幼なじみは鬼神。そして私は巫女でした

りーさん

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第一章 鬼神と巫女

第一話 幼なじみからの絶縁宣言?

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 今日は、高校の入学式。桜は満開で、周りはこれからの高校生活を楽しみにしている声で溢れている。
 そんな中で、私、神野かんの三咲みさきは沈んでいた。
 それは、私が一人だからだ。いや、決してぼっちというわけではない。私は、たくさんとまでは言わなくても、数人の友達とわいわいする普通の学生だった。
 ここにも、中学生からの友達である篠田しのだ花音かのんという子が通い始める。

「三咲ー!」

 噂をすればなんとやら。私を呼ぶ声がする。
 声の主はもちろん。

「花音……」

 私は低めのトーンで返事を返す。今の心境で元気に返事なんてできない。
 さすがは友人。いつもと違う私の様子にすぐに気づいた。

「どうしたの?せっかくの入学式なのに元気ないなんて」
「実はね、夜見のことなんだけど」

 せっかくなので、私の愚痴を聞いてもらうことにした。
 夜見というのは、赤城あかぎ夜見よみという、私の幼なじみである男の子のこと。
 幼稚園、小学校、中学校と同じで、この高校でも無事同い年となった。
 そして、この入学式の前日が、ちょうどお誕生日で。そのお祝いをしようと、私はプレゼントを持って彼の家へと向かった。
 とはいっても、彼の家は隣なので、すぐ近くに我が家が見える状態ではあったけど。
 チャイムを鳴らすと、夜見が応答する。
 私は用件を伝えようとするとーー

『ごめん。三咲。もう遊びに来ないでくれ』

 それだけ言って、切れた。ぷつりと。
 その後のことは、よく覚えていない。気づいたら、ベッドの上にいた。ぼーっとしていたように思う。
 突然のことで理解が追いつかなかった。訳がわからなかった。

「……ってことがあって、それ以来、顔も合わせてないの。今日の入学式のときに聞こうと思って、ぎりぎりまで家の前で待ってたんだけど、出てこなくって……」
「三咲、彼のこと怒らせたの?怖いよー、赤城くんファンクラブ、過激な人多いから」
「もうそれは勘弁だよ……!」

 夜見は、中学校でもイケメンだったことから大人気で、ファンクラブができていたほどだ。
 女子で入っていなかったのなんて、私と花音くらいなんじゃないかというレベルの人気ぶりだった。
 他校にも会員がいるという噂を聞いたときは、スケールが大きすぎると思ったけど、あながち嘘とは言いきれないので、何も言うことはなかった。
 そして、ここは中学校から近い高校なので、私と同じ中学校だった存在が何人かいる。多分、上級生たちにもいるだろう。
 つまりは、ここにもファンクラブだった人たちがいるということだ。そして私はというと、何かと目をつけられていた。
 理由は単純。私が幼なじみで赤城くんと仲がいいから。
 ファンクラブの人たちからすれば、どう見ても一般人な私がどうして、と思ったんだろう。
 いじめとまでは言わなくても、教室に乗り込んできたり、私の陰口を言っていたりなどはしょっちゅうだった。

「でも、真面目な話。心当たりないの?」
「ないと思うけど……自信はないな。いろいろお願いしてきたし」

 私は、夜見に甘えていたところが多かった。
 勉強とかも教えてもらっていたし、私が欲しい欲しいアピールをして、夜見が勝ち取ったデザートを分けてもらったりもしていた。
 ちりも積もればなんとやらとも言う。私の行動が、夜見にとっては負担だったのかもしれない。
 この高校生活を期に、私から離れようとしているのかも。

「ついに嫌われたかなぁ……せめて、顔くらいは見せてくれてもいいのに」
「三咲は、赤城くんと離れるかもしれないことはいいの?」
「嫌、だけど……でも、私のことで迷惑をかけていたなら、ちょっとは離れる……かな」

 私だって、そこまでわがままではない。
 もし、私が依存していることが嫌だったのなら、なるべく離れる努力はする。
 でも、何の説明もなく避けられたことが納得いかない。せめて、理由は話してもらいたい。

「でも、理由くらいは話してもらってもいいと思うよ?三咲だって、何の説明もなく避けられたことが嫌なんでしょ?」
「うん。でも、まったく会えてないし、チャイムを押しても出てくれないから、話せないんだよね」
「それなら、なんとか捕まえるしかないね。同じ高校だし、同級生だから捕まえようと思えば捕まえられるんじゃない?」
「そうだね。なんとか探してみる」

 もしかしたら、今日はいないかもしれないけど。
 そんな風に考えていたからか、入学式の会場へと向かう途中も、もちろんその最中もまったく見かけなかった。
 夜見のことばかり気にしていたから、入学式のことはほとんど覚えていない。

「もしかしてサボった……?」

 そこまでして私に会いたくないのかと思うと、だんだんと腹が立ってきた。

「三咲!あっちでクラス分けの発表してるよ!」
「あっ、うん。今行く!」

 花音に呼ばれて、私は思考を切り替える。
 とりあえず今は、この入学式の日を終えてからだ。
 私たちはクラス分けの紙が貼られている場所へと向かう。
 どこのクラスかと目で追っていると、花音が先に見つけたようで、嬉しそうに指を指す。

「三咲!私と同じクラスだよ!A組だって」
「あっ、ほんとだ!」

 A組のクラスが書かれた紙を見る。
 クラスメイトに知り合いがいないかと見ていると、そこには見覚えのある名前があった。

A組 三十六名
 
 青木 理仁

 赤城 夜見

 石崎 佑真

 乾 佳奈

 岩井 結城

 潮 彰人

 加藤 愛理 

 神野 三咲

 ~~~

 私の少し上に、例の名前がある。
 やっぱり、同じ高校だよね。いないということは、サボっているってことだよね。

「あっ、赤城くんの名前もあるね」

 私がじっと見ていたからか、花音も赤城夜見という文字に気づく。

「本人がいないけどね」

 花音に言ってもしょうがないことはわかっていても、そう言わずにはいられなかった。
 花音は、少し苦笑いする。

「先生にも聞いてみたけど、風邪みたいだよ。明日は来るんじゃない?」
「だといいけどね」

 このときの私は楽観視していた。いや、気づいていなかった。
 夜見は、今まで風邪なんて引いたことがなかったことに。幼稚園、小学校、中学校。この十年以上の間、体調不良で休んだりしていなかったことに。
 風邪というのは……ただの言い訳でしかなかったことに。
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