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8 シスコン・ブラコンに目覚めるリリー
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私は、マリエとラファエルを、朱星輝宮から連れ出した。
道中で侍女たちに会ったけど、二人が何かしたのか、私に怯えてばかりで何か言ってくる存在はおらず、障害物となっていた侍女は、どこにもいなくなっていた。
まぁ、知らないほうがいいこともある。知る必要はないだろう。
二人は、外に出たいと言いながらも怖いのか、私の服を掴んで、私の後ろに隠れている。
う~ん……かわいい。シスコンやブラコンの人たちの気持ちがなんとなくわかるかも。
でも、この子達は王子と王女だ。怯える姿を見せるのはよろしくない。どうにかできないものか。
まぁ、それは後にやっておくとしよう。まずは、見た目から変えなければならない。マリエは、私の昔のドレスが残っているかもしれないけど、ラファエルは難しいかなぁ……。服を購入しないと無理か。
どちらにしろ、お母さまにお話ししないといけない。だけど、いきなり会わせるのは、二人の精神上、いいとはいえない。だから、とりあえずは散歩して恐怖心を和らげてから会わせたい。ここにマリーやメアリーがいれば、言伝を頼むんだけど……
「リリー王女殿下!」
噂をすればなんとやら。正面からマリーが走ってくる。
それにしても、マリーとマリエって響きが似てるなぁ。なんか紛らわしい。
ずっと走っていたのか、私のところまで来たときには、息切れをしていた。
「……あっ、気づかずに申し訳ありません。リリー王女殿下の侍女をしております、マリーと申します。よろしくお願いします。マリエ王女殿下、ラファエル王子殿下」
「あう……うん」
「う~……」
いきなり知らない大人が現れたからか、二人は余計に私の後ろへと隠れてしまう。
私があまり警戒されなかったのは、子どもだからというのもあるかもしれないな。あの侍女たちの態度からして、ろくな扱いをされていなかったようだし、“侍女”に怯えるのは無理ないか。
「大丈夫だよ~。マリーは優しいから」
「ほんと……?」
「おこったり……しないの?」
おい!あいつらは、まじで何をやってやがったんだ!!顔面殴るだけじゃ済まさねぇぞ!?
「うん。しないしない」
心の中では使用人たちを罵りながらも、マリエとラファエルには笑みを向けておいた。二人を不安にさせるわけにはいかない。
「リリー王女殿下……。私って、そんなに怖く見えるんですかね……?」
二人の態度と、私との会話で、自分が怯えられたことに気づいたのだろう。わかりやすいくらいに、マリーは落ち込んでいる。
崩れ落ちて、膝を地面につけてしまっている。
「い、いや。二人はいろいろ事情があるだけだよ」
「本当ですか~?」
少し涙目になりながら尋ねてくる。
私は、「本当本当」と頭を撫でて慰めた。
まったく。大人、それもお城に仕える使用人がこれくらいで泣いていたら話にならないのに。
……あっ、でも、私も二人に同じ反応をされたら立ち直れないかも……
どうすれば元に戻ってくれるかと考えていると、マリエとラファエルが私の後ろから顔を出した。
そして、私の真似をするように、マリーの頭を撫でる。いや、本当に真似をしているのかもしれない。
「ほんちょーほんとー」
「ほんとーほんちょー」
言葉まで私の真似をしている。舌足らずだからか、ほんちょーが混じっているけど。なんか、ほんとーやほんちょーという言葉に、アクセントがないから、呪文を唱えているみたいになっているけど、それはそれとしてかわいい。
というか、むしろマリーが羨ましい!!!私も弟と妹になでなでされたいよぉ……!でも、姉としての威厳が崩れてしまうから、お願いはできない……!
このシーン、動画に収めたいくらいだ……。このタイミングで、現代っ子の必需品のスマホが欲しくなるとは……!
「ありがとうございます。マリエ王女殿下、ラファエル王子殿下。もう大丈夫です」
「「うー……?」」
マリーが立ち上がったけど、二人はマリーの言葉を理解できなかったのか、首を傾げている。
「じゃあ、マリーにいくつか頼みたいのだけど」
「あっ、はい。なんなりと」
「マリエとラファエルについて、お母さまに話したいことがあるから、お母さまの侍女を通して取り次いでちょうだい。できるなら早めだと助かるわ。それと、この後、二人と一緒に散歩したいから、侍女を二人ほどここに呼んで」
「かしこまりました」
マリーは、通常通りに対応してくれる。そして、白月光宮のほうへと向かった。
「それじゃあ、侍女が来るまで、ここで待っててね」
「「じじょ……?」」
「そう。さっき会ったお姉さんと同じ侍女」
「おなじ……?」
「よんでも……おこらない?」
二人は、不安そうな顔をする。まぁ、あんな環境で育ったなら当然か。
二人は、侍女の意味はおそらくわかっていないけど、マリーと同じと言われて、同じ服を着た人を想像してるんだろう。
後、あの侍女たちは二人が呼んだだけで怒るのか!?やっぱりあの時すれ違いざまに足を踏んでおくんだった……!
後悔は後だ。まずは、二人を慰めないと。
「大丈夫よ。私の侍女たちはみんな優しいから」
「あい……ねえちゃま」
「ねえちゃま、いうなら……しんじる」
やっぱり、三歳にしては、ちょっと大人びているかも。あんな環境で育ったからなのか、元からなのか。
でも、どっちにしろ、私のかわいい弟妹であることは変わらない。
「それじゃあ、良い子で待ってましょうね」
「「あい」」
二人はこくりと頷いた。
道中で侍女たちに会ったけど、二人が何かしたのか、私に怯えてばかりで何か言ってくる存在はおらず、障害物となっていた侍女は、どこにもいなくなっていた。
まぁ、知らないほうがいいこともある。知る必要はないだろう。
二人は、外に出たいと言いながらも怖いのか、私の服を掴んで、私の後ろに隠れている。
う~ん……かわいい。シスコンやブラコンの人たちの気持ちがなんとなくわかるかも。
でも、この子達は王子と王女だ。怯える姿を見せるのはよろしくない。どうにかできないものか。
まぁ、それは後にやっておくとしよう。まずは、見た目から変えなければならない。マリエは、私の昔のドレスが残っているかもしれないけど、ラファエルは難しいかなぁ……。服を購入しないと無理か。
どちらにしろ、お母さまにお話ししないといけない。だけど、いきなり会わせるのは、二人の精神上、いいとはいえない。だから、とりあえずは散歩して恐怖心を和らげてから会わせたい。ここにマリーやメアリーがいれば、言伝を頼むんだけど……
「リリー王女殿下!」
噂をすればなんとやら。正面からマリーが走ってくる。
それにしても、マリーとマリエって響きが似てるなぁ。なんか紛らわしい。
ずっと走っていたのか、私のところまで来たときには、息切れをしていた。
「……あっ、気づかずに申し訳ありません。リリー王女殿下の侍女をしております、マリーと申します。よろしくお願いします。マリエ王女殿下、ラファエル王子殿下」
「あう……うん」
「う~……」
いきなり知らない大人が現れたからか、二人は余計に私の後ろへと隠れてしまう。
私があまり警戒されなかったのは、子どもだからというのもあるかもしれないな。あの侍女たちの態度からして、ろくな扱いをされていなかったようだし、“侍女”に怯えるのは無理ないか。
「大丈夫だよ~。マリーは優しいから」
「ほんと……?」
「おこったり……しないの?」
おい!あいつらは、まじで何をやってやがったんだ!!顔面殴るだけじゃ済まさねぇぞ!?
「うん。しないしない」
心の中では使用人たちを罵りながらも、マリエとラファエルには笑みを向けておいた。二人を不安にさせるわけにはいかない。
「リリー王女殿下……。私って、そんなに怖く見えるんですかね……?」
二人の態度と、私との会話で、自分が怯えられたことに気づいたのだろう。わかりやすいくらいに、マリーは落ち込んでいる。
崩れ落ちて、膝を地面につけてしまっている。
「い、いや。二人はいろいろ事情があるだけだよ」
「本当ですか~?」
少し涙目になりながら尋ねてくる。
私は、「本当本当」と頭を撫でて慰めた。
まったく。大人、それもお城に仕える使用人がこれくらいで泣いていたら話にならないのに。
……あっ、でも、私も二人に同じ反応をされたら立ち直れないかも……
どうすれば元に戻ってくれるかと考えていると、マリエとラファエルが私の後ろから顔を出した。
そして、私の真似をするように、マリーの頭を撫でる。いや、本当に真似をしているのかもしれない。
「ほんちょーほんとー」
「ほんとーほんちょー」
言葉まで私の真似をしている。舌足らずだからか、ほんちょーが混じっているけど。なんか、ほんとーやほんちょーという言葉に、アクセントがないから、呪文を唱えているみたいになっているけど、それはそれとしてかわいい。
というか、むしろマリーが羨ましい!!!私も弟と妹になでなでされたいよぉ……!でも、姉としての威厳が崩れてしまうから、お願いはできない……!
このシーン、動画に収めたいくらいだ……。このタイミングで、現代っ子の必需品のスマホが欲しくなるとは……!
「ありがとうございます。マリエ王女殿下、ラファエル王子殿下。もう大丈夫です」
「「うー……?」」
マリーが立ち上がったけど、二人はマリーの言葉を理解できなかったのか、首を傾げている。
「じゃあ、マリーにいくつか頼みたいのだけど」
「あっ、はい。なんなりと」
「マリエとラファエルについて、お母さまに話したいことがあるから、お母さまの侍女を通して取り次いでちょうだい。できるなら早めだと助かるわ。それと、この後、二人と一緒に散歩したいから、侍女を二人ほどここに呼んで」
「かしこまりました」
マリーは、通常通りに対応してくれる。そして、白月光宮のほうへと向かった。
「それじゃあ、侍女が来るまで、ここで待っててね」
「「じじょ……?」」
「そう。さっき会ったお姉さんと同じ侍女」
「おなじ……?」
「よんでも……おこらない?」
二人は、不安そうな顔をする。まぁ、あんな環境で育ったなら当然か。
二人は、侍女の意味はおそらくわかっていないけど、マリーと同じと言われて、同じ服を着た人を想像してるんだろう。
後、あの侍女たちは二人が呼んだだけで怒るのか!?やっぱりあの時すれ違いざまに足を踏んでおくんだった……!
後悔は後だ。まずは、二人を慰めないと。
「大丈夫よ。私の侍女たちはみんな優しいから」
「あい……ねえちゃま」
「ねえちゃま、いうなら……しんじる」
やっぱり、三歳にしては、ちょっと大人びているかも。あんな環境で育ったからなのか、元からなのか。
でも、どっちにしろ、私のかわいい弟妹であることは変わらない。
「それじゃあ、良い子で待ってましょうね」
「「あい」」
二人はこくりと頷いた。
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