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第三章 休みくらい好きにさせて
第20話 ウィルくん付きの女子会
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しばらくすると、ソフィアが戻ってくる。しばらくといっても、1~2時間くらいは経っているだろうけど。
「アップルパイとタルトタタン作ってきましたよ~!」
ソフィアが敬語でそう言ってくる。ということは、周りに他人がいるのだろうか。
すると、ソフィアの服の影から小さな人影が顔を覗かせる。モニカちゃんの弟妹であるリルちゃんとウィルくんだ。
二人がいるということは、近くにモニカちゃんもいるのかと思ってずっとそっちのほうを見ていると、モニカちゃんが顔を覗かせてくる。
「リリアン様!」
「あっ、モニカさん。お久しぶり」
「そんなに久しぶりですか……?」
私が無意識に久しぶりというと、モニカちゃんが首をかしげる。
言われてみれば、そんなに久しぶりでもないのか……?でも、数日はたっていると思うんだけど。
ちょっと気まずい雰囲気が流れたけど、モニカちゃんはソフィアの横に座る。
「リリアンさま~!」
「遊びにきました!」
そして、ウィルくんとリルちゃんも顔を覗かせている。
可愛らしく駆け寄ってきたので、反射的に頭を撫でてしまう。私は毒舌とかが結構ひどかったから、子どもには嫌われやすい傾向にあるので、こう懐いてくると、どう対応していいかわからない。なので、とりあえず頭を撫でてしまう。
「ねぇねぇ!メイアさんいないの?」
「メイアさんどこ~?」
そして、ウィルくんとリルちゃんは、メイアに助けられてからは、メイアにも懐くようになった。
メイアは、今ごろ鬼ごっこでもしてるんじゃないかとリーナとルーナは言っていた。
白梟の会議をしていたらしいけど……それで何がどうなったら鬼ごっこになったんだろうか。
「ねぇ、レア。何か知らない?」
「う~ん……いろいろあったんだよね~」
「「うわっ!!」」
最初からそこにいたように、レアが自然と参加してくる。気配を消していたのだろう。もちろん、ソフィアとモニカちゃんは気づかずに、驚きの声をあげている。
「い、いたんですか……」
「最初からいたよ?ご主人は気づいたのにね~」
気づかないほうがおかしいみたいな言い方をしているけど、私も直前までは気づかなかった。
でも、いくら気配を消していても、目の前でお菓子を見ながら、目をキラキラさせていたら誰でも気づくというものだ。さすがに、私も後ろにいられたら気づかなかっただろう。
「それで、メイアは?」
「サリーを怒らせちゃってね~。いつものことだけど」
「それで、ちゃんと話し合ってき……てないのね」
ちゃんと話し合ってきたのと聞こうとしたら、その途中でレアが目をそらしたので、すべてを察した。
本当に、エリート部隊なんだろうな……?自称エリートのポンコツじゃなかろうな……?
まぁ、私が今まで頼んできたことは、きっちりとこなしているので、一概に役立たずみたいには言えないけども。
「だって、アイちゃんが……」
「アイちゃんってだーれ?」
「私も知りませんね」
「私も会ったことないです」
レアがアイちゃんというと、リルちゃんとソフィアとモニカちゃんが順番に反応する。
そういえば、モニカちゃんが会ったのは隊長達だけ。ソフィアにいたってはレアだけだ。そして、ウィルくんとリルちゃんはメイアしか知らない。
「そうね。私のメンタルがやられるから、あまり会いたくない相手よ」
「どんなお方なんですか……」
「希少魔法の使い手で、人の心を勝手に読んで暴露してくる」
「悪魔みたいな人ですね」
私が死んだ目をしながら少し早口になって説明すると、ソフィアも早口で返してきた。
ソフィアの言うとおり、あの人もだいぶ悪魔よね。レアのことをロリデビルとか言っていたけど、充分アイリスも悪魔だわ。
「まぁ、今はいないんですからいいでしょう?暗い気持ちになってないで、早くお菓子を食べましょう」
「………………」
「えっと……レアちゃんも食べる……?」
目をキラキラ輝かせながら、ソフィアのほうを見て、私にも喰わせろとアピールしている。
そういえば、私にもお菓子をおねだりしていた覚えがある。子どもみたいに、お菓子が好きなようね。やっぱり子どもだわ。大人じゃないって。
「ご主人……?変なことを考えてないよね……?」
「い、いや?別に何も?」
レアにしては珍しく本性丸出しで私を見てきたので、私も慌ててしまう。
私はお気に入りみたいだから、いつもならこれくらいで怒ったりはしないんだけど……あっ、もしかして……
「レア、機嫌が悪いの?」
「だって、アイちゃんに年齢がばらされそうになったし……」
ああ、女性は年齢の話題はタブーよね。実年齢を言われたくない気持ちはわかる。
でも、あなたは言ったほうがいいんじゃないの?ちゃんと言わないと、いつまでも子ども扱いはなくならないと思う。
子ども扱いは嫌だけど、ババアとして扱ってほしくもないって、ちょっとわがままがすぎると思うんだけどなぁ……。
「年齢はアウトよね~……。で、そんなに嫌な年なんですか?」
「聞いた話では、100は越えてるってーー」
私がそこまで言うと、レアが肩を掴んでくる。ぎゅっと握ってくるので、ちょっと痛い。
「ご主人。誰が言ってたの?」
「ちょっと、痛いんだけど」
「誰が言ってたの?」
「レア、離してってば」
「誰が言ってたの?」
レアに離すように訴えるも、レアはロボットのように同じ言葉しか繰り返さない。
そんなレアの目には、明らかに殺意がこもっている。話したら、真っ先に始末しそうだ。
話したら、離してくれるだろうか?そう思ったら、やることは一つだった。
「リーナとルーナ」
「ありがとう」
私が名前を教えると、レアはにっこりと笑ってそう言い、笑顔のまま部屋を出ていってしまった。
リーナ、ルーナ。後で墓石は買ってあげるよ。
「レアさん、お菓子は食べなくてもいいんですかね……?」
「モニカさん、そこではありませんよ」
私が心の中で合唱していると、そんな天然じみた会話が耳に入ってきた。
「アップルパイとタルトタタン作ってきましたよ~!」
ソフィアが敬語でそう言ってくる。ということは、周りに他人がいるのだろうか。
すると、ソフィアの服の影から小さな人影が顔を覗かせる。モニカちゃんの弟妹であるリルちゃんとウィルくんだ。
二人がいるということは、近くにモニカちゃんもいるのかと思ってずっとそっちのほうを見ていると、モニカちゃんが顔を覗かせてくる。
「リリアン様!」
「あっ、モニカさん。お久しぶり」
「そんなに久しぶりですか……?」
私が無意識に久しぶりというと、モニカちゃんが首をかしげる。
言われてみれば、そんなに久しぶりでもないのか……?でも、数日はたっていると思うんだけど。
ちょっと気まずい雰囲気が流れたけど、モニカちゃんはソフィアの横に座る。
「リリアンさま~!」
「遊びにきました!」
そして、ウィルくんとリルちゃんも顔を覗かせている。
可愛らしく駆け寄ってきたので、反射的に頭を撫でてしまう。私は毒舌とかが結構ひどかったから、子どもには嫌われやすい傾向にあるので、こう懐いてくると、どう対応していいかわからない。なので、とりあえず頭を撫でてしまう。
「ねぇねぇ!メイアさんいないの?」
「メイアさんどこ~?」
そして、ウィルくんとリルちゃんは、メイアに助けられてからは、メイアにも懐くようになった。
メイアは、今ごろ鬼ごっこでもしてるんじゃないかとリーナとルーナは言っていた。
白梟の会議をしていたらしいけど……それで何がどうなったら鬼ごっこになったんだろうか。
「ねぇ、レア。何か知らない?」
「う~ん……いろいろあったんだよね~」
「「うわっ!!」」
最初からそこにいたように、レアが自然と参加してくる。気配を消していたのだろう。もちろん、ソフィアとモニカちゃんは気づかずに、驚きの声をあげている。
「い、いたんですか……」
「最初からいたよ?ご主人は気づいたのにね~」
気づかないほうがおかしいみたいな言い方をしているけど、私も直前までは気づかなかった。
でも、いくら気配を消していても、目の前でお菓子を見ながら、目をキラキラさせていたら誰でも気づくというものだ。さすがに、私も後ろにいられたら気づかなかっただろう。
「それで、メイアは?」
「サリーを怒らせちゃってね~。いつものことだけど」
「それで、ちゃんと話し合ってき……てないのね」
ちゃんと話し合ってきたのと聞こうとしたら、その途中でレアが目をそらしたので、すべてを察した。
本当に、エリート部隊なんだろうな……?自称エリートのポンコツじゃなかろうな……?
まぁ、私が今まで頼んできたことは、きっちりとこなしているので、一概に役立たずみたいには言えないけども。
「だって、アイちゃんが……」
「アイちゃんってだーれ?」
「私も知りませんね」
「私も会ったことないです」
レアがアイちゃんというと、リルちゃんとソフィアとモニカちゃんが順番に反応する。
そういえば、モニカちゃんが会ったのは隊長達だけ。ソフィアにいたってはレアだけだ。そして、ウィルくんとリルちゃんはメイアしか知らない。
「そうね。私のメンタルがやられるから、あまり会いたくない相手よ」
「どんなお方なんですか……」
「希少魔法の使い手で、人の心を勝手に読んで暴露してくる」
「悪魔みたいな人ですね」
私が死んだ目をしながら少し早口になって説明すると、ソフィアも早口で返してきた。
ソフィアの言うとおり、あの人もだいぶ悪魔よね。レアのことをロリデビルとか言っていたけど、充分アイリスも悪魔だわ。
「まぁ、今はいないんですからいいでしょう?暗い気持ちになってないで、早くお菓子を食べましょう」
「………………」
「えっと……レアちゃんも食べる……?」
目をキラキラ輝かせながら、ソフィアのほうを見て、私にも喰わせろとアピールしている。
そういえば、私にもお菓子をおねだりしていた覚えがある。子どもみたいに、お菓子が好きなようね。やっぱり子どもだわ。大人じゃないって。
「ご主人……?変なことを考えてないよね……?」
「い、いや?別に何も?」
レアにしては珍しく本性丸出しで私を見てきたので、私も慌ててしまう。
私はお気に入りみたいだから、いつもならこれくらいで怒ったりはしないんだけど……あっ、もしかして……
「レア、機嫌が悪いの?」
「だって、アイちゃんに年齢がばらされそうになったし……」
ああ、女性は年齢の話題はタブーよね。実年齢を言われたくない気持ちはわかる。
でも、あなたは言ったほうがいいんじゃないの?ちゃんと言わないと、いつまでも子ども扱いはなくならないと思う。
子ども扱いは嫌だけど、ババアとして扱ってほしくもないって、ちょっとわがままがすぎると思うんだけどなぁ……。
「年齢はアウトよね~……。で、そんなに嫌な年なんですか?」
「聞いた話では、100は越えてるってーー」
私がそこまで言うと、レアが肩を掴んでくる。ぎゅっと握ってくるので、ちょっと痛い。
「ご主人。誰が言ってたの?」
「ちょっと、痛いんだけど」
「誰が言ってたの?」
「レア、離してってば」
「誰が言ってたの?」
レアに離すように訴えるも、レアはロボットのように同じ言葉しか繰り返さない。
そんなレアの目には、明らかに殺意がこもっている。話したら、真っ先に始末しそうだ。
話したら、離してくれるだろうか?そう思ったら、やることは一つだった。
「リーナとルーナ」
「ありがとう」
私が名前を教えると、レアはにっこりと笑ってそう言い、笑顔のまま部屋を出ていってしまった。
リーナ、ルーナ。後で墓石は買ってあげるよ。
「レアさん、お菓子は食べなくてもいいんですかね……?」
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