1 / 2
時計が止まった男
しおりを挟む
ふと時計を見ると針が動いていなかった。
「故障か?」
いつもの通勤途中、半ば癖になっている腕時計を細かく見る時、いつも同じ時間を指しているはずだ。なのに少し早い。だが、
「いや、気にする必要はないな。周りの人間も昨日と同じ動きをしている。つまり遅刻は無いってことだ」
私の心は通常通り、行動、ともに完璧だ。依然狂いはない。
だがやはりではあるが私以外の人間はただ止まった時計ですらおかしな目で見るのだ。
「純一さんって、腕時計が壊れていることに気づいていないのかしら」
耳に入ってしまった、仕事の話しかしたことのない性悪な人間ども。分からないのか? 例え時計の針が止まったのだとしてもそれは腕時計の話、ただ時計を見るだけなら別の時計を見ればいい。お前たちは時間に行動を支配されているのだということに気づけない愚か者どもなのだ。
予想通り、私の噂話をしていたやつらは私に教えることもなくまた別の人間の元へと行った。それを私に教えるという優しさはなく、ただただ安全圏からいやらしく攻撃することしか能が無いのだ。私はそんなことはしない。言葉よりも行動なのだ。
「純一君。君は今日は帰りなさい」
なんだと!?
上司からの一言。私はあっけにとられた。
「……理由はなんですか?」
「まわりの人たちから聞いたよ。体調が悪そうだとね、私個人も君に残業を頼みすぎたと思っている。毎晩遅くまで君一人で仕事をしているのは皆知っている。君からしてみれば少々頼りないかもしれないが私たちは君のことが心配なんだ。ただそれだけだ」
私が体調不良だと、そんなことはありえない! 全て完璧だったはずだ。
「あとその腕時計、ついでに直してきたらどうだ? 壊れたものをそのまま身に着けるのはやはり周りの人間にとって恐怖なんだよ」
結局定時で帰った。腕時計はもう身に着けていない。私は誰にも感謝はしない。
「だが時計は確認するがね」
純一は携帯で時間を確認する。これならいつ壊れても私はわかるはずだ。私は完璧なのだから。
「故障か?」
いつもの通勤途中、半ば癖になっている腕時計を細かく見る時、いつも同じ時間を指しているはずだ。なのに少し早い。だが、
「いや、気にする必要はないな。周りの人間も昨日と同じ動きをしている。つまり遅刻は無いってことだ」
私の心は通常通り、行動、ともに完璧だ。依然狂いはない。
だがやはりではあるが私以外の人間はただ止まった時計ですらおかしな目で見るのだ。
「純一さんって、腕時計が壊れていることに気づいていないのかしら」
耳に入ってしまった、仕事の話しかしたことのない性悪な人間ども。分からないのか? 例え時計の針が止まったのだとしてもそれは腕時計の話、ただ時計を見るだけなら別の時計を見ればいい。お前たちは時間に行動を支配されているのだということに気づけない愚か者どもなのだ。
予想通り、私の噂話をしていたやつらは私に教えることもなくまた別の人間の元へと行った。それを私に教えるという優しさはなく、ただただ安全圏からいやらしく攻撃することしか能が無いのだ。私はそんなことはしない。言葉よりも行動なのだ。
「純一君。君は今日は帰りなさい」
なんだと!?
上司からの一言。私はあっけにとられた。
「……理由はなんですか?」
「まわりの人たちから聞いたよ。体調が悪そうだとね、私個人も君に残業を頼みすぎたと思っている。毎晩遅くまで君一人で仕事をしているのは皆知っている。君からしてみれば少々頼りないかもしれないが私たちは君のことが心配なんだ。ただそれだけだ」
私が体調不良だと、そんなことはありえない! 全て完璧だったはずだ。
「あとその腕時計、ついでに直してきたらどうだ? 壊れたものをそのまま身に着けるのはやはり周りの人間にとって恐怖なんだよ」
結局定時で帰った。腕時計はもう身に着けていない。私は誰にも感謝はしない。
「だが時計は確認するがね」
純一は携帯で時間を確認する。これならいつ壊れても私はわかるはずだ。私は完璧なのだから。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる