6 / 19
6 双子の弟妹 1
しおりを挟む
お母さまに報告する前に、私が知っておかなければならないと、私はマリエたちが暮らすエリアにやってきた。
王宮は広いけど、立場によって住むところが違う。
王宮は、大きく四つに分けられる。
太陽宮、月光宮、星輝宮、桜花宮の四つだ。
太陽宮は、国王の住まい。寝泊まりをしたり、国王が政務を行ったりする場所。
月光宮は、王妃であるお母さまや、側妃……つまりは、国王の妻が住むところ。
ここから、階級というものが出てくる。月光宮と言ってはいるけど、それは総称であり、宮が複数ある。それだけ、お城が広いというのもあるんだけど。
月光宮、星輝宮、桜花宮は、さらに細かく分類していくと、四つになる。
上から順番に、白→紫→朱→蒼が冠につく。
お母さまは、王妃のため正室だ。妃の中でも一番身分が高いため、白月光宮に住んでいる。
ここの王家の家紋が白百合なので、この国では、白は高貴な色として扱われるのだ。庶民では、婚姻する時にしか基調とするのは許されないほど。さすがに、白を入れるなは無理だからね。染めるのはお金がかかるから。
星輝宮は、王子、王女が住んでいる宮。
本来なら、私は正室であるお母さまの娘なので、白星輝宮に住むんだけど、お母さまの要望で、白月光宮に住んでいる。まぁ、白星輝宮にも住まいはあるんだけどね。
そして、そのマリエとラファエルは、朱星輝宮になるので、下から二番目だ。その側室の家柄があまり高くなかったのと、もう亡くなっているのが、理由として挙げられる。
桜花宮は、他国からのお客様が泊まる宮なので、王族が立ち入ることはほとんどない。今は誰も住んでいなかったはずだ。
そして、身分が高いほど、国王の住む太陽宮から近くなるので、太陽宮からの距離の順だと、白月光宮→紫月光宮→朱月光宮→蒼月光宮→白星輝宮→紫星輝宮→朱星輝宮→蒼星輝宮……という順になる。
私は、白月光宮から、その長い長い道のりを歩いてきているのだけど、そうなると、私の本来の住まいである白星輝宮を通りすぎることになる。
まったく訪れていないから、家という感覚がないけど、白とつくだけはあり、外装は豪華だ。
歩くこと、およそ一時間。ようやく、朱星輝宮に到着した。ほんと、今にもその場に倒れそうだ。あまり動くことのない五歳の王女さまには、一時間歩くだけでもきつい。
でも、ついてきているサリーとメアリーは、まったく疲れている様子がないのは、さすがといわざるを得ない。
「あの……王女殿下。ここに何か用が?」
「マリエたちに会いに来たの」
私がそう言うと、二人は驚く。それは蔑みとしてではなく、私のことを考えてのことだろう。
まぁ、何の後ろ楯もないか弱い王女と王子には、あまり関わらないほうがいいと考えるのはわかる。
だけど、まだまだ幼い子どもを放っておく選択肢は、私にはない。
「嫌なら、私だけで向かうから、あなたたちはここで待っていてくれてもいいのよ?」
「い、いえ!私どもは、どんな時でも王女殿下にお供いたします!」
メアリーの言葉に、マリーもこくこくと頷く。それが下心があってのことだったとしても、いい従者を持ったものだと思う。
「それじゃあ、行きましょうか」
王宮は広いけど、立場によって住むところが違う。
王宮は、大きく四つに分けられる。
太陽宮、月光宮、星輝宮、桜花宮の四つだ。
太陽宮は、国王の住まい。寝泊まりをしたり、国王が政務を行ったりする場所。
月光宮は、王妃であるお母さまや、側妃……つまりは、国王の妻が住むところ。
ここから、階級というものが出てくる。月光宮と言ってはいるけど、それは総称であり、宮が複数ある。それだけ、お城が広いというのもあるんだけど。
月光宮、星輝宮、桜花宮は、さらに細かく分類していくと、四つになる。
上から順番に、白→紫→朱→蒼が冠につく。
お母さまは、王妃のため正室だ。妃の中でも一番身分が高いため、白月光宮に住んでいる。
ここの王家の家紋が白百合なので、この国では、白は高貴な色として扱われるのだ。庶民では、婚姻する時にしか基調とするのは許されないほど。さすがに、白を入れるなは無理だからね。染めるのはお金がかかるから。
星輝宮は、王子、王女が住んでいる宮。
本来なら、私は正室であるお母さまの娘なので、白星輝宮に住むんだけど、お母さまの要望で、白月光宮に住んでいる。まぁ、白星輝宮にも住まいはあるんだけどね。
そして、そのマリエとラファエルは、朱星輝宮になるので、下から二番目だ。その側室の家柄があまり高くなかったのと、もう亡くなっているのが、理由として挙げられる。
桜花宮は、他国からのお客様が泊まる宮なので、王族が立ち入ることはほとんどない。今は誰も住んでいなかったはずだ。
そして、身分が高いほど、国王の住む太陽宮から近くなるので、太陽宮からの距離の順だと、白月光宮→紫月光宮→朱月光宮→蒼月光宮→白星輝宮→紫星輝宮→朱星輝宮→蒼星輝宮……という順になる。
私は、白月光宮から、その長い長い道のりを歩いてきているのだけど、そうなると、私の本来の住まいである白星輝宮を通りすぎることになる。
まったく訪れていないから、家という感覚がないけど、白とつくだけはあり、外装は豪華だ。
歩くこと、およそ一時間。ようやく、朱星輝宮に到着した。ほんと、今にもその場に倒れそうだ。あまり動くことのない五歳の王女さまには、一時間歩くだけでもきつい。
でも、ついてきているサリーとメアリーは、まったく疲れている様子がないのは、さすがといわざるを得ない。
「あの……王女殿下。ここに何か用が?」
「マリエたちに会いに来たの」
私がそう言うと、二人は驚く。それは蔑みとしてではなく、私のことを考えてのことだろう。
まぁ、何の後ろ楯もないか弱い王女と王子には、あまり関わらないほうがいいと考えるのはわかる。
だけど、まだまだ幼い子どもを放っておく選択肢は、私にはない。
「嫌なら、私だけで向かうから、あなたたちはここで待っていてくれてもいいのよ?」
「い、いえ!私どもは、どんな時でも王女殿下にお供いたします!」
メアリーの言葉に、マリーもこくこくと頷く。それが下心があってのことだったとしても、いい従者を持ったものだと思う。
「それじゃあ、行きましょうか」
46
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
修道院パラダイス
羊
恋愛
伯爵令嬢リディアは、修道院に向かう馬車の中で思いっきり自分をののしった。
『私の馬鹿。昨日までの私って、なんて愚かだったの』
でも、いくら後悔しても無駄なのだ。馬車は監獄の異名を持つシリカ修道院に向かって走っている。そこは一度入ったら、王族でも一年間は出られない、厳しい修道院なのだ。いくら私の父が実力者でも、その決まりを変えることは出来ない。
◇・◇・◇・・・・・・・・・・
優秀だけど突っ走りやすいリディアの、失恋から始まる物語です。重い展開があっても、あまり暗くならないので、気楽に笑いながら読んでください。
なろうでも連載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
政略結婚した旦那様に「貴女を愛することはない」と言われたけど、猫がいるから全然平気
ハルイロ
恋愛
皇帝陛下の命令で、唐突に決まった私の結婚。しかし、それは、幸せとは程遠いものだった。
夫には顧みられず、使用人からも邪険に扱われた私は、与えられた粗末な家に引きこもって泣き暮らしていた。そんな時、出会ったのは、1匹の猫。その猫との出会いが私の運命を変えた。
猫達とより良い暮らしを送るために、夫なんて邪魔なだけ。それに気付いた私は、さっさと婚家を脱出。それから数年、私は、猫と好きなことをして幸せに過ごしていた。
それなのに、なぜか態度を急変させた夫が、私にグイグイ迫ってきた。
「イヤイヤ、私には猫がいればいいので、旦那様は今まで通り不要なんです!」
勘違いで妻を遠ざけていた夫と猫をこよなく愛する妻のちょっとずれた愛溢れるお話
婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。
アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。
もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる