俺の知らなかった世界

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5年生との関係

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禁じられていた1ヶ月が過ぎ いよいよ明日学校へ行く日となった


「若・・・ 良く辛抱なさいましたね」


「いや俺は何も・・・ お前に迷惑をかけただけだ もう二度はねぇ~から・・・」


「若・・・ いえあっしは楽しかったですよ 若と毎日を共に過ごす事が出来て・・・」


「ありがとうな・・・」


「若・・・ あっしの方こそ・・・ あっそうだ若 真彦さんへ電話をかけてみては?」


そう言って世話係は笑って俺にスマートフォンを向けていた


「えっ いいよ別に・・・」


「若・・・」


世話係は俺の手を取った


俺がスマートフォンを持つと真彦の声が聞こえて来た


「もしもし龍でしょう?」


「えっ真彦 あぁ~俺だ・・・」


俺は世話係の顔を見た


世話係は笑ってうなづいていた


「龍・・・ 龍の声だ 長いよ龍いつまで待たせるんだよ・・・」


「悪い・・・ 悪かった」


「でもいいよ 明日は学校に来れるんだね」


「あぁ~行く」


「俺 学校の門の前で龍を待ってる」


「別にいいよ 待ってなくても・・・」


「いや待ってる 一緒に学校へ行こう・・・」



(何だよ真彦のヤツ・・・)



「わかった じゃ~明日な・・・」


「龍・・・ 明日はいっぱい遊ぼう おやすみ」


「あぁ~ おやすみ」



(真彦のヤツ・・・)



俺はスマートフォンを離した


「若・・・ 良かったですね」


世話係は優しい顔で笑っていた





俺は久しぶりの学校に少しドキドキしていた


「龍 渚は先に行くよ」


そう言って渚は俺の部屋を覗き込み走って行った


渚が1年生の時は俺の後ろを歩き登校していたものの


今では俺よりも早く家を出て学校へ行く


俺も玄関へと急いだ


「若・・・ 忘れ物は無いですか?」


世話係が玄関へとやって来た


「あぁ~ 行って来る」


「いってらっしゃいませ」


世話係はそう言って俺に頭を下げていた





ランドセルを背負った子供達が学校に向かって歩いていた



(この景色も久しぶりだ・・・)



学校に近づくと遠くから真彦が大きく手を振っていた



(恥ずかしいだろうが・・・)



俺は恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちとが混ざり合い駆け出していた


すると真彦も俺に向かって走り出していた


もう少しのところでぶつかりそうになり2人で笑っていた


「危なかった・・・」


「ホントだよ 真彦まで走って来る事ねぇ~だろう・・・」


「だって龍が走って来るから・・・」


「何だよそれ・・・」


俺と真彦は笑っていた


周りで見ていた子供達も 俺と真彦を見ながら学校へと進みはじめた


「あれからクラスの友達は大丈夫だったか?」


「俺次の日学校休んだんだ」


「そうだったのか?」


「龍が学校に来なくてつまらなかった だけど今日からはまたおもしろくなる・・・」


真彦は嬉しそうに笑ってそう言った


学校へと入って靴箱へ


「なぁ~真彦」


「何?」


「あの5年生は?」


「あぁ~ 何度か教室に来たよ だけど龍の姿が見えないのと 友達が先生に言ってくれたみたいでね 5年生も諦めたみたい 先生も何かあったらすぐに言って下さいって・・・」


「そうか・・・ でも今日から俺が登校して来てどう出るかなぁ~?」


「それなら大丈夫・・・ クラスのみんなが見てるから・・・」


「クラスのみんな?」


俺と真彦が教室に入るとクラスのみんなが一斉に俺達の方へ


俺と真彦はクラスのみんなに囲まれた



(何だよこれは・・・)



「藤堂君やっと来た・・・」


「藤堂君が学校休んでたから 班の仕事大変だったんだからね・・・」


「あぁ~悪かった」


「藤堂君学校休んでなにやってたの?」


俺と真彦はみんなに囲まれながら席に着いた


チャイムが鳴り先生が教室へと入って来た


「やっと全員揃いましたね」


先生はそう言って俺を見ていた





休み時間も俺はクラスのみんなに囲まれていた



(もう勘弁してくれよ・・・)



真彦もみんなに囲まれた俺を見て笑っていた


「あっそうだ藤堂君あの5年生だけど・・・」


女の子が話始めた


「凄く藤堂君の事を探してたんだよ でも大丈夫だよみんなが居るから 先生とも話をしたんだよだから大丈夫」


俺は真彦に視線を向けた


真彦は俺にうなづいていた



(どういう事なんだよいったい・・・)



俺はクラスのみんなに転校生の様な扱いを受けていた





学校から下校をし俺は久しぶりに龍の家へと向かっていた



(本当に久しぶりだなぁ~ 龍の家・・・)



俺は久しぶりに龍の家の大きな門をくぐった


怖そうな男の人を見るのも久しぶりだった


「あっ 真彦さんお久しぶりです」


俺が玄関に近づくと龍の世話係が顔を見せた


俺は軽く頭を下げた


「真彦さんいらっしゃいやし そしてありがとうございやす」


「えっ何が?」


「変わらず若と一緒に居てくれて あっしは本当に嬉しいです」


「俺思ったんだ 龍と遊べないとかさぁ~ 龍の居なかった学校はつまらなかったよ・・・」


「そうでしたか・・・ そう言っていただけるだけであっしは嬉しいです 真彦さんこれからも若をよろしくお願いいたしやす」


龍の世話係はそう言って俺に深々と頭を下げた


俺はどうしたらいいのかわからず


「じゃ~俺龍の部屋行くから・・・」


俺は逃げる様に駆け出していた



(もう そんな事言われなくたって俺は・・・)



俺は龍の部屋を久しぶりに開けた


龍は机の上で宿題を広げていた


「真彦来たな・・・」


そう言って龍は宿題を閉じていた


「ねぇ~龍」


「ううん?」


「学校を休んでいる間 何してたの?」


「何って・・・ 真彦と一緒だ ちゃんと勉強してたんだぞ・・・」


「えっ 自分で?」


「いや 世話係が教えてくれてた」


「そうだったの?」


「あぁ~ 意外とそれが楽しかったんだ・・・ 教え方もうまかったしなぁ~」


「そうなんだ・・・」


俺は関心していた



(世話係さんは何でも出来る人なんだなぁ~)



「ところで真彦 あの5年生なんだけど・・・」


「あっうん 俺は次の日学校を休んだって言ったよなぁ~」


「うん 聞いた」


「どうやらその日に5年生が3年生の教室を覗きに来たらしくてさぁ~ その5年生は俺と龍を探していたらしいんだ・・・」


「仕返しか?」


「多分ねぇ~ それでうちのクラスの友達が先生に話をしたらしい・・・ みんなも怖かったんだろうね 今は5年生が3年生の教室に来る事は禁止になった だけど休み時間はどうしてもその5年生と顔を合わせる事があるでしょう だから龍の傍には誰かが一緒に居る事になった まぁ~今まで通り俺なんだけどさぁ~」


俺は龍の顔を見て笑ってそう言った


「何か悪かったなぁ~」


「龍は悪くないだろう・・・ クラスのみんなもそう言ってた なのに何で龍が学校をお休みするのか? 何で龍が謝るの? 龍は被害者なのにまるで龍が悪いみたいに・・・ だって絶対にあの5年生が悪いんだよ・・・」


「真彦もういいよ ありがとう・・・ もう済んだ事だ・・・」


俺は真彦がムキになって話をしている事が嬉しかった





運動会やその他の行事の際は あの5年生と接触しない配慮がされていた


学年が一つ上がり 俺達は4年生になり あの5年生も最上級生となった


4年生になると委員会が始まり 上級生と一緒に行動しなければならなかった


委員会は6年生が優先され 俺と真彦は人気のなさそうな美化委員になった


美化委員の6年生は女の子でそれもたった1人の女子


5年生が2人と俺と真彦 人気のなさがうかがえる美化委員だった


美化委員の仕事は簡単なもので 校内の危なそうな物壊れそうな物を探す


より良い学校にするにはどうすればいいかの話合い


俺と真彦はただその6年生にうなづく 簡単な美化委員だった





何事もなく あの6年生が小学生を卒業してくれればと 俺と龍は願っていた


けれども6年生はそうは思っていなかったらしく


あの6年生の最後の運動会で事件はおこった 


俺はあろう事か目を離したすきに 龍を見失ってしまっていた



(つづく)


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