1 / 23
第一章 鬼神と巫女
第一話 幼なじみからの絶縁宣言?
しおりを挟む
今日は、高校の入学式。桜は満開で、周りはこれからの高校生活を楽しみにしている声で溢れている。
そんな中で、私、神野三咲は沈んでいた。
それは、私が一人だからだ。いや、決してぼっちというわけではない。私は、たくさんとまでは言わなくても、数人の友達とわいわいする普通の学生だった。
ここにも、中学生からの友達である篠田花音という子が通い始める。
「三咲ー!」
噂をすればなんとやら。私を呼ぶ声がする。
声の主はもちろん。
「花音……」
私は低めのトーンで返事を返す。今の心境で元気に返事なんてできない。
さすがは友人。いつもと違う私の様子にすぐに気づいた。
「どうしたの?せっかくの入学式なのに元気ないなんて」
「実はね、夜見のことなんだけど」
せっかくなので、私の愚痴を聞いてもらうことにした。
夜見というのは、赤城夜見という、私の幼なじみである男の子のこと。
幼稚園、小学校、中学校と同じで、この高校でも無事同い年となった。
そして、この入学式の前日が、ちょうどお誕生日で。そのお祝いをしようと、私はプレゼントを持って彼の家へと向かった。
とはいっても、彼の家は隣なので、すぐ近くに我が家が見える状態ではあったけど。
チャイムを鳴らすと、夜見が応答する。
私は用件を伝えようとするとーー
『ごめん。三咲。もう遊びに来ないでくれ』
それだけ言って、切れた。ぷつりと。
その後のことは、よく覚えていない。気づいたら、ベッドの上にいた。ぼーっとしていたように思う。
突然のことで理解が追いつかなかった。訳がわからなかった。
「……ってことがあって、それ以来、顔も合わせてないの。今日の入学式のときに聞こうと思って、ぎりぎりまで家の前で待ってたんだけど、出てこなくって……」
「三咲、彼のこと怒らせたの?怖いよー、赤城くんファンクラブ、過激な人多いから」
「もうそれは勘弁だよ……!」
夜見は、中学校でもイケメンだったことから大人気で、ファンクラブができていたほどだ。
女子で入っていなかったのなんて、私と花音くらいなんじゃないかというレベルの人気ぶりだった。
他校にも会員がいるという噂を聞いたときは、スケールが大きすぎると思ったけど、あながち嘘とは言いきれないので、何も言うことはなかった。
そして、ここは中学校から近い高校なので、私と同じ中学校だった存在が何人かいる。多分、上級生たちにもいるだろう。
つまりは、ここにもファンクラブだった人たちがいるということだ。そして私はというと、何かと目をつけられていた。
理由は単純。私が幼なじみで赤城くんと仲がいいから。
ファンクラブの人たちからすれば、どう見ても一般人な私がどうして、と思ったんだろう。
いじめとまでは言わなくても、教室に乗り込んできたり、私の陰口を言っていたりなどはしょっちゅうだった。
「でも、真面目な話。心当たりないの?」
「ないと思うけど……自信はないな。いろいろお願いしてきたし」
私は、夜見に甘えていたところが多かった。
勉強とかも教えてもらっていたし、私が欲しい欲しいアピールをして、夜見が勝ち取ったデザートを分けてもらったりもしていた。
ちりも積もればなんとやらとも言う。私の行動が、夜見にとっては負担だったのかもしれない。
この高校生活を期に、私から離れようとしているのかも。
「ついに嫌われたかなぁ……せめて、顔くらいは見せてくれてもいいのに」
「三咲は、赤城くんと離れるかもしれないことはいいの?」
「嫌、だけど……でも、私のことで迷惑をかけていたなら、ちょっとは離れる……かな」
私だって、そこまでわがままではない。
もし、私が依存していることが嫌だったのなら、なるべく離れる努力はする。
でも、何の説明もなく避けられたことが納得いかない。せめて、理由は話してもらいたい。
「でも、理由くらいは話してもらってもいいと思うよ?三咲だって、何の説明もなく避けられたことが嫌なんでしょ?」
「うん。でも、まったく会えてないし、チャイムを押しても出てくれないから、話せないんだよね」
「それなら、なんとか捕まえるしかないね。同じ高校だし、同級生だから捕まえようと思えば捕まえられるんじゃない?」
「そうだね。なんとか探してみる」
もしかしたら、今日はいないかもしれないけど。
そんな風に考えていたからか、入学式の会場へと向かう途中も、もちろんその最中もまったく見かけなかった。
夜見のことばかり気にしていたから、入学式のことはほとんど覚えていない。
「もしかしてサボった……?」
そこまでして私に会いたくないのかと思うと、だんだんと腹が立ってきた。
「三咲!あっちでクラス分けの発表してるよ!」
「あっ、うん。今行く!」
花音に呼ばれて、私は思考を切り替える。
とりあえず今は、この入学式の日を終えてからだ。
私たちはクラス分けの紙が貼られている場所へと向かう。
どこのクラスかと目で追っていると、花音が先に見つけたようで、嬉しそうに指を指す。
「三咲!私と同じクラスだよ!A組だって」
「あっ、ほんとだ!」
A組のクラスが書かれた紙を見る。
クラスメイトに知り合いがいないかと見ていると、そこには見覚えのある名前があった。
A組 三十六名
青木 理仁
赤城 夜見
石崎 佑真
乾 佳奈
岩井 結城
潮 彰人
加藤 愛理
神野 三咲
~~~
私の少し上に、例の名前がある。
やっぱり、同じ高校だよね。いないということは、サボっているってことだよね。
「あっ、赤城くんの名前もあるね」
私がじっと見ていたからか、花音も赤城夜見という文字に気づく。
「本人がいないけどね」
花音に言ってもしょうがないことはわかっていても、そう言わずにはいられなかった。
花音は、少し苦笑いする。
「先生にも聞いてみたけど、風邪みたいだよ。明日は来るんじゃない?」
「だといいけどね」
このときの私は楽観視していた。いや、気づいていなかった。
夜見は、今まで風邪なんて引いたことがなかったことに。幼稚園、小学校、中学校。この十年以上の間、体調不良で休んだりしていなかったことに。
風邪というのは……ただの言い訳でしかなかったことに。
そんな中で、私、神野三咲は沈んでいた。
それは、私が一人だからだ。いや、決してぼっちというわけではない。私は、たくさんとまでは言わなくても、数人の友達とわいわいする普通の学生だった。
ここにも、中学生からの友達である篠田花音という子が通い始める。
「三咲ー!」
噂をすればなんとやら。私を呼ぶ声がする。
声の主はもちろん。
「花音……」
私は低めのトーンで返事を返す。今の心境で元気に返事なんてできない。
さすがは友人。いつもと違う私の様子にすぐに気づいた。
「どうしたの?せっかくの入学式なのに元気ないなんて」
「実はね、夜見のことなんだけど」
せっかくなので、私の愚痴を聞いてもらうことにした。
夜見というのは、赤城夜見という、私の幼なじみである男の子のこと。
幼稚園、小学校、中学校と同じで、この高校でも無事同い年となった。
そして、この入学式の前日が、ちょうどお誕生日で。そのお祝いをしようと、私はプレゼントを持って彼の家へと向かった。
とはいっても、彼の家は隣なので、すぐ近くに我が家が見える状態ではあったけど。
チャイムを鳴らすと、夜見が応答する。
私は用件を伝えようとするとーー
『ごめん。三咲。もう遊びに来ないでくれ』
それだけ言って、切れた。ぷつりと。
その後のことは、よく覚えていない。気づいたら、ベッドの上にいた。ぼーっとしていたように思う。
突然のことで理解が追いつかなかった。訳がわからなかった。
「……ってことがあって、それ以来、顔も合わせてないの。今日の入学式のときに聞こうと思って、ぎりぎりまで家の前で待ってたんだけど、出てこなくって……」
「三咲、彼のこと怒らせたの?怖いよー、赤城くんファンクラブ、過激な人多いから」
「もうそれは勘弁だよ……!」
夜見は、中学校でもイケメンだったことから大人気で、ファンクラブができていたほどだ。
女子で入っていなかったのなんて、私と花音くらいなんじゃないかというレベルの人気ぶりだった。
他校にも会員がいるという噂を聞いたときは、スケールが大きすぎると思ったけど、あながち嘘とは言いきれないので、何も言うことはなかった。
そして、ここは中学校から近い高校なので、私と同じ中学校だった存在が何人かいる。多分、上級生たちにもいるだろう。
つまりは、ここにもファンクラブだった人たちがいるということだ。そして私はというと、何かと目をつけられていた。
理由は単純。私が幼なじみで赤城くんと仲がいいから。
ファンクラブの人たちからすれば、どう見ても一般人な私がどうして、と思ったんだろう。
いじめとまでは言わなくても、教室に乗り込んできたり、私の陰口を言っていたりなどはしょっちゅうだった。
「でも、真面目な話。心当たりないの?」
「ないと思うけど……自信はないな。いろいろお願いしてきたし」
私は、夜見に甘えていたところが多かった。
勉強とかも教えてもらっていたし、私が欲しい欲しいアピールをして、夜見が勝ち取ったデザートを分けてもらったりもしていた。
ちりも積もればなんとやらとも言う。私の行動が、夜見にとっては負担だったのかもしれない。
この高校生活を期に、私から離れようとしているのかも。
「ついに嫌われたかなぁ……せめて、顔くらいは見せてくれてもいいのに」
「三咲は、赤城くんと離れるかもしれないことはいいの?」
「嫌、だけど……でも、私のことで迷惑をかけていたなら、ちょっとは離れる……かな」
私だって、そこまでわがままではない。
もし、私が依存していることが嫌だったのなら、なるべく離れる努力はする。
でも、何の説明もなく避けられたことが納得いかない。せめて、理由は話してもらいたい。
「でも、理由くらいは話してもらってもいいと思うよ?三咲だって、何の説明もなく避けられたことが嫌なんでしょ?」
「うん。でも、まったく会えてないし、チャイムを押しても出てくれないから、話せないんだよね」
「それなら、なんとか捕まえるしかないね。同じ高校だし、同級生だから捕まえようと思えば捕まえられるんじゃない?」
「そうだね。なんとか探してみる」
もしかしたら、今日はいないかもしれないけど。
そんな風に考えていたからか、入学式の会場へと向かう途中も、もちろんその最中もまったく見かけなかった。
夜見のことばかり気にしていたから、入学式のことはほとんど覚えていない。
「もしかしてサボった……?」
そこまでして私に会いたくないのかと思うと、だんだんと腹が立ってきた。
「三咲!あっちでクラス分けの発表してるよ!」
「あっ、うん。今行く!」
花音に呼ばれて、私は思考を切り替える。
とりあえず今は、この入学式の日を終えてからだ。
私たちはクラス分けの紙が貼られている場所へと向かう。
どこのクラスかと目で追っていると、花音が先に見つけたようで、嬉しそうに指を指す。
「三咲!私と同じクラスだよ!A組だって」
「あっ、ほんとだ!」
A組のクラスが書かれた紙を見る。
クラスメイトに知り合いがいないかと見ていると、そこには見覚えのある名前があった。
A組 三十六名
青木 理仁
赤城 夜見
石崎 佑真
乾 佳奈
岩井 結城
潮 彰人
加藤 愛理
神野 三咲
~~~
私の少し上に、例の名前がある。
やっぱり、同じ高校だよね。いないということは、サボっているってことだよね。
「あっ、赤城くんの名前もあるね」
私がじっと見ていたからか、花音も赤城夜見という文字に気づく。
「本人がいないけどね」
花音に言ってもしょうがないことはわかっていても、そう言わずにはいられなかった。
花音は、少し苦笑いする。
「先生にも聞いてみたけど、風邪みたいだよ。明日は来るんじゃない?」
「だといいけどね」
このときの私は楽観視していた。いや、気づいていなかった。
夜見は、今まで風邪なんて引いたことがなかったことに。幼稚園、小学校、中学校。この十年以上の間、体調不良で休んだりしていなかったことに。
風邪というのは……ただの言い訳でしかなかったことに。
0
あなたにおすすめの小説
行かないで、と言ったでしょう?
松本雀
恋愛
誰よりも愛した婚約者アルノーは、華やかな令嬢エリザベートばかりを大切にした。
病に臥せったアリシアの「行かないで」――必死に願ったその声すら、届かなかった。
壊れた心を抱え、療養の為訪れた辺境の地。そこで待っていたのは、氷のように冷たい辺境伯エーヴェルト。
人を信じることをやめた令嬢アリシアと愛を知らず、誰にも心を許さなかったエーヴェルト。
スノードロップの咲く庭で、静かに寄り添い、ふたりは少しずつ、互いの孤独を溶かしあっていく。
これは、春を信じられなかったふたりが、
長い冬を越えた果てに見つけた、たったひとつの物語。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
君は恋人、でもまだ家族じゃない
山田森湖
恋愛
あらすじ
同棲して3年。
毎朝コーヒーを淹れて、彼の寝ぼけた声に微笑んで、
一緒に暮らす当たり前の幸せを噛みしめる——そのはずだった。
彼女は彼を愛している。
彼も自分を愛してくれていると信じている。
それでも、胸の奥には消えない不安がある。
「私たちは、このまま“恋人”で止まってしまうの?」
結婚の話になると、彼はいつも曖昧に笑ってごまかす。
最初は理由をつけていたのに、今では何も言わなくなった。
周囲の友人は次々と結婚し、家族を持ち始めている。
幸せそうな写真を見るたび、彼女の心には
“言えない言葉”だけが増えていく。
愛している。
でも、それだけでは前に進めない。
同棲という甘い日常の裏で、
少しずつ、確かにズレ始めているふたりの未来。
このまま時間に流されるだけの恋なのか、
それとも、家族へと歩き出せる恋なのか——。
彼の寝息を聞きながら、
彼女は初めて「涙が出そうな夜」を迎えていた。
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
あなたがすき、だったから……。
友坂 悠
恋愛
あなたが好きだったから、わたしは身を引いた。
もともと、3年だけの契約婚だった。
恋愛感情なしに、偽装夫婦を演じよう。
そういうあなたに同意をして一緒に暮らし出した日々。
それなのに。
約束の期限の三日前、まさか酔ったあなたとそういう関係になるなんて、思わなかった。
だから。 わたしはそのまま翌朝家を出た。
わたしだけが、どんどんあなたを好きになってしまったことを隠したくて。
こんな気持ちを悟られ、あなたに迷惑がかかるのに、耐えられなくて。
#############
なろうさんで開催されていた、氷雨そら先生、キムラましゅろう先生主催、
シークレットベビー企画参加作品だった、「あなたが好きだったから」という短編に、少し加筆修正して連載化しました。
初めてのシクべ、ちょっと変わったタイプのシクべ作品となりました。
お楽しみいただけると幸いです。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる