒ってるのに。俺。好きなのに。分からなくて。好きなのに。好きなんです。」
好きと、怒ってる理由が分からなくて怖いのとで、もう俺はぐちゃぐちゃで、涙は止まらないわ、好き好き言いまくるわ。
あ~…あの時の俺の純粋な事。
拒否されなかったんだから、付き合いたいとか恋人になりたいとか、なんならキスしたいとか、もっとこう、そういう意味で好きだって言えばいいのに。
そこまで言えてたら、ちゃんとした返事もあったかもしれないのに。
純粋培養すぎだろ俺。
あの頃の俺は何処に行ったんだろうな。
今やバツイチ。子供なし。
高校の時伸び悩んだ背も165から170までは何とか伸びて、それでも190ある先生の事はまだ見上げるだろうなぁ。
年取って背が縮むって言うけど、20センチは埋まらんよな。と自分で茶化しながら淡い思い出を振り返る。
暇だろうなと思った新幹線の移動も、先生の事を思い出していたらあっという間に目的地である。
「はぁ~…これは振られに行かんと、頭も心もヤバイな。」
またひとつ気が付いてしまった。
俺が倒れた時、終業式で生徒はすぐに帰っていたから、本当なら担任が居るはず。
クラスの列にいた俺が倒れたのに、部活の顧問が付き添うのはちょっとおかしい。
担任冷たくない?ってなるから、そこは担任の先生も譲れないはずなのだ。
部活の顧問の先生が居たとしても、担任もいるべき状況に、あの先生が1人。
しかも、ながら看病でもなく、俺の目が醒めるまでずっと側にいた感がハンパない。
いやいや、俺の都合の良い妄想だ。
俺の目が醒めるまで、ずっと側に居たとか。
それって俺の寝顔ずっと見てたって事で。
あぁあ~無理。
想像で恥ずか死ねる。
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