14 / 23
第一章 鬼神と巫女
第十四話 校外学習に向けて
しおりを挟む
夜見と少し微妙な距離が生まれてしまったけど、夜見は特に変わらない。
見た感じだと、やっぱりあまりちがいはないような気がする。
もし、中学までと変わっているなら、勘の良い花音が気づくだろう。
それなら、なんで夜見はあんなことを言ったんだろうか。私に離れてほしかった理由があったとか……?
「三咲!」
「……あっ、なに、花音」
夜見のほうに意識を向けていたから、花音の声に反応するのが遅れてしまった。
花音は、そんなことは気にする様子もなく、話を続ける。
「ほら、来週の校外学習。今日、班決めするから、一緒になろう?」
「うん、いいよ」
そう。今は夜見のことよりも、校外学習のことだ。
校外学習では、ありきたりと言ったら失礼かもしれないけど、美術館や動植物園に行く。
そこで、いくつかの班に分けるので、花音は一緒になろうと誘ってくれている。
「それで、あと一人はどうしようか」
三十六人を六つに分ける。女子二十人、男子十六人なので、六つに分けると、最低でも三人必要だ。
「余ってる子でいいかなって。あなたはファンクラブと一緒にはなりたくないでしょ?」
「うん、まぁ……」
私だったら、即答でうんとはっきりとうなずいただろうけど、今回は少し曖昧になってしまう。
実を言うと、高校に入ってから、あまりファンクラブの人たちには悪印象を持たれていないようなのだ。
おそらくは、霊力の犠牲にするまいと距離を取っていたのがあるんだろう。ファンクラブの人たちは、夜見と同時に、夜見と一緒にいた私の一挙手一投足も見ている。
二週間近く見てきて、夜見とあまり関わっていないのは、ファンクラブの人たちが気づくのは当然と言える。
そのお陰で、彼女とかそんな風に見られなくなって、挨拶をしたら笑顔で返してくれるようにはなってきた。
「でも、別に誰でもいいよ。問題は男子かな」
「ああ、そうだよね~……」
私と花音の男の友達なんて、それこそ夜見しかいない。
そして、夜見と仲良くしたら、せっかくちょっとは良好になったファンクラブとの関係が悪化する。
私の霊力がまたいつ暴走するかもわからないし、今、夜見とは気まずい雰囲気だし……
う~ん……どうなるだろう。
◇◇◇
ホームルームが始まった。今回のホームルームは、一時間目と合体して班決めだ。
班長や、他にも時計係や美化係などの役割分担を決める。
どこを見るのかとかは、当日に決めろということみたいだ。
中学までは、夜見といろいろ話していた。
別の班になったら、班のメンバーはどうなのかとか、役割は何なのかとか、どこを見たいのかとか。
でも、今はそんなことを話せない。きっと、聞けば答えてくれるんだろうけど、聞くことができない。
まずは、女子と男子で分かれることになり、女子二十人が教室の後ろ側に集まる。
「私たちは麗さまと同じ班ですわ!」
「当然ですわね」
高田さんと乾さんの言葉に、他の女子は驚く。
その他の女子には、私と花音も含まれていた。
当然だろう。だって、星宮さんは意識不明の状態だった。それなのに、校外学習に参加する前提の話をしているのだから。
「星宮さん、大丈夫になったんですか?」
私が女子を代表して二人に聞いてみると、二人はこくりとうなずく。
「ええ。赤城さまが見舞いに来てから、嘘のように体調が回復しまして、今週末に退院ですわ」
「赤城さまのお陰ですわね。提案してくれたあなたにも、ちょっとは感謝していてよ?」
どうやら、夜見が星宮さんの体から悪鬼を追い払ったお陰で、星宮さんは回復したらしい。
先生からは聞いていないけど、多分明日か明後日くらいにでも話すつもりだったんだろう。
二人は、星宮さんの幼なじみということで、先に知っていたみたいだ。
「では、高田さんと乾さんは星宮さんと一緒で三人でいいの?」
花音がそう聞くと、二人は当然とばかりにうなずく。
「じゃあ、後はこの十七人ね」
花音は、ぐるっと辺りを見渡す。どうやら、星宮さんがいないときのA組のリーダーは花音になるようだ。
その後も、花音が指揮を取って、次々と班が決まっていく。
三人組を固めたり、仲の良い二人同士がくっついて四人になったり。
それを繰り返すうちに、一人が余ったので、その子を私たちの班に加えた。
「よろしくね。えっと……」
紅月中学校にいなかった子なので、名前がわからなかった。
自己紹介のときに聞いたはずなんだけど、そのときは夜見ロスで、クラスの人はファンクラブしか記憶にない。
「は、萩山星奈……です」
「よろしくね、萩山さん。私は神野三咲。で、こっちがーー」
私がそのまま紹介しようとすると、花音が私の言葉に続くように自己紹介した。
「篠田花音だよ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします……」
萩山さんは、どこか申し訳なさそうに頭を下げる。
引っ込み思案な子なのかな。でも、頭を下げながらも、なぜか私のほうをチラチラと見る。
う~ん……これは、よくわからない子が来たなぁ……
見た感じだと、やっぱりあまりちがいはないような気がする。
もし、中学までと変わっているなら、勘の良い花音が気づくだろう。
それなら、なんで夜見はあんなことを言ったんだろうか。私に離れてほしかった理由があったとか……?
「三咲!」
「……あっ、なに、花音」
夜見のほうに意識を向けていたから、花音の声に反応するのが遅れてしまった。
花音は、そんなことは気にする様子もなく、話を続ける。
「ほら、来週の校外学習。今日、班決めするから、一緒になろう?」
「うん、いいよ」
そう。今は夜見のことよりも、校外学習のことだ。
校外学習では、ありきたりと言ったら失礼かもしれないけど、美術館や動植物園に行く。
そこで、いくつかの班に分けるので、花音は一緒になろうと誘ってくれている。
「それで、あと一人はどうしようか」
三十六人を六つに分ける。女子二十人、男子十六人なので、六つに分けると、最低でも三人必要だ。
「余ってる子でいいかなって。あなたはファンクラブと一緒にはなりたくないでしょ?」
「うん、まぁ……」
私だったら、即答でうんとはっきりとうなずいただろうけど、今回は少し曖昧になってしまう。
実を言うと、高校に入ってから、あまりファンクラブの人たちには悪印象を持たれていないようなのだ。
おそらくは、霊力の犠牲にするまいと距離を取っていたのがあるんだろう。ファンクラブの人たちは、夜見と同時に、夜見と一緒にいた私の一挙手一投足も見ている。
二週間近く見てきて、夜見とあまり関わっていないのは、ファンクラブの人たちが気づくのは当然と言える。
そのお陰で、彼女とかそんな風に見られなくなって、挨拶をしたら笑顔で返してくれるようにはなってきた。
「でも、別に誰でもいいよ。問題は男子かな」
「ああ、そうだよね~……」
私と花音の男の友達なんて、それこそ夜見しかいない。
そして、夜見と仲良くしたら、せっかくちょっとは良好になったファンクラブとの関係が悪化する。
私の霊力がまたいつ暴走するかもわからないし、今、夜見とは気まずい雰囲気だし……
う~ん……どうなるだろう。
◇◇◇
ホームルームが始まった。今回のホームルームは、一時間目と合体して班決めだ。
班長や、他にも時計係や美化係などの役割分担を決める。
どこを見るのかとかは、当日に決めろということみたいだ。
中学までは、夜見といろいろ話していた。
別の班になったら、班のメンバーはどうなのかとか、役割は何なのかとか、どこを見たいのかとか。
でも、今はそんなことを話せない。きっと、聞けば答えてくれるんだろうけど、聞くことができない。
まずは、女子と男子で分かれることになり、女子二十人が教室の後ろ側に集まる。
「私たちは麗さまと同じ班ですわ!」
「当然ですわね」
高田さんと乾さんの言葉に、他の女子は驚く。
その他の女子には、私と花音も含まれていた。
当然だろう。だって、星宮さんは意識不明の状態だった。それなのに、校外学習に参加する前提の話をしているのだから。
「星宮さん、大丈夫になったんですか?」
私が女子を代表して二人に聞いてみると、二人はこくりとうなずく。
「ええ。赤城さまが見舞いに来てから、嘘のように体調が回復しまして、今週末に退院ですわ」
「赤城さまのお陰ですわね。提案してくれたあなたにも、ちょっとは感謝していてよ?」
どうやら、夜見が星宮さんの体から悪鬼を追い払ったお陰で、星宮さんは回復したらしい。
先生からは聞いていないけど、多分明日か明後日くらいにでも話すつもりだったんだろう。
二人は、星宮さんの幼なじみということで、先に知っていたみたいだ。
「では、高田さんと乾さんは星宮さんと一緒で三人でいいの?」
花音がそう聞くと、二人は当然とばかりにうなずく。
「じゃあ、後はこの十七人ね」
花音は、ぐるっと辺りを見渡す。どうやら、星宮さんがいないときのA組のリーダーは花音になるようだ。
その後も、花音が指揮を取って、次々と班が決まっていく。
三人組を固めたり、仲の良い二人同士がくっついて四人になったり。
それを繰り返すうちに、一人が余ったので、その子を私たちの班に加えた。
「よろしくね。えっと……」
紅月中学校にいなかった子なので、名前がわからなかった。
自己紹介のときに聞いたはずなんだけど、そのときは夜見ロスで、クラスの人はファンクラブしか記憶にない。
「は、萩山星奈……です」
「よろしくね、萩山さん。私は神野三咲。で、こっちがーー」
私がそのまま紹介しようとすると、花音が私の言葉に続くように自己紹介した。
「篠田花音だよ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします……」
萩山さんは、どこか申し訳なさそうに頭を下げる。
引っ込み思案な子なのかな。でも、頭を下げながらも、なぜか私のほうをチラチラと見る。
う~ん……これは、よくわからない子が来たなぁ……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
分かりやすい日月神示のエッセイ 🔰女性向け
蔵屋
エッセイ・ノンフィクション
私は日月神示の内容を今まで学問として研究してもう25年になります。
このエッセイは私の25年間の集大成です。
宇宙のこと、118種類の元素のこと、神さまのこと、宗教のこと、政治、経済、社会の仕組みなど社会に役立たつことも含めていますので、皆さまのお役に立つものと確信しています。
どうか、最後まで読んで頂きたいと思います。
お読み頂く前に次のことを皆様に申し上げておきます。
このエッセイは国家を始め特定の人物や団体、機関を否定して、批判するものではありません。
一つ目は「私は一切の対立や争いを好みません。」
2つ目は、「すべての教えに対する評価や取捨選択は読者の自由とします。」
3つ目は、「この教えの実践や実行に於いては、周囲の事情を無視した独占的排他的言動を避けていただき、常識に照らし合わせて問題を起こさないよう慎重にしていただきたいと思います。
この日月神示は最高神である国常立尊という神様が三千世界の大洗濯をする為に霊界で閻魔大王として閉じ込められていましたが、この世の中が余りにも乱れていて、悪の蔓延る暗黒の世の中になりつつあるため、私たちの住む現界に現れたのです。この日月神示に書かれていることは、真実であり、これから起こる三千世界の大洗濯を事前に知らせているのです。
何故?
それは私たち人類に改心をさせるためです。
それでは『分かりやすい日月神示のエッセイ 🔰女性向け』を最後まで、お読み下さい。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年(2025年)元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる