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4 婚約者とお茶会
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突然だが、私には婚約者というものがいる。
私の婚約者は、私が三歳になったころに決まっていた。完全なる政略結婚だ。私は、それを不満に思ったりはしていない。別に、嫌な奴というわけでもないし、恋人としては悩みどころだけど、夫として過ごすならいいかなぁって感じだ。
なぜいきなり婚約者の話をしたのかというと、今日は婚約者とのお茶会をしなければならないからだ。
そして、私はお母さまを幸せにするプランに、婚約者も巻き込んでしまえ、と思っている。
勘違いされないために説明すると、別に使いっぱしりとか、そんな風にこき使うつもりはない。ただ、王妃派になってもらうだけだ。それだけでも、貴族にとってはかなりのことかもしれないけど。
ちなみに、婚約者の父親は国王派のようだ。だから、息子を引き入れようとしている。まぁ、いきなりこちら側になって!と言ったりはしないけど。
「アレクシスさま、お久しぶりです。今日もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ、茶会に招待いただきありがとうございます、リリー王女殿下」
私の婚約者ーーアレクシスは、家柄も申し分なく、顔もイケメンで、好青年という印象だ。前世だったらアイドルをやってそうな感じ。といっても、私よりも二つ年上なだけなので、まだ七歳なんだけど。
多分、アレクシスは転生者というわけではないはずなのに、ずいぶんと大人びている。私とは大違いだ。
「そういえば、アレクシスさま。もうすぐ誕生日ですよね?何かお贈りしましょうか?」
私は、三歳で婚約者となってからは、一応良好な仲になっておこうと、誕生日プレゼントを贈ったりしていた。
この国では、女性が男性にプレゼントしたりすることがあまりないようで、家族に驚かれたと恥ずかしそうに語っていたのを覚えている。
アレクシスの誕生日は一ヶ月後だ。
「そのお気持ちだけで結構ですよ。王女殿下からいただいてばかりなのは心苦しいですし……」
ちなみに、アレクシスもちゃんと私の誕生日にはプレゼントを贈ってくれるので、私が贈ってばかりということはない。
「でも、私がプレゼントを贈った直後は、やけに嬉しそうな気がしましたが……?」
「そ、それは……殿下のプレゼントですし……」
アレクシスは、頬を赤くして、もじもじとしている。大人びていても、やはりお子さまだ。
「それに、あまり贈り物をいただく機会がありませんでしたので……」
「家族からは祝われないのですか?」
「茶会を開くことはありますが……物をもらうことはありませんね」
この国の親たちは、子煩悩になったら死ぬ呪いでもかかっているのか?まだ幼い子どもがもらうプレゼントなんて、どんなものでも嬉しいだろうに。
なんであんなに嬉しそうなのかなと思っていたけど、そんな裏事情があったとは。
「では、私はこれからもアレクシスさまにプレゼントを贈るとしましょう。心苦しいのであれば、高価なものは避けましょうか?」
「そういうことではないのですが……。でも、ありがとうございます」
にこりと微笑むその顔は、アレクシスの心からの笑みのように見えた。
アレクシスも顔が整っているので、太陽光が反射して、髪がきらめいている今では、一つの絵画になりそうな笑みだ。私も、反射的に顔を赤くする。
落ち着け、私。目的を忘れるな。アレクシスを、こちら側に引き込まなければならないのだ。
……どうせなら、この誕生日プレゼントを利用してみよう。
「私、いいプレゼントを思いつきました。今度のお茶会でお渡ししますね」
「はい。楽しみにしております」
「では、今から準備に取りかかりたいので、今日のお茶会はここまででいいでしょうか」
「王女殿下がそうなさりたいのでしたら」
アレクシスは、少し寂しそうな顔をした気がする。
私も、アレクシスとのお茶会は結構楽しいと思っているので、早めに切り上げるのは、なんだか寂しい。
それは、婚約者としてというよりかは、三歳から会っているので、幼なじみとしての感覚のほうが強そう。
「では、来月にまた」
「はい。心待ちにしております」
そう微笑む彼に、私もにこりと笑みを返した。
私の婚約者は、私が三歳になったころに決まっていた。完全なる政略結婚だ。私は、それを不満に思ったりはしていない。別に、嫌な奴というわけでもないし、恋人としては悩みどころだけど、夫として過ごすならいいかなぁって感じだ。
なぜいきなり婚約者の話をしたのかというと、今日は婚約者とのお茶会をしなければならないからだ。
そして、私はお母さまを幸せにするプランに、婚約者も巻き込んでしまえ、と思っている。
勘違いされないために説明すると、別に使いっぱしりとか、そんな風にこき使うつもりはない。ただ、王妃派になってもらうだけだ。それだけでも、貴族にとってはかなりのことかもしれないけど。
ちなみに、婚約者の父親は国王派のようだ。だから、息子を引き入れようとしている。まぁ、いきなりこちら側になって!と言ったりはしないけど。
「アレクシスさま、お久しぶりです。今日もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ、茶会に招待いただきありがとうございます、リリー王女殿下」
私の婚約者ーーアレクシスは、家柄も申し分なく、顔もイケメンで、好青年という印象だ。前世だったらアイドルをやってそうな感じ。といっても、私よりも二つ年上なだけなので、まだ七歳なんだけど。
多分、アレクシスは転生者というわけではないはずなのに、ずいぶんと大人びている。私とは大違いだ。
「そういえば、アレクシスさま。もうすぐ誕生日ですよね?何かお贈りしましょうか?」
私は、三歳で婚約者となってからは、一応良好な仲になっておこうと、誕生日プレゼントを贈ったりしていた。
この国では、女性が男性にプレゼントしたりすることがあまりないようで、家族に驚かれたと恥ずかしそうに語っていたのを覚えている。
アレクシスの誕生日は一ヶ月後だ。
「そのお気持ちだけで結構ですよ。王女殿下からいただいてばかりなのは心苦しいですし……」
ちなみに、アレクシスもちゃんと私の誕生日にはプレゼントを贈ってくれるので、私が贈ってばかりということはない。
「でも、私がプレゼントを贈った直後は、やけに嬉しそうな気がしましたが……?」
「そ、それは……殿下のプレゼントですし……」
アレクシスは、頬を赤くして、もじもじとしている。大人びていても、やはりお子さまだ。
「それに、あまり贈り物をいただく機会がありませんでしたので……」
「家族からは祝われないのですか?」
「茶会を開くことはありますが……物をもらうことはありませんね」
この国の親たちは、子煩悩になったら死ぬ呪いでもかかっているのか?まだ幼い子どもがもらうプレゼントなんて、どんなものでも嬉しいだろうに。
なんであんなに嬉しそうなのかなと思っていたけど、そんな裏事情があったとは。
「では、私はこれからもアレクシスさまにプレゼントを贈るとしましょう。心苦しいのであれば、高価なものは避けましょうか?」
「そういうことではないのですが……。でも、ありがとうございます」
にこりと微笑むその顔は、アレクシスの心からの笑みのように見えた。
アレクシスも顔が整っているので、太陽光が反射して、髪がきらめいている今では、一つの絵画になりそうな笑みだ。私も、反射的に顔を赤くする。
落ち着け、私。目的を忘れるな。アレクシスを、こちら側に引き込まなければならないのだ。
……どうせなら、この誕生日プレゼントを利用してみよう。
「私、いいプレゼントを思いつきました。今度のお茶会でお渡ししますね」
「はい。楽しみにしております」
「では、今から準備に取りかかりたいので、今日のお茶会はここまででいいでしょうか」
「王女殿下がそうなさりたいのでしたら」
アレクシスは、少し寂しそうな顔をした気がする。
私も、アレクシスとのお茶会は結構楽しいと思っているので、早めに切り上げるのは、なんだか寂しい。
それは、婚約者としてというよりかは、三歳から会っているので、幼なじみとしての感覚のほうが強そう。
「では、来月にまた」
「はい。心待ちにしております」
そう微笑む彼に、私もにこりと笑みを返した。
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