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帰還
70.ヒェカイン
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改めてルガートが話してくれたところによると、エポナペネの湖にある建物はそもそも、ファルファーラの王族のみが立ち入ることを許される場所だったそうだ。行きたがる年ごろは様々らしいが、王族は皆、あの湖に惹きつけられるのだという。そうして自分の精霊と出会い、生涯の絆を結ぶ。
「……エルヴァ様、あの岩をだめにしてはいけなかったのではないですか」
肩にいるエルヴァに尋ねると、構わないのだとしか言ってくれなかった。
キアラのほうも、今さらファルファーラの王族ですと名乗り出るようなことはしたくないし、深掘りするわけにもいかないが。
ユクガの操るテユトに揺られ、ヨラガンに新しく作られたという町を目指す。ヨラガンにはほとんど、人が定住しているようなところはなく、その町が事実上の王都となっている。
「……あれがヒェカインだ」
見えてきたのは、とげとげの壁だった。
町の周りを囲むように高い壁が立てられていて、人や獣が近づくのを阻むためか、先を尖らせた木が地面や壁の一部に据え付けられているせいだ。その周りを、さらに水が取り囲んでいる。町が池の中に立っているのだろうか。その池を渡るために大きな橋があり、橋を渡った先に門のような出入り口が作られている。傍にはその門と一体化したような建物があって、橋を渡る人がその近くに集まって並んでいるから、町に入るには建物に立ち寄らなければいけないのかもしれない。
「まるで砦のようですね」
「……もとは砦だった」
戦に備えて、障壁と堀を備えた砦を作ったのだそうだ。そこに商売の芽を見つけたのか、商人が集まってきてユルトを立てて店を始めてしまった。戦になれば勝手に逃げ出すだろうとはいえ、そのままにしておくともしもの際に巻き込まれるかもしれない。そこで初めのものより広めの土地を区切って、新たに障壁と堀を作ったところ、小さな集落や家族単位の一団が庇護を求めてやってきてしまった。
こうなったら仕方ない、ということで、道を整備したりユルトや建物の区画を整えたりして、対外的にも使える都としたのだそうだ。
なお、ヒェカインというのはククィツァの氏族の名ではあるが、ククィツァが率いていた集落の名前でもある。
町に入る行列に並ぶのか、ユクガが橋のほうへテユトを進める。
途端に、人が集まってきた。
「ユクガ様!」
「将軍様!」
びっくりして固まったキアラの体に、ユクガの腕がそっと回ってくる。手を伸ばして触ってくるような人はさすがにいないが、知らない人に迫られるのは、キアラはあまり得意ではない。
「すまないが、ククィツァに報告がある。通してくれないか」
ユクガが急いでいるなら、キアラたちはここで別れて、一人で先に行ってもらったほうがいいのかもしれない。
「ユクガ様」
そう思って振り返ろうとしたキアラより先に、声をかけてくる人がいた。
「タキウェ」
「お待ちしておりました。お連れ様はお一人ですか」
「いや、俺の前にいるのがキアラ、後ろの三人がルガート、ラグノース、リンドベル。四人だ」
タキウェは門番という、町の出入り口にある門を守り、ついでに町に出入りする人を検める役目なのだそうだ。それぞれの門に門番がいるのだが、ククィツァが帰ってきたあと、ユクガが遅れて戻ってくるので優先的に町へ入れるようにという知らせが出ていたらしい。
おかげであっさりと町に入ることができて、キアラはテユトの上から身を乗り出した。
「……キアラ」
すぐユクガの体に引き寄せられることになったが。
「ユクガ様、人がたくさんいらっしゃいます」
「……そうだな」
キアラの知っている人が多いところというと、いつか連れていってもらった市くらいなのだが、あそこよりもなお人が多い。
通りの左右にいろいろな建物や店が並んでいる。机に品物を並べて日よけを立てているだけの店で、立ち止まってながめている人、建物に入っていく人、どこかへ向かって急いでいる人。馬が二頭並んで通っても余裕があるほど、今通っている道は横幅が広い。
「こりゃ活気がありますね」
ラグノースの声も楽しそうだ。今はユクガの用事があるからいけないだろうが、キアラも町を歩いてみたかった。きょろきょろと見回す度に、ユクガの手になだめられる。
「……あまり、黒髪の人間を気にされない方が多いですね」
リンドベルは別のことが気になっていたのか、誰に聞かせるわけでもなさそうな声でつぶやいた。はっとしたものの、テユトの上にいては、キアラはリンドベルを振り返ることができない。
「己に悪事を働かれたわけではないからな」
ヨラガンは風の精霊の加護があつい国で、緑の髪の人が多い。
しかし皆がきっちり集まって暮らしているわけでもなく、基本は遊牧だ。近くの国々と独自に交流を持つ集落もある。集落の一員として迎え入れるのでなければ、相手の容姿にこだわる性質は薄い、らしい。
「……キアラ、露店が気になるのはわかったから、いい子にしてくれ。テユトが戸惑っている」
「も、申し訳ありません」
なんとか馬上から品物が見えないか、もぞもぞと動いてしまっていたのだが、ここまで辛抱強くキアラを乗せてきてくれたテユトを困らせてはいけない。
謝罪代わりにそっとテユトを撫でると、ぶるるると荒く鼻を鳴らし、ぐっと首をもたげて歩き始めた。
「……こいつ……」
大丈夫だろうか。
少々心配になりつつ、テユトが元気よく進んでくれるまま、砦だった場所、今は王城ということになっている建物に近づいていく。
こちらも町の周りにあるものよりは小さな壁と堀に囲まれているが、壁はとげとげしていない。もとはついていたそうなのだが、周囲に町ができるにあたって取り外したそうだ。カガルトゥラードやヴァルヴェキアと違って、建物も木でできている。
王城の傍でテユトを下りて、キアラたちが近づいていくとすぐに人が出てきた。外の門と同じで、橋ごとに門番がいるらしい。
「お帰りなさいませ、ユクガ殿!」
「ダイラガ」
「陛下への先触れは出してあります」
「助かる」
また別の人が出てきて、馬たちの手綱を受け取って歩いていく。馬番という人だそうだ。
「キアラ」
人がたくさんいて少し気圧されていたら、ユクガが手を差し出してくれた。ほっとしてユクガと手を繋ぐと、穏やかに微笑んでくれる。
「まずはククィツァに報告せねばならん。そのあともククィツァの話次第だ」
「はい、ユクガ様」
キアラはユクガと手をつないで、ルガートたちはその後ろについて歩く。その間に出会う人々と、軽く挨拶をしたり少し話したり、ユクガはたくさんの人に知られているようだ。
「……皆の名を覚えていらっしゃるのですか」
壁も床も木で作られていて、廊下は明かり取りの窓とランプで照らされている。途中にある部屋の入口は、扉がついていたり、ついていなかったり、布や皮だけで仕切られていたりと様々だ。
建物の作りが気になっていたキアラと違って、ユクガの様子を見ていたらしいルガートが、どこか慎重な声で尋ねる。
「全員ではないが……この国で兵士として働いているなら、すべて俺の部下だ。覚えているほうがいいだろう」
「……なるほど」
何か納得したらしい。ルガートのほうを振り返りつつ歩いているキアラの横を、誰かが通り過ぎて、戻ってくる。
「キアラ?」
キアラの名前を知っているということは、あの集落にいた人だろうか。ぱっと振り返って、少し悩んで、無事思い出せたので近づいていく。
「ジュアン様!」
「やっぱりキアラか!」
両手で荷物を抱えているけれど、少し屈んでキアラに目線を合わせてくれる。キアラがカガルトゥラードに行く前もずっと、ジュアンは親切だった。
嬉しくなってぎゅっと一度抱きつくと、ジュアンも笑ってくれたのだが、キアラの後ろを見て困ったような表情に変わる。
「キアラ、他の人をぎゅってするのはやめておこうか。ユクガ殿がやきもち焼くみたいだから」
ジュアンの言葉に振り返ってみるものの、キアラには、ユクガはいつも通りに見える。ただ、ユクガのもとに戻ると軽々抱き上げられて、離してもらえない気配だ。
「ユクガ様、どうなさいましたか」
抱っこされるのは構わないけれど、ユクガも疲れているのではないだろうか。ユクガからの返事はないが、頬に唇が触れてきて、少し恥ずかしくて抱きつく。
「……ジュアン、ククィツァは」
「いつもの部屋にいらっしゃいますよ。そのまま報告会代わりになるかと思います」
「わかった、ありがとう」
そのままユクガが歩き出してしまった。言ってもらえれば、きちんとユクガの傍で大人しくしているのだが、やきもちというものを焼くと、抱き上げておきたくなるのだろうか。
拒む理由もないのでユクガに抱かれたまま、あちこちに視線を向けて建物の中を眺める。キアラもいろいろな人に見られている気配がするが、必要なときにはユクガも下ろしてくれるだろう。
そう思っていたので、まさかククィツァへの報告のときも、抱っこのままだとは思わなかった。
「……エルヴァ様、あの岩をだめにしてはいけなかったのではないですか」
肩にいるエルヴァに尋ねると、構わないのだとしか言ってくれなかった。
キアラのほうも、今さらファルファーラの王族ですと名乗り出るようなことはしたくないし、深掘りするわけにもいかないが。
ユクガの操るテユトに揺られ、ヨラガンに新しく作られたという町を目指す。ヨラガンにはほとんど、人が定住しているようなところはなく、その町が事実上の王都となっている。
「……あれがヒェカインだ」
見えてきたのは、とげとげの壁だった。
町の周りを囲むように高い壁が立てられていて、人や獣が近づくのを阻むためか、先を尖らせた木が地面や壁の一部に据え付けられているせいだ。その周りを、さらに水が取り囲んでいる。町が池の中に立っているのだろうか。その池を渡るために大きな橋があり、橋を渡った先に門のような出入り口が作られている。傍にはその門と一体化したような建物があって、橋を渡る人がその近くに集まって並んでいるから、町に入るには建物に立ち寄らなければいけないのかもしれない。
「まるで砦のようですね」
「……もとは砦だった」
戦に備えて、障壁と堀を備えた砦を作ったのだそうだ。そこに商売の芽を見つけたのか、商人が集まってきてユルトを立てて店を始めてしまった。戦になれば勝手に逃げ出すだろうとはいえ、そのままにしておくともしもの際に巻き込まれるかもしれない。そこで初めのものより広めの土地を区切って、新たに障壁と堀を作ったところ、小さな集落や家族単位の一団が庇護を求めてやってきてしまった。
こうなったら仕方ない、ということで、道を整備したりユルトや建物の区画を整えたりして、対外的にも使える都としたのだそうだ。
なお、ヒェカインというのはククィツァの氏族の名ではあるが、ククィツァが率いていた集落の名前でもある。
町に入る行列に並ぶのか、ユクガが橋のほうへテユトを進める。
途端に、人が集まってきた。
「ユクガ様!」
「将軍様!」
びっくりして固まったキアラの体に、ユクガの腕がそっと回ってくる。手を伸ばして触ってくるような人はさすがにいないが、知らない人に迫られるのは、キアラはあまり得意ではない。
「すまないが、ククィツァに報告がある。通してくれないか」
ユクガが急いでいるなら、キアラたちはここで別れて、一人で先に行ってもらったほうがいいのかもしれない。
「ユクガ様」
そう思って振り返ろうとしたキアラより先に、声をかけてくる人がいた。
「タキウェ」
「お待ちしておりました。お連れ様はお一人ですか」
「いや、俺の前にいるのがキアラ、後ろの三人がルガート、ラグノース、リンドベル。四人だ」
タキウェは門番という、町の出入り口にある門を守り、ついでに町に出入りする人を検める役目なのだそうだ。それぞれの門に門番がいるのだが、ククィツァが帰ってきたあと、ユクガが遅れて戻ってくるので優先的に町へ入れるようにという知らせが出ていたらしい。
おかげであっさりと町に入ることができて、キアラはテユトの上から身を乗り出した。
「……キアラ」
すぐユクガの体に引き寄せられることになったが。
「ユクガ様、人がたくさんいらっしゃいます」
「……そうだな」
キアラの知っている人が多いところというと、いつか連れていってもらった市くらいなのだが、あそこよりもなお人が多い。
通りの左右にいろいろな建物や店が並んでいる。机に品物を並べて日よけを立てているだけの店で、立ち止まってながめている人、建物に入っていく人、どこかへ向かって急いでいる人。馬が二頭並んで通っても余裕があるほど、今通っている道は横幅が広い。
「こりゃ活気がありますね」
ラグノースの声も楽しそうだ。今はユクガの用事があるからいけないだろうが、キアラも町を歩いてみたかった。きょろきょろと見回す度に、ユクガの手になだめられる。
「……あまり、黒髪の人間を気にされない方が多いですね」
リンドベルは別のことが気になっていたのか、誰に聞かせるわけでもなさそうな声でつぶやいた。はっとしたものの、テユトの上にいては、キアラはリンドベルを振り返ることができない。
「己に悪事を働かれたわけではないからな」
ヨラガンは風の精霊の加護があつい国で、緑の髪の人が多い。
しかし皆がきっちり集まって暮らしているわけでもなく、基本は遊牧だ。近くの国々と独自に交流を持つ集落もある。集落の一員として迎え入れるのでなければ、相手の容姿にこだわる性質は薄い、らしい。
「……キアラ、露店が気になるのはわかったから、いい子にしてくれ。テユトが戸惑っている」
「も、申し訳ありません」
なんとか馬上から品物が見えないか、もぞもぞと動いてしまっていたのだが、ここまで辛抱強くキアラを乗せてきてくれたテユトを困らせてはいけない。
謝罪代わりにそっとテユトを撫でると、ぶるるると荒く鼻を鳴らし、ぐっと首をもたげて歩き始めた。
「……こいつ……」
大丈夫だろうか。
少々心配になりつつ、テユトが元気よく進んでくれるまま、砦だった場所、今は王城ということになっている建物に近づいていく。
こちらも町の周りにあるものよりは小さな壁と堀に囲まれているが、壁はとげとげしていない。もとはついていたそうなのだが、周囲に町ができるにあたって取り外したそうだ。カガルトゥラードやヴァルヴェキアと違って、建物も木でできている。
王城の傍でテユトを下りて、キアラたちが近づいていくとすぐに人が出てきた。外の門と同じで、橋ごとに門番がいるらしい。
「お帰りなさいませ、ユクガ殿!」
「ダイラガ」
「陛下への先触れは出してあります」
「助かる」
また別の人が出てきて、馬たちの手綱を受け取って歩いていく。馬番という人だそうだ。
「キアラ」
人がたくさんいて少し気圧されていたら、ユクガが手を差し出してくれた。ほっとしてユクガと手を繋ぐと、穏やかに微笑んでくれる。
「まずはククィツァに報告せねばならん。そのあともククィツァの話次第だ」
「はい、ユクガ様」
キアラはユクガと手をつないで、ルガートたちはその後ろについて歩く。その間に出会う人々と、軽く挨拶をしたり少し話したり、ユクガはたくさんの人に知られているようだ。
「……皆の名を覚えていらっしゃるのですか」
壁も床も木で作られていて、廊下は明かり取りの窓とランプで照らされている。途中にある部屋の入口は、扉がついていたり、ついていなかったり、布や皮だけで仕切られていたりと様々だ。
建物の作りが気になっていたキアラと違って、ユクガの様子を見ていたらしいルガートが、どこか慎重な声で尋ねる。
「全員ではないが……この国で兵士として働いているなら、すべて俺の部下だ。覚えているほうがいいだろう」
「……なるほど」
何か納得したらしい。ルガートのほうを振り返りつつ歩いているキアラの横を、誰かが通り過ぎて、戻ってくる。
「キアラ?」
キアラの名前を知っているということは、あの集落にいた人だろうか。ぱっと振り返って、少し悩んで、無事思い出せたので近づいていく。
「ジュアン様!」
「やっぱりキアラか!」
両手で荷物を抱えているけれど、少し屈んでキアラに目線を合わせてくれる。キアラがカガルトゥラードに行く前もずっと、ジュアンは親切だった。
嬉しくなってぎゅっと一度抱きつくと、ジュアンも笑ってくれたのだが、キアラの後ろを見て困ったような表情に変わる。
「キアラ、他の人をぎゅってするのはやめておこうか。ユクガ殿がやきもち焼くみたいだから」
ジュアンの言葉に振り返ってみるものの、キアラには、ユクガはいつも通りに見える。ただ、ユクガのもとに戻ると軽々抱き上げられて、離してもらえない気配だ。
「ユクガ様、どうなさいましたか」
抱っこされるのは構わないけれど、ユクガも疲れているのではないだろうか。ユクガからの返事はないが、頬に唇が触れてきて、少し恥ずかしくて抱きつく。
「……ジュアン、ククィツァは」
「いつもの部屋にいらっしゃいますよ。そのまま報告会代わりになるかと思います」
「わかった、ありがとう」
そのままユクガが歩き出してしまった。言ってもらえれば、きちんとユクガの傍で大人しくしているのだが、やきもちというものを焼くと、抱き上げておきたくなるのだろうか。
拒む理由もないのでユクガに抱かれたまま、あちこちに視線を向けて建物の中を眺める。キアラもいろいろな人に見られている気配がするが、必要なときにはユクガも下ろしてくれるだろう。
そう思っていたので、まさかククィツァへの報告のときも、抱っこのままだとは思わなかった。
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