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あの日の伝わらない言葉
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「思ったよりも奇麗かな?」
箱の中はガラクタでいっぱいだ。だが一番最初に目に入ったのは、古臭く、汚れてしまった手紙は私宛に出されるはずの手紙だった。封筒の真ん中に、けれども小さく私の名前『ユリアへ』と、ただそれだけかいてあった。
「切手は貼られていないんだね。出す前だったのかな」
ええと、この人は……と、胸元についている『サラ』と書いてある名札を盗み見て彼女の短い金髪を見ながら手紙にも目を向ける。
「中身は……うん、私が勝手に見るのはダメかな。というわけで貴方が見て!」
「……わ、わかった」
差出人は不明、ハッキリとわかるのはこれは私に出された手紙ということだ。でも誰からだろうか、心当たりがあるような人物なんて思い当たらない。というか転校ばっかしてたし、私には文通をしたことがない。それに手紙なんてとても時代遅れだと思う。今だったらスマホを使ってすぐにメッセージが届く、だからこそもっとわからない。
私は封筒を開け、中のボロボロになっている紙を取り出してみる。
『しんあいなるともだちへ』
辛うじて読めたのはただその一言だった。他にも何か書いてあっただろう続きは全く言葉になっていない。それに私が読めない言語で書かれているものだから結局のところ読めない。外国語を勉強していなかったら最初の一言すら読めない。
「わかんない。これがもし私にあてた手紙でも、思い当たりそうな人はいないかな。それに文字がほとんど読めない。これじゃあなにが言いたいのか分からないや」
「……本当に誰のものかわからないの?」
「うん」
「ここはどんな場所だったかはもう忘れたの?」
サラの表情は笑ってはいない、でも朗らかではある。
ここは火事で無くなってしまった家だ。辺りは平地で全焼したものの他には被害はない。
「ここはね私の妹の家。あんたはここに何度も遊びに来たんだよ。……ほんとに小さかった頃の話だけどね。妹と仲良かったの、あんたぐらいだから。でも、ようやくわかったでしょ、記憶喪失になってしまったこと」
私が記憶喪失? 突然すぎる……でもそんな感じはしない。でもサラが嘘つきとは思えない。
「あなた、これがどんな言語で書かれているかわかる?」
「わからない」
「本当にそうなの? そこに入っているものはどんな思い出が詰まっていたか覚えている?」
……正直何も覚えていないのが私の気持ち。けどサラがここまで言っているのだから何かあると思う。
「でも、涙は出ているのね。記憶はなくても心は覚えているみたいね」
頬に触れ、涙を確認する。いつの間にか流れ出ていたみたいだけど、わからなかった。
「サラ、でも名前も思い出せないよ。あなたは覚えているのだろうけど私には過去に何があったかわからないし、今更新しい言語を覚えるなんて無理だよ」
「そう言って……、あんたはまだ手紙から目を離していないでしょ。ずっと読もうとしている。諦めるなんて後でもいいと思うけど」
そっか、そうだよね。たぶん大切な思い出、大切な人だからこそ思い出さないといけないんだ。
微笑み、
「懐かしいものがたくさんある。いつかそう言えれば、いいかな」
箱を見つめながら言った。
箱の中はガラクタでいっぱいだ。だが一番最初に目に入ったのは、古臭く、汚れてしまった手紙は私宛に出されるはずの手紙だった。封筒の真ん中に、けれども小さく私の名前『ユリアへ』と、ただそれだけかいてあった。
「切手は貼られていないんだね。出す前だったのかな」
ええと、この人は……と、胸元についている『サラ』と書いてある名札を盗み見て彼女の短い金髪を見ながら手紙にも目を向ける。
「中身は……うん、私が勝手に見るのはダメかな。というわけで貴方が見て!」
「……わ、わかった」
差出人は不明、ハッキリとわかるのはこれは私に出された手紙ということだ。でも誰からだろうか、心当たりがあるような人物なんて思い当たらない。というか転校ばっかしてたし、私には文通をしたことがない。それに手紙なんてとても時代遅れだと思う。今だったらスマホを使ってすぐにメッセージが届く、だからこそもっとわからない。
私は封筒を開け、中のボロボロになっている紙を取り出してみる。
『しんあいなるともだちへ』
辛うじて読めたのはただその一言だった。他にも何か書いてあっただろう続きは全く言葉になっていない。それに私が読めない言語で書かれているものだから結局のところ読めない。外国語を勉強していなかったら最初の一言すら読めない。
「わかんない。これがもし私にあてた手紙でも、思い当たりそうな人はいないかな。それに文字がほとんど読めない。これじゃあなにが言いたいのか分からないや」
「……本当に誰のものかわからないの?」
「うん」
「ここはどんな場所だったかはもう忘れたの?」
サラの表情は笑ってはいない、でも朗らかではある。
ここは火事で無くなってしまった家だ。辺りは平地で全焼したものの他には被害はない。
「ここはね私の妹の家。あんたはここに何度も遊びに来たんだよ。……ほんとに小さかった頃の話だけどね。妹と仲良かったの、あんたぐらいだから。でも、ようやくわかったでしょ、記憶喪失になってしまったこと」
私が記憶喪失? 突然すぎる……でもそんな感じはしない。でもサラが嘘つきとは思えない。
「あなた、これがどんな言語で書かれているかわかる?」
「わからない」
「本当にそうなの? そこに入っているものはどんな思い出が詰まっていたか覚えている?」
……正直何も覚えていないのが私の気持ち。けどサラがここまで言っているのだから何かあると思う。
「でも、涙は出ているのね。記憶はなくても心は覚えているみたいね」
頬に触れ、涙を確認する。いつの間にか流れ出ていたみたいだけど、わからなかった。
「サラ、でも名前も思い出せないよ。あなたは覚えているのだろうけど私には過去に何があったかわからないし、今更新しい言語を覚えるなんて無理だよ」
「そう言って……、あんたはまだ手紙から目を離していないでしょ。ずっと読もうとしている。諦めるなんて後でもいいと思うけど」
そっか、そうだよね。たぶん大切な思い出、大切な人だからこそ思い出さないといけないんだ。
微笑み、
「懐かしいものがたくさんある。いつかそう言えれば、いいかな」
箱を見つめながら言った。
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複雑なお話ですね
主人公目線で見ると納得ですが、他の人目線で考えるのも面白そうですね✨