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黒猫ツバキとホレ薬パニック
チリーナ、ベッドの上でコンデッサと……
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猫と令嬢の話し合いは、いよいよ大詰め。
「それで、ホレ薬作製の仕上げに入り用なのが、黒猫のおヒゲなのですよ」
「ヒゲは……」
「お願いです。1本で良いので!」
「にゅにゅにゅ」
「カツオブシ!」
「にゅにゅにゅにゅにゅにゅ」
「チーズ! 鶏肉! マグロの上物!」
「にゅ~……」
ツバキは悩み、首を振る。その拍子にヒゲが1本、ハラリと落ちた。
「あ、今、ツバキさんのおヒゲが1本、抜け落ちましたわ! これぞ、天が私に与えたもうた幸運。頂いても、宜しいですわね?」
「……どうぞニャ」
「やりましたわ! 百合の花・葉・茎・根は揃えていますし、後はメイドの下着を入手して、早速ホレ薬の製作に取り掛かります!」
「取りあえず、チリーニャさんの熱意は買うのニャ。頑張るニャン」
浮かれるチリーナへ適当な声援を送ったツバキは、『乙女ゲーム攻略・オマケ本』の翻訳ペーパーに改めて目を通す。
「ニャンか、イロイロいっぱい書いてあるニャン…………ええと……『愛の道へ至る、2人きりのラブラブハッピータイム』『この薬を飲ませると、愛の未知なるパワーが100倍になります』『薬を飲んだ相手は、貴方を愛したくて愛したくて堪らなくなります』『貴方は嬉し涙を流すでしょう』『結婚披露宴SHOW、間違い無し!』…………タイトルは『愛が深まるホレ薬』…………ホントにこの解読、合ってるのかニャ?」
考え込む黒猫の耳に、「お姉様を、きっと落としてみせますわ――――!!!」と決意表明する伯爵令嬢の叫び声が届いた。
♢
数日後、チリーナは、ボロノナーレ王国の端っこの村にあるコンデッサの家を訪れた。
出迎えた黒猫とコソコソ話す、伯爵令嬢。
「それで、チリーニャさん。無事にメイドさんの下着は入手できたニョ?」
「ええ……。私がメイド長のアルマに『下着を頂戴な』と言ったら……」
「言ったら?」
「………………」
チリーナは黙り込んでしまった。
歓喜のあまり、昇天しかけるアルマ(20代前半)。
話を聞きつけ、「お嬢様! ぜひ私のも!」とチリーナへ詰め寄るメイドたち(20歳前後)。
その場で下着を脱ごうとして先輩メイドにしばき倒される、新人メイド(10代後半)。
「お嬢様、下着が欲しいの? ワタシのも要る?」と無邪気な瞳で見上げてくる、メイド見習い(10歳)。
伯爵家のお屋敷は、異常な混乱状態になってしまったのである。あげくの果て、現在のチリーナの部屋には10~20代のメイドの下着が山と積まれている始末。
伯爵令嬢の私室に突如として出現した、マウンテン・ランジェリー・オブ・メイド。
人智を超えた、摩訶不思議な光景……。
念のために述べておくと、下着は全部洗濯済みである。
さすがは、由緒ある伯爵家に仕えるメイドたち。淑女の嗜みは、キチンと守っているのだ。
「嗜みとか、全然守っていないニャン。どこが淑女?」
「何故、あのような惨状になってしまったのか、訳が分かりません。我が家のメイドは皆、知的な淑女のはずですのに」
「メイドさん達、知的じゃ無くて痴的だったのにゃ」
「………………」
「メイドさん達、淑女じゃ無くて痴女だったのにゃ」
「…………ともかく、ホレ薬は完成しました」
チリーナの発言を受け、ツバキは躊躇う様子を見せる。
「やっぱり、それをご主人様に飲ませるニョは使い魔として……問題が……」
「カツオブシ・チーズ・鶏肉・マグロ」
「さっさと飲ませて、さっさと済ませるニャン」
コンデッサがやって来る。
「どうしたんだ? チリーナとツバキ。お前たち、いつの間にやら随分と仲良くなったんだな」
「お、お姉様! そ、その通りですわ。私達、互いへの理解を深めあいましたの!」
「そうにゃのニャ」
「お前ら、どちらも妙に後ろ暗い顔をしているな。何かを企んではいないだろうな?」
「当然ですわ!」
「ご主人様、アタシのことを疑うにゃんて酷いニャ! アタシは、ご主人様の使い魔にゃ! カツオブシやチーズや鶏肉やマグロなんかで買収されたりは、絶対しないのニャ!」
「お黙りなさい! この馬鹿猫!」
「にゃ!? チリーニャさん、何で叩くニョ?」
「怪しい…………」
疑いの眼差しでチリーナとツバキを見つめる、コンデッサ。
「おホホホ! お姉様、ところで私、最近になって紅茶を淹れる腕前が上がりましたのよ! 皆、褒めてくれるのです」
「チリーニャさん、凄いのにゃ!」
「ほぉ」
「お姉様も、試しに飲んでみては下さいませんか?」
「そうするニャン、ご主人様。きっと、美味しいニャン」
「ツバキがチリーナをあからさまにヨイショするなんて、胡散くさすぎるんだが……」
「この駄猫、やり過ぎは逆効果ですわ!」
「ニャ~」
ツバキのさりげない(?)サポートの甲斐もあり、チリーナはホレ薬を溶かし込んだ紅茶をコンデッサへ飲ませることに成功した。
「お姉様、私の淹れた紅茶の味は如何ですか?」
「…………」
「コンデッサお姉様?」
「チリーナ」
「はい」
「――お前は、何て可愛いんだ」
「――っ!」
「何か、私に望むことはあるか? お前の願いは、どのようなことでも叶えてやろう」
「ほ、本当ですか!? お姉様」
「ああ、魔女に二言は無い」
「で、では」
「うん」
「あの……ベッドの上で、私を可愛がって欲しいのです」
「…………」
「お姉様の全てを、私にぶつけてください!」
思い切って大きな声を出す、チリーナ。
緊張の一瞬。
コンデッサは、ゆっくりと頷いた。
「分かった。それでは寝室へ行こう、チリーナ」
「はい……お姉様。あ、ツバキさん。何があっても、寝室を覗いてはいけませんよ」
「了解したニャン。アタシは雰囲気を読む猫なのニャ」
「た……例え、寝室から、あ、喘ぎ声や悲鳴のような叫びが聞こえたとしても、決して入っては来ないように」
「万事、心得てるニャ」
「絶対、絶対ですわよ!」
「大丈夫にゃ。心配する必要はないニャンよ、チリーニャさん」
チリーナはコンデッサに手を引かれてベッドルームへ向かう。
それを見送る、ツバキ。
「これがホレ薬の効き目……ビックリにゃん。でも、ご主人様のあにょ表情は……」
♢
寝室にて。
チリーナの眼前に、コンデッサのベッドがある。
「さぁ、チリーナ。ベッドへ横になって」
「は、はい……お姉様。ここが、お姉様がいつもお休みになっているところなのですね。それでは、失礼いたします。……ああ、お姉様の香りがしますわ」
シーツに頬を擦りつけているチリーナの肩へ、コンデッサが手を伸ばす。そしてやや強引に、彼女の身体を仰向けにする。
更に……。
「お、お姉様!?」
コンデッサは、チリーナの上に馬乗りになった。覆い被さるような体勢になりつつ、そっとチリーナの上着を捲り上げる。
剥き出しとなる、少女の白いお腹。
「お、お姉様……」
「不安に思うことは無いぞ、チリーナ。力を抜け。全てを、私に委ねるんだ」
「はい。私……お姉様を信じております」
(ああ……。ついに私、お姉様と……)
チリーナのささやかな胸のすぐ下、スベスベとした乙女の肌に、コンデッサの掌がピトッと当てられる。
「お姉様……私、初めてなので、出来れば優しく……」
「そうか、チリーナは初めてなのか」
「ハイ」
「しかし、〝優しくする〟とは保証してやれないな。激情の赴くまま、お前を乱暴に扱ってしまうやも……」
「げ、〝激情〟……ですか! お姉様は、それ程までに私のことを…………わ、分かりました。お姉様になら、どのように扱われても構いません。お姉様の想いをぶつけて頂けるのなら、苦しみもまた喜びの1つとなりましょう」
チリーナは覚悟を決め、目を閉じた。お腹に触れているコンデッサの掌が熱くなるのを、少女は感じる。
(いよいよ……いよいよですのね)
寝台から毛布がパサリと落ちた、次の瞬間。
「魔力注入――――!!!」
「ピャァァ――――!!!」
チリーナの身体の中へ、膨大な量のコンデッサの魔力が注ぎ込まれた。
あまりの衝撃に意識が飛びかけたチリーナだが、何とか声を振り絞る。
「お姉様。何をなさいますの!」
「決まっている。可愛いお前に、私のありったけの魔力をぶつけてやってるんだ」
「ど、どうしてそのようなことを!?」
「私の魔力を注入する。そうすると、お前の魔力が一時的にだが上がるんだ。高レベルの魔力を短時間であっても、身体の内に宿す――これは、貴重な経験になるぞ。チリーナが魔女として成長する、良い切っ掛けになるはずだ」
「ご……ご厚意は有り難いんですけど、これはちょっとキツい……」
「ある程度の苦痛を伴うほうが、効果的なんだ。なぁに。心配するな、チリーナ。少しばかり痛くて、辛くて、痺れるくらいさ」
「お待ちになってくださいませ。お姉様」
「待たない」
無情な宣告。
「魔力注入――――!!!」
「ナァァァ――――!!!」
「ありったけを注入――――!!!」
「キャァァ――――!!!」
「限界まで注入――――!!!」
「イヤァァ――――!!! お姉様、もうおやめになって――――!!!」
「やめない――――!!!」
「勘弁してくださいませ――――!!!」
「勘弁しない――――!!!」
「苦しいのです――――!!!」
「苦しみもまた、喜びの1つ――――!!!」
「ツバキさん。お姉様を止めて――――!!!」
「魔力注入――――!!!」
「ツバキさん、助けて――――!!!」
「余さず注入――――!!!」
「ツバキさん――――!!!」
寝室の外では、ツバキがお皿に満たした紅茶(もちろん、ホレ薬は入っていない)をペロペロ舐めていた。
「ニャンか、寝室からチリーニャさんの悲鳴が聞こえてくるニャン。でも、決して様子を見に行ったりはしないのニャ。アタシは、チリーニャさんとの約束を守るにゃん。アタシって、偉い猫にゃ」
※続きます。
「それで、ホレ薬作製の仕上げに入り用なのが、黒猫のおヒゲなのですよ」
「ヒゲは……」
「お願いです。1本で良いので!」
「にゅにゅにゅ」
「カツオブシ!」
「にゅにゅにゅにゅにゅにゅ」
「チーズ! 鶏肉! マグロの上物!」
「にゅ~……」
ツバキは悩み、首を振る。その拍子にヒゲが1本、ハラリと落ちた。
「あ、今、ツバキさんのおヒゲが1本、抜け落ちましたわ! これぞ、天が私に与えたもうた幸運。頂いても、宜しいですわね?」
「……どうぞニャ」
「やりましたわ! 百合の花・葉・茎・根は揃えていますし、後はメイドの下着を入手して、早速ホレ薬の製作に取り掛かります!」
「取りあえず、チリーニャさんの熱意は買うのニャ。頑張るニャン」
浮かれるチリーナへ適当な声援を送ったツバキは、『乙女ゲーム攻略・オマケ本』の翻訳ペーパーに改めて目を通す。
「ニャンか、イロイロいっぱい書いてあるニャン…………ええと……『愛の道へ至る、2人きりのラブラブハッピータイム』『この薬を飲ませると、愛の未知なるパワーが100倍になります』『薬を飲んだ相手は、貴方を愛したくて愛したくて堪らなくなります』『貴方は嬉し涙を流すでしょう』『結婚披露宴SHOW、間違い無し!』…………タイトルは『愛が深まるホレ薬』…………ホントにこの解読、合ってるのかニャ?」
考え込む黒猫の耳に、「お姉様を、きっと落としてみせますわ――――!!!」と決意表明する伯爵令嬢の叫び声が届いた。
♢
数日後、チリーナは、ボロノナーレ王国の端っこの村にあるコンデッサの家を訪れた。
出迎えた黒猫とコソコソ話す、伯爵令嬢。
「それで、チリーニャさん。無事にメイドさんの下着は入手できたニョ?」
「ええ……。私がメイド長のアルマに『下着を頂戴な』と言ったら……」
「言ったら?」
「………………」
チリーナは黙り込んでしまった。
歓喜のあまり、昇天しかけるアルマ(20代前半)。
話を聞きつけ、「お嬢様! ぜひ私のも!」とチリーナへ詰め寄るメイドたち(20歳前後)。
その場で下着を脱ごうとして先輩メイドにしばき倒される、新人メイド(10代後半)。
「お嬢様、下着が欲しいの? ワタシのも要る?」と無邪気な瞳で見上げてくる、メイド見習い(10歳)。
伯爵家のお屋敷は、異常な混乱状態になってしまったのである。あげくの果て、現在のチリーナの部屋には10~20代のメイドの下着が山と積まれている始末。
伯爵令嬢の私室に突如として出現した、マウンテン・ランジェリー・オブ・メイド。
人智を超えた、摩訶不思議な光景……。
念のために述べておくと、下着は全部洗濯済みである。
さすがは、由緒ある伯爵家に仕えるメイドたち。淑女の嗜みは、キチンと守っているのだ。
「嗜みとか、全然守っていないニャン。どこが淑女?」
「何故、あのような惨状になってしまったのか、訳が分かりません。我が家のメイドは皆、知的な淑女のはずですのに」
「メイドさん達、知的じゃ無くて痴的だったのにゃ」
「………………」
「メイドさん達、淑女じゃ無くて痴女だったのにゃ」
「…………ともかく、ホレ薬は完成しました」
チリーナの発言を受け、ツバキは躊躇う様子を見せる。
「やっぱり、それをご主人様に飲ませるニョは使い魔として……問題が……」
「カツオブシ・チーズ・鶏肉・マグロ」
「さっさと飲ませて、さっさと済ませるニャン」
コンデッサがやって来る。
「どうしたんだ? チリーナとツバキ。お前たち、いつの間にやら随分と仲良くなったんだな」
「お、お姉様! そ、その通りですわ。私達、互いへの理解を深めあいましたの!」
「そうにゃのニャ」
「お前ら、どちらも妙に後ろ暗い顔をしているな。何かを企んではいないだろうな?」
「当然ですわ!」
「ご主人様、アタシのことを疑うにゃんて酷いニャ! アタシは、ご主人様の使い魔にゃ! カツオブシやチーズや鶏肉やマグロなんかで買収されたりは、絶対しないのニャ!」
「お黙りなさい! この馬鹿猫!」
「にゃ!? チリーニャさん、何で叩くニョ?」
「怪しい…………」
疑いの眼差しでチリーナとツバキを見つめる、コンデッサ。
「おホホホ! お姉様、ところで私、最近になって紅茶を淹れる腕前が上がりましたのよ! 皆、褒めてくれるのです」
「チリーニャさん、凄いのにゃ!」
「ほぉ」
「お姉様も、試しに飲んでみては下さいませんか?」
「そうするニャン、ご主人様。きっと、美味しいニャン」
「ツバキがチリーナをあからさまにヨイショするなんて、胡散くさすぎるんだが……」
「この駄猫、やり過ぎは逆効果ですわ!」
「ニャ~」
ツバキのさりげない(?)サポートの甲斐もあり、チリーナはホレ薬を溶かし込んだ紅茶をコンデッサへ飲ませることに成功した。
「お姉様、私の淹れた紅茶の味は如何ですか?」
「…………」
「コンデッサお姉様?」
「チリーナ」
「はい」
「――お前は、何て可愛いんだ」
「――っ!」
「何か、私に望むことはあるか? お前の願いは、どのようなことでも叶えてやろう」
「ほ、本当ですか!? お姉様」
「ああ、魔女に二言は無い」
「で、では」
「うん」
「あの……ベッドの上で、私を可愛がって欲しいのです」
「…………」
「お姉様の全てを、私にぶつけてください!」
思い切って大きな声を出す、チリーナ。
緊張の一瞬。
コンデッサは、ゆっくりと頷いた。
「分かった。それでは寝室へ行こう、チリーナ」
「はい……お姉様。あ、ツバキさん。何があっても、寝室を覗いてはいけませんよ」
「了解したニャン。アタシは雰囲気を読む猫なのニャ」
「た……例え、寝室から、あ、喘ぎ声や悲鳴のような叫びが聞こえたとしても、決して入っては来ないように」
「万事、心得てるニャ」
「絶対、絶対ですわよ!」
「大丈夫にゃ。心配する必要はないニャンよ、チリーニャさん」
チリーナはコンデッサに手を引かれてベッドルームへ向かう。
それを見送る、ツバキ。
「これがホレ薬の効き目……ビックリにゃん。でも、ご主人様のあにょ表情は……」
♢
寝室にて。
チリーナの眼前に、コンデッサのベッドがある。
「さぁ、チリーナ。ベッドへ横になって」
「は、はい……お姉様。ここが、お姉様がいつもお休みになっているところなのですね。それでは、失礼いたします。……ああ、お姉様の香りがしますわ」
シーツに頬を擦りつけているチリーナの肩へ、コンデッサが手を伸ばす。そしてやや強引に、彼女の身体を仰向けにする。
更に……。
「お、お姉様!?」
コンデッサは、チリーナの上に馬乗りになった。覆い被さるような体勢になりつつ、そっとチリーナの上着を捲り上げる。
剥き出しとなる、少女の白いお腹。
「お、お姉様……」
「不安に思うことは無いぞ、チリーナ。力を抜け。全てを、私に委ねるんだ」
「はい。私……お姉様を信じております」
(ああ……。ついに私、お姉様と……)
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「お姉様……私、初めてなので、出来れば優しく……」
「そうか、チリーナは初めてなのか」
「ハイ」
「しかし、〝優しくする〟とは保証してやれないな。激情の赴くまま、お前を乱暴に扱ってしまうやも……」
「げ、〝激情〟……ですか! お姉様は、それ程までに私のことを…………わ、分かりました。お姉様になら、どのように扱われても構いません。お姉様の想いをぶつけて頂けるのなら、苦しみもまた喜びの1つとなりましょう」
チリーナは覚悟を決め、目を閉じた。お腹に触れているコンデッサの掌が熱くなるのを、少女は感じる。
(いよいよ……いよいよですのね)
寝台から毛布がパサリと落ちた、次の瞬間。
「魔力注入――――!!!」
「ピャァァ――――!!!」
チリーナの身体の中へ、膨大な量のコンデッサの魔力が注ぎ込まれた。
あまりの衝撃に意識が飛びかけたチリーナだが、何とか声を振り絞る。
「お姉様。何をなさいますの!」
「決まっている。可愛いお前に、私のありったけの魔力をぶつけてやってるんだ」
「ど、どうしてそのようなことを!?」
「私の魔力を注入する。そうすると、お前の魔力が一時的にだが上がるんだ。高レベルの魔力を短時間であっても、身体の内に宿す――これは、貴重な経験になるぞ。チリーナが魔女として成長する、良い切っ掛けになるはずだ」
「ご……ご厚意は有り難いんですけど、これはちょっとキツい……」
「ある程度の苦痛を伴うほうが、効果的なんだ。なぁに。心配するな、チリーナ。少しばかり痛くて、辛くて、痺れるくらいさ」
「お待ちになってくださいませ。お姉様」
「待たない」
無情な宣告。
「魔力注入――――!!!」
「ナァァァ――――!!!」
「ありったけを注入――――!!!」
「キャァァ――――!!!」
「限界まで注入――――!!!」
「イヤァァ――――!!! お姉様、もうおやめになって――――!!!」
「やめない――――!!!」
「勘弁してくださいませ――――!!!」
「勘弁しない――――!!!」
「苦しいのです――――!!!」
「苦しみもまた、喜びの1つ――――!!!」
「ツバキさん。お姉様を止めて――――!!!」
「魔力注入――――!!!」
「ツバキさん、助けて――――!!!」
「余さず注入――――!!!」
「ツバキさん――――!!!」
寝室の外では、ツバキがお皿に満たした紅茶(もちろん、ホレ薬は入っていない)をペロペロ舐めていた。
「ニャンか、寝室からチリーニャさんの悲鳴が聞こえてくるニャン。でも、決して様子を見に行ったりはしないのニャ。アタシは、チリーニャさんとの約束を守るにゃん。アタシって、偉い猫にゃ」
※続きます。
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