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第一章 悪役王女になりまして
24. 今のうちに
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「ソル。なんでここにいるんだ?」
「父親の仕事にくっついてきただけさ」
もうエルルーアのことなど眼中にないように、マティアスと会話し始めた。
マティアスは公爵家なのに、なんで普通に話しているんだと思ったが、彩花はすぐに思い出した。
(そういえば、こいつも公爵家だったっけ)
この国には、四つの公爵家がある。それぞれ東西南北に位置している公爵家だ。エルルーアの婚約者であるマティアスのランドルバード家も公爵家。ランドルバードは、南の公爵家だ。
そして、アクレミットは、北の公爵家。
つまり、家格が同じなので、お互いに砕けたように会話している。
二人は、まるでそこに二人しかいないように会話している。それを見たとき、彩花の脳裏にある考えがよぎった。
(今のうちなら抜け出せないか?)
そうと決まればという思いで、なるべく足音を立てないように、でも、不自然じゃないように歩く。
後方を一瞬確認したが、気づいているような様子はなかった。
たとえ、気づかれたとしても、彩花の歩いている方向には、エルルーアの私室があるので、帰ろうとしたでごまかしがきく。
(なんとか抜け出さないと……)
最初はフランキスカに会いに行くのが目的だったが、いつの間にか抜け出すのが目的になっている。
もちろん、今の状況で一人で行動するのが危険だというのは、彩花もよくわかっている。でも、だからこそ、自分がおとりになれば、もう一人くらいは釣れるんじゃないかとも思っている。さすがに、さらにもう一人は難しいだろう。
自分がおとりになっているのかもと思われたら、一人でいても刺客が送られたりなどは減る可能性がある。むしろ、護衛がいるときを狙うかもしれない。護衛の人数がはっきりと確認できるので、襲撃できるかの判断がしやすい。
そんな、自分をおとりに膿を排除するという目的もあるが、一番はアルフォンスに出し抜かれて悔しいからという子供じみたような理由だった。
(アクションやってたし、ここには魔法もあるし、二人までなら私一人でもなんとかなる)
むしろ怖いのは、人目もはばからず、奇襲を仕掛けてきた場合だ。そうなると、周りを巻き込まないように対応しなければならないので、生存率は下がってしまう。周りにも被害が出るかもしれない。
さすがの彩花も、不特定多数の人達に被害を出さずに襲撃者を片づけるのは、アクションをやっていても不可能だ。
(そういえば、エルルーアの体ってチートなのかな?)
思い出されるのは、アルフォンスに軟禁されていたときのこと。自分がアクション子役としての記憶があったからというのもあるが、そんな記憶だけで、あんなに思うように体が動くとは思えなかった。
それで、彩花が立てた仮説は、エルルーアは、魔法だけでなく、素の身体能力も高いのでは?というものだった。
そもそもの身体能力が高いので、自分の思うとおりに体が動いてくれるのかもしれない。それを確かめる手段は一つ。前世の自分にできなかった動きができるかどうかを試すことだ。
彩花は、城壁に触れる。高さが自分の身長の5倍。明らかに6メートル以上はありそうな壁だ。
普通なら、この壁を越えることはできない。この世界には魔法があるので、それを使えば越える手段はいくらでもあるだろうが、それはこの城に張ってある結界が許さない。
この結界は、外からの衝撃から守る役目と、その中にいる人物の反乱などを防ぐ役目もある。
外からの魔法攻撃は通じないし、たとえ王族でも、魔導師の訓練場でしか、城内で魔法は使えない。魔法が存在できないからだ。
それを逆手にとられてもいけないので、魔導師の訓練場は、王族の居住地から一番遠くにある。たとえそこから魔法を発動したとしても、訓練場から外に出れば、魔法は無に帰してしまう。
つまり、この壁を越えるなら、エルルーアの身体能力が頼りになる。
さすがに、いきなり壁を乗り越えるのは不可能なので、彩花は壁から二メートルほど離れている木を登ることにした。
だが、一つの問題がある。騎士達の目だ。
素早く行わなければ、間違いなく抑えられる。王女に対しては少々乱暴かもしれないが、よく癇癪を起こして魔力を暴走させたりもしたエルルーアには、多少手荒くするのが許されている。
さすがに訓練を受けている大人を振り払えるような力は持っていない。
何もされていないのは、エルルーアが何もしていないからだ。さすがに、堂々と歩いているのに、エルルーアに気づかないほど、裏庭にいる騎士達は鈍くない。
(一気に登って、飛び移るしかないかな……)
彩花は、木を見上げる。7~8メートルはありそうだった。結構な大樹だ。落ちたら、骨折は免れないだろう。
そんなことになったら、間違いなく軟禁生活が待っているので、落ちるような真似はしないように注意して、足に魔力を集める。
魔力を放出したりはできないが、魔力を体内で循環させたりは可能だ。だからこそ、エルルーアの魔力も暴走した。そして、地面から出ている根っこに登った。
できるだけ騎士達の死角になる位置に移動して、思い切り蹴りあげる。
バキッという音がして、周りにいる人物がそちらの方を見ると、そこには枝に両腕で掴まって、枝によじ登っているエルルーアがいた。
かなり大きな音だったので、マティアスやソルディアも気づいている。
「えっ!?あの人何してんの!?」
ソルディアはそう言って驚いているだけだったが、マティアスはすぐにエルルーアの方にかけよった。
「やっば……結構太かったのに、完全に割れてるなぁ……強化しすぎたかな?」
彩花が、魔法が使えないというのも忘れて、元に戻した方がいいかもしれないと罪悪感にかられているところに、マティアスが声をかける。
「王女殿下!」
「どうしたの?」
「どうしたのではありません!危険ですから降りてください!」
その言葉は、うわべではなく、本当にエルルーアを心配しているのは、一目でわかった。
彩花はそれに少し驚きながらも、あまり気にすることはせずに、枝の上に立つ。
そして、さらに上に登っていく。そして、壁よりも少し高い位置まで登った。
(こういうときはやっぱり……)
彩花は、子どもっぽい笑みを浮かべながら、軽く息を吐く。
「どうしてあなたはロミオなのっ!」
ゆっくりと話しながら、さっきよりも軽めに、枝を蹴りあげる。
そして、ちょうど城壁の上に着地する。
(やっぱり、エルルーアの身体能力は高いみたいだな)
今は、全盛期の彩花と同じくらいの脚力にはしておいたが、それだけだ。
俊敏さや跳躍力は変わってない。彩花のころなら、手が城壁に届くくらいだった。それが、エルルーアは足から着地できている。
ゲームでは脇役だった悪役王女が、どうして身体能力が高いのかわからないが、別にデメリットはない。
「それじゃあ、お兄さまによろしくお伝えください?」
彩花はニコッと微笑んで、城壁の向こう側に飛び降りた。
(いつからあんなじゃじゃ馬になったんだ……)
軽々と城壁の向こう側に行ってしまったエルルーアに、マティアスは、ため息をつきながら、頭を抱えた。
「父親の仕事にくっついてきただけさ」
もうエルルーアのことなど眼中にないように、マティアスと会話し始めた。
マティアスは公爵家なのに、なんで普通に話しているんだと思ったが、彩花はすぐに思い出した。
(そういえば、こいつも公爵家だったっけ)
この国には、四つの公爵家がある。それぞれ東西南北に位置している公爵家だ。エルルーアの婚約者であるマティアスのランドルバード家も公爵家。ランドルバードは、南の公爵家だ。
そして、アクレミットは、北の公爵家。
つまり、家格が同じなので、お互いに砕けたように会話している。
二人は、まるでそこに二人しかいないように会話している。それを見たとき、彩花の脳裏にある考えがよぎった。
(今のうちなら抜け出せないか?)
そうと決まればという思いで、なるべく足音を立てないように、でも、不自然じゃないように歩く。
後方を一瞬確認したが、気づいているような様子はなかった。
たとえ、気づかれたとしても、彩花の歩いている方向には、エルルーアの私室があるので、帰ろうとしたでごまかしがきく。
(なんとか抜け出さないと……)
最初はフランキスカに会いに行くのが目的だったが、いつの間にか抜け出すのが目的になっている。
もちろん、今の状況で一人で行動するのが危険だというのは、彩花もよくわかっている。でも、だからこそ、自分がおとりになれば、もう一人くらいは釣れるんじゃないかとも思っている。さすがに、さらにもう一人は難しいだろう。
自分がおとりになっているのかもと思われたら、一人でいても刺客が送られたりなどは減る可能性がある。むしろ、護衛がいるときを狙うかもしれない。護衛の人数がはっきりと確認できるので、襲撃できるかの判断がしやすい。
そんな、自分をおとりに膿を排除するという目的もあるが、一番はアルフォンスに出し抜かれて悔しいからという子供じみたような理由だった。
(アクションやってたし、ここには魔法もあるし、二人までなら私一人でもなんとかなる)
むしろ怖いのは、人目もはばからず、奇襲を仕掛けてきた場合だ。そうなると、周りを巻き込まないように対応しなければならないので、生存率は下がってしまう。周りにも被害が出るかもしれない。
さすがの彩花も、不特定多数の人達に被害を出さずに襲撃者を片づけるのは、アクションをやっていても不可能だ。
(そういえば、エルルーアの体ってチートなのかな?)
思い出されるのは、アルフォンスに軟禁されていたときのこと。自分がアクション子役としての記憶があったからというのもあるが、そんな記憶だけで、あんなに思うように体が動くとは思えなかった。
それで、彩花が立てた仮説は、エルルーアは、魔法だけでなく、素の身体能力も高いのでは?というものだった。
そもそもの身体能力が高いので、自分の思うとおりに体が動いてくれるのかもしれない。それを確かめる手段は一つ。前世の自分にできなかった動きができるかどうかを試すことだ。
彩花は、城壁に触れる。高さが自分の身長の5倍。明らかに6メートル以上はありそうな壁だ。
普通なら、この壁を越えることはできない。この世界には魔法があるので、それを使えば越える手段はいくらでもあるだろうが、それはこの城に張ってある結界が許さない。
この結界は、外からの衝撃から守る役目と、その中にいる人物の反乱などを防ぐ役目もある。
外からの魔法攻撃は通じないし、たとえ王族でも、魔導師の訓練場でしか、城内で魔法は使えない。魔法が存在できないからだ。
それを逆手にとられてもいけないので、魔導師の訓練場は、王族の居住地から一番遠くにある。たとえそこから魔法を発動したとしても、訓練場から外に出れば、魔法は無に帰してしまう。
つまり、この壁を越えるなら、エルルーアの身体能力が頼りになる。
さすがに、いきなり壁を乗り越えるのは不可能なので、彩花は壁から二メートルほど離れている木を登ることにした。
だが、一つの問題がある。騎士達の目だ。
素早く行わなければ、間違いなく抑えられる。王女に対しては少々乱暴かもしれないが、よく癇癪を起こして魔力を暴走させたりもしたエルルーアには、多少手荒くするのが許されている。
さすがに訓練を受けている大人を振り払えるような力は持っていない。
何もされていないのは、エルルーアが何もしていないからだ。さすがに、堂々と歩いているのに、エルルーアに気づかないほど、裏庭にいる騎士達は鈍くない。
(一気に登って、飛び移るしかないかな……)
彩花は、木を見上げる。7~8メートルはありそうだった。結構な大樹だ。落ちたら、骨折は免れないだろう。
そんなことになったら、間違いなく軟禁生活が待っているので、落ちるような真似はしないように注意して、足に魔力を集める。
魔力を放出したりはできないが、魔力を体内で循環させたりは可能だ。だからこそ、エルルーアの魔力も暴走した。そして、地面から出ている根っこに登った。
できるだけ騎士達の死角になる位置に移動して、思い切り蹴りあげる。
バキッという音がして、周りにいる人物がそちらの方を見ると、そこには枝に両腕で掴まって、枝によじ登っているエルルーアがいた。
かなり大きな音だったので、マティアスやソルディアも気づいている。
「えっ!?あの人何してんの!?」
ソルディアはそう言って驚いているだけだったが、マティアスはすぐにエルルーアの方にかけよった。
「やっば……結構太かったのに、完全に割れてるなぁ……強化しすぎたかな?」
彩花が、魔法が使えないというのも忘れて、元に戻した方がいいかもしれないと罪悪感にかられているところに、マティアスが声をかける。
「王女殿下!」
「どうしたの?」
「どうしたのではありません!危険ですから降りてください!」
その言葉は、うわべではなく、本当にエルルーアを心配しているのは、一目でわかった。
彩花はそれに少し驚きながらも、あまり気にすることはせずに、枝の上に立つ。
そして、さらに上に登っていく。そして、壁よりも少し高い位置まで登った。
(こういうときはやっぱり……)
彩花は、子どもっぽい笑みを浮かべながら、軽く息を吐く。
「どうしてあなたはロミオなのっ!」
ゆっくりと話しながら、さっきよりも軽めに、枝を蹴りあげる。
そして、ちょうど城壁の上に着地する。
(やっぱり、エルルーアの身体能力は高いみたいだな)
今は、全盛期の彩花と同じくらいの脚力にはしておいたが、それだけだ。
俊敏さや跳躍力は変わってない。彩花のころなら、手が城壁に届くくらいだった。それが、エルルーアは足から着地できている。
ゲームでは脇役だった悪役王女が、どうして身体能力が高いのかわからないが、別にデメリットはない。
「それじゃあ、お兄さまによろしくお伝えください?」
彩花はニコッと微笑んで、城壁の向こう側に飛び降りた。
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