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第三章 休みくらい好きにさせて
第5話 結局こうなる 2
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ガタガタ。ゴトゴト。
私は、馬車に揺られている。窓の景色をたそがれるように見ているが、その目は死んでいるだろう。
反対に、一緒に馬車に乗っている子達の目は輝いている。
「わぁ!お山だ!」
「海もある!」
今にも窓から乗り出しそうな子ども達を、私の友人達が制止する。
「乗り出したら危ないよ」
「そうよ。ここにはトラブルホイホイが乗ってるんだから」
それは関係ないだろうが。こいつはいつも一言余計なんだ。
本当に、なんでこんなことになったのか。それは、昨日の出来事である。
*ー*ー*ー
珍しくぐっすりと眠れた。起き上がると、いつものように、レアが隣で寝ている。もう日常になりつつある光景だ。でも、一時期いなくなっていたからか、妙に懐かしい気分になる。
ポカポカとした陽光に照らされている寝顔は、本当に気持ち良さそうで、本当に眠るのが好きなんだなというのを再認識させられる。
まぁ、白梟の子達からすれば、ずっとこんな感じならいいんですけどねとか言いそうだけども。
私がレアの寝顔を観察していると、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。
「リリアン様。ソフィアです」
来たのはソフィアだと知って、私は慌て出す。ソフィアは、レアのことを知らないはずだ。あの子のことだから、笑って受け入れそうだけど、それでもなるべく気づかれない方がいいだろう。
とりあえず、布団を被せておいて、周りにクッションを置いておいた。これならそこまで違和感はない……はず。気づかれたら気づかれたでなんとかしよう。
「どうぞ」
「あら、一人?」
「え、ええ……」
ちょっと息切れしながら出迎えたからか、ソフィアは不思議そうな目を向けている。
「それで、何の用かしら?」
「ほら、約束の薬を持ってきたのよ」
よく見ると、右手に何か持っていた。そういえば、そんな約束もしていたような気がする。
眠れない問題で忘れていた。
「ありがとう」
私は、それを受け取って、ドアを閉めようとすると、「そういえば」と話を続けてくる。
「それはそれとして、あなたは帰らないの?」
「えっ?どこに?」
「そりゃあ、ベルテン領よ。貴族の令嬢様はほとんど帰ってるわよ?」
話を聞くと、どうやら貴族のお嬢様は、こうでもないとなかなか会えないからということで、領地に帰っているのがほとんどらしい。もちろん、この都に身内が住んでいるという上流階級のお嬢様も、お家に帰っている。貴族で学園に残っているのは、攻略対象を除けば、私、シェリー王女殿下、侯爵家のミィファという子だけみたい。なんか、生徒会の役員だったらしいけど、あの生きる屍と天使のような王女にしか目がいかなくて覚えていない。
仕事がある生徒会長であるシェリー王女を除けば、侯爵家の令嬢しか残っていないというわけだ。
「でも、領地に帰るとめんどくさいことになりそうで……」
「めんどくさいこと?あなた、今度は何をやらかしたのよ」
なんでやらかした前提!?なぜこっちに非が10割みたいな言い方をするのよ!……まぁ、今回はそうかもしれないけど。
立ち話だと長くなるかもしれないので、部屋に招き入れて、理由を説明する。すると、ソフィアはわざとらしくため息をついた。
「あんたって、変なことはよく知ってるものね。でも、それなら別に教えてもいいんじゃない?」
「酸素の概念が伝わると思う?」
私がそう言うと、しばらく無言が続く。数少ない、ソフィアこと明莉を論破できた瞬間だった。
「……それじゃあ、私も一緒に行くわ。教えるとなれば腕がなるわね……!」
あっ、やべぇ。こいつのやる気スイッチを押してしまったかもしれない。いや、やる気スイッチじゃないな。スパルタスイッチだ。
向こうの魔法使いさん、ごめんなさい。こうなったソフィアは止められません。私は、まだ見ぬ魔法使いに心の中で土下座した。
*ー*ー*ー
これが、事の顛末である。ソフィアは、そうと決まればと、すぐに寮へ外出許可をとった。そして、ベルテン領に手紙も送ってしまった。モニカちゃんの商家としてのつてを使って。
モニカちゃんは、実家に帰っていたのだが、ゲームで知ったのかわからないけど、ソフィアはモニカちゃんの家を知っていて、突撃をかましたのである。そして、モニカちゃんに私が一緒にベルテン領に行きたがっていると吹き込んで根回し。
まだ、モニカちゃんだけならそんなことは言っていないと言えたのだが、モニカちゃんの弟妹であるリルちゃんとウィルくんがウキウキ気分でついてくることになってしまい、モニカちゃんの両親からも、よろしくお願いしますという手紙が届いた。
これが、ソフィアと話をした翌日……つまり、今日までにソフィアがやった行動だった。
でも、昨日は途中からレアが起きていたようで、話していたことをごまかすのが大変だった。ソフィアのため口は、二人きりのときはそうしているで問題なかったけど、酸素が大変だったなぁ。何を言っても意味がなかったので、聞いてなかったことにしてと頼んだら、お菓子をくれるならかまわないと言われちゃった。
お菓子をおごることが決定してしまったのである。……あっ、待てよ。お菓子といえば……
「ソフィア」
私が声をかけると、ソフィアがこちらの方を向く。
「なんでしょう?」
「約束のアップルパイはいつになったらくれるのよ」
「あっ。そういえばそうでしたね。それなら、ベルテン領に着いたら買い出しに行きましょうか」
「ソフィアさん。アップルパイが焼けるんですか?」
「はい。そんなにも自慢するほどではありませんが」
ソフィアはそうやって謙遜しているけど、普通にプロ顔負けレベルだと思うんだけど。
大会に応募すれば、少なくとも予選は突破できたと思うわよ。
「まぁ、その前に、ジュラルミンの教育からですよね……!」
ふっふっふと笑っているソフィアを、私は汗を流しながら見ていた。
*ー*ー*ー
寮のある一室。
一人の少女が、力を抜いて、椅子にもたれてため息をついている。
「ふぅ……」
彼女はシェリー。この国の第一王女。今はこの学園に通っているが、卒業後は同盟強化のために、隣国に嫁ぐことが決まっている。
シェリーは疲れていた。生徒会長、王女としての社交の仕事、隣国の王妃になるための教育と、忙しいから疲れるのは当然のことだ。でも、最近は全然疲れが取れない。きちんと七時間ほどは寝ているはずなのだが、まるで寝ていないかのように、体に疲れが溜まっている。
「シェリー様。大丈夫ですか?」
「ミィファ」
心配そうにたずねてくるのは、生徒会書記のミィファ・ルティーア。ルティーア侯爵家の令嬢で、シェリーとは幼なじみになる。
なので、普段は様をつけて呼んでいるシェリーも、ミィファに対しては呼び捨てだった。
「お疲れでしたら、お休みいただいてもいいのですよ?」
ミィファは、もう五回くらいはこのセリフを繰り返している。自分が疲れたような動作をすれば、すぐに休んだ方がいいと言ってくれる。とても優しい子だ。
シェリーは、そんな彼女の提案にうなずく。
「そうね。休もうかしら」
シェリーは、う~んと背伸びをして、ベッドに寝転がる。疲れがとれるかもわからないが、とりあえず寝てみよう。そんな思いで、目を閉じる。シェリーが目を閉じたのを確認すると、ミィファはその場に跪いた。
ミィファが跪いたとき、シェリーの体が起き上がる。
「やっと寝たのか。根を詰めるのは王女らしいといえばらしいのだが」
その声はシェリーだが、明らかに口調も雰囲気も違う。でも、ミィファはそれに驚くような真似はせず、そのシェリーらしき人物に謝罪する。
「申し訳ございません。私がもっとうまく誘導できれば良かったのですが……」
「今のお前は侯爵令嬢。王女には進言しかできないのはわかっている。気にすることはない。して、王女を眠らせるように誘導したのなら、私に報告することがあるのではないか?」
ベッドに腰掛けながら、ミィファに問いかける。ミィファは、顔だけをその存在に向けて言った。
「例の存在が、帰省を開始したそうです。あちらには、優秀な影がおりますので、気づかれたのかもしれません」
「貴様が無能というわけではなくか?」
不機嫌そうにミィファを睨み付けると、ミィファは一瞬悪寒が走ったが、すぐに冷静さを取り戻した。
「無能なのは下っ端の方かと。白梟が潜んでいるのも気づかない愚か者です」
「そいつらは処理したのか」
「ええ。表向きには動けませんが、動かせる奴らならおりますので」
「それで、対象はどこに帰省したのだ?」
無能な下っ端のことはもうどうでもよくなり、ミィファに対象のことをたずねる。ミィファは、微笑みながら一言こう言った。
「ベルテン領だそうですよ」
私は、馬車に揺られている。窓の景色をたそがれるように見ているが、その目は死んでいるだろう。
反対に、一緒に馬車に乗っている子達の目は輝いている。
「わぁ!お山だ!」
「海もある!」
今にも窓から乗り出しそうな子ども達を、私の友人達が制止する。
「乗り出したら危ないよ」
「そうよ。ここにはトラブルホイホイが乗ってるんだから」
それは関係ないだろうが。こいつはいつも一言余計なんだ。
本当に、なんでこんなことになったのか。それは、昨日の出来事である。
*ー*ー*ー
珍しくぐっすりと眠れた。起き上がると、いつものように、レアが隣で寝ている。もう日常になりつつある光景だ。でも、一時期いなくなっていたからか、妙に懐かしい気分になる。
ポカポカとした陽光に照らされている寝顔は、本当に気持ち良さそうで、本当に眠るのが好きなんだなというのを再認識させられる。
まぁ、白梟の子達からすれば、ずっとこんな感じならいいんですけどねとか言いそうだけども。
私がレアの寝顔を観察していると、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。
「リリアン様。ソフィアです」
来たのはソフィアだと知って、私は慌て出す。ソフィアは、レアのことを知らないはずだ。あの子のことだから、笑って受け入れそうだけど、それでもなるべく気づかれない方がいいだろう。
とりあえず、布団を被せておいて、周りにクッションを置いておいた。これならそこまで違和感はない……はず。気づかれたら気づかれたでなんとかしよう。
「どうぞ」
「あら、一人?」
「え、ええ……」
ちょっと息切れしながら出迎えたからか、ソフィアは不思議そうな目を向けている。
「それで、何の用かしら?」
「ほら、約束の薬を持ってきたのよ」
よく見ると、右手に何か持っていた。そういえば、そんな約束もしていたような気がする。
眠れない問題で忘れていた。
「ありがとう」
私は、それを受け取って、ドアを閉めようとすると、「そういえば」と話を続けてくる。
「それはそれとして、あなたは帰らないの?」
「えっ?どこに?」
「そりゃあ、ベルテン領よ。貴族の令嬢様はほとんど帰ってるわよ?」
話を聞くと、どうやら貴族のお嬢様は、こうでもないとなかなか会えないからということで、領地に帰っているのがほとんどらしい。もちろん、この都に身内が住んでいるという上流階級のお嬢様も、お家に帰っている。貴族で学園に残っているのは、攻略対象を除けば、私、シェリー王女殿下、侯爵家のミィファという子だけみたい。なんか、生徒会の役員だったらしいけど、あの生きる屍と天使のような王女にしか目がいかなくて覚えていない。
仕事がある生徒会長であるシェリー王女を除けば、侯爵家の令嬢しか残っていないというわけだ。
「でも、領地に帰るとめんどくさいことになりそうで……」
「めんどくさいこと?あなた、今度は何をやらかしたのよ」
なんでやらかした前提!?なぜこっちに非が10割みたいな言い方をするのよ!……まぁ、今回はそうかもしれないけど。
立ち話だと長くなるかもしれないので、部屋に招き入れて、理由を説明する。すると、ソフィアはわざとらしくため息をついた。
「あんたって、変なことはよく知ってるものね。でも、それなら別に教えてもいいんじゃない?」
「酸素の概念が伝わると思う?」
私がそう言うと、しばらく無言が続く。数少ない、ソフィアこと明莉を論破できた瞬間だった。
「……それじゃあ、私も一緒に行くわ。教えるとなれば腕がなるわね……!」
あっ、やべぇ。こいつのやる気スイッチを押してしまったかもしれない。いや、やる気スイッチじゃないな。スパルタスイッチだ。
向こうの魔法使いさん、ごめんなさい。こうなったソフィアは止められません。私は、まだ見ぬ魔法使いに心の中で土下座した。
*ー*ー*ー
これが、事の顛末である。ソフィアは、そうと決まればと、すぐに寮へ外出許可をとった。そして、ベルテン領に手紙も送ってしまった。モニカちゃんの商家としてのつてを使って。
モニカちゃんは、実家に帰っていたのだが、ゲームで知ったのかわからないけど、ソフィアはモニカちゃんの家を知っていて、突撃をかましたのである。そして、モニカちゃんに私が一緒にベルテン領に行きたがっていると吹き込んで根回し。
まだ、モニカちゃんだけならそんなことは言っていないと言えたのだが、モニカちゃんの弟妹であるリルちゃんとウィルくんがウキウキ気分でついてくることになってしまい、モニカちゃんの両親からも、よろしくお願いしますという手紙が届いた。
これが、ソフィアと話をした翌日……つまり、今日までにソフィアがやった行動だった。
でも、昨日は途中からレアが起きていたようで、話していたことをごまかすのが大変だった。ソフィアのため口は、二人きりのときはそうしているで問題なかったけど、酸素が大変だったなぁ。何を言っても意味がなかったので、聞いてなかったことにしてと頼んだら、お菓子をくれるならかまわないと言われちゃった。
お菓子をおごることが決定してしまったのである。……あっ、待てよ。お菓子といえば……
「ソフィア」
私が声をかけると、ソフィアがこちらの方を向く。
「なんでしょう?」
「約束のアップルパイはいつになったらくれるのよ」
「あっ。そういえばそうでしたね。それなら、ベルテン領に着いたら買い出しに行きましょうか」
「ソフィアさん。アップルパイが焼けるんですか?」
「はい。そんなにも自慢するほどではありませんが」
ソフィアはそうやって謙遜しているけど、普通にプロ顔負けレベルだと思うんだけど。
大会に応募すれば、少なくとも予選は突破できたと思うわよ。
「まぁ、その前に、ジュラルミンの教育からですよね……!」
ふっふっふと笑っているソフィアを、私は汗を流しながら見ていた。
*ー*ー*ー
寮のある一室。
一人の少女が、力を抜いて、椅子にもたれてため息をついている。
「ふぅ……」
彼女はシェリー。この国の第一王女。今はこの学園に通っているが、卒業後は同盟強化のために、隣国に嫁ぐことが決まっている。
シェリーは疲れていた。生徒会長、王女としての社交の仕事、隣国の王妃になるための教育と、忙しいから疲れるのは当然のことだ。でも、最近は全然疲れが取れない。きちんと七時間ほどは寝ているはずなのだが、まるで寝ていないかのように、体に疲れが溜まっている。
「シェリー様。大丈夫ですか?」
「ミィファ」
心配そうにたずねてくるのは、生徒会書記のミィファ・ルティーア。ルティーア侯爵家の令嬢で、シェリーとは幼なじみになる。
なので、普段は様をつけて呼んでいるシェリーも、ミィファに対しては呼び捨てだった。
「お疲れでしたら、お休みいただいてもいいのですよ?」
ミィファは、もう五回くらいはこのセリフを繰り返している。自分が疲れたような動作をすれば、すぐに休んだ方がいいと言ってくれる。とても優しい子だ。
シェリーは、そんな彼女の提案にうなずく。
「そうね。休もうかしら」
シェリーは、う~んと背伸びをして、ベッドに寝転がる。疲れがとれるかもわからないが、とりあえず寝てみよう。そんな思いで、目を閉じる。シェリーが目を閉じたのを確認すると、ミィファはその場に跪いた。
ミィファが跪いたとき、シェリーの体が起き上がる。
「やっと寝たのか。根を詰めるのは王女らしいといえばらしいのだが」
その声はシェリーだが、明らかに口調も雰囲気も違う。でも、ミィファはそれに驚くような真似はせず、そのシェリーらしき人物に謝罪する。
「申し訳ございません。私がもっとうまく誘導できれば良かったのですが……」
「今のお前は侯爵令嬢。王女には進言しかできないのはわかっている。気にすることはない。して、王女を眠らせるように誘導したのなら、私に報告することがあるのではないか?」
ベッドに腰掛けながら、ミィファに問いかける。ミィファは、顔だけをその存在に向けて言った。
「例の存在が、帰省を開始したそうです。あちらには、優秀な影がおりますので、気づかれたのかもしれません」
「貴様が無能というわけではなくか?」
不機嫌そうにミィファを睨み付けると、ミィファは一瞬悪寒が走ったが、すぐに冷静さを取り戻した。
「無能なのは下っ端の方かと。白梟が潜んでいるのも気づかない愚か者です」
「そいつらは処理したのか」
「ええ。表向きには動けませんが、動かせる奴らならおりますので」
「それで、対象はどこに帰省したのだ?」
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