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第一章
差別と暗黙の国
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レイと別れギルド前の通りでトーマがエリィとの待ち合わせ場所に向かおうと促す
「……ウチちょっと買い物あるソ、先にエリィちんとの待ち合わせ場所行っといて!」
すぐに追いつくからとコーラルは慌てた様子で走って行った
――いやもう絶対なんかあるな……――
ある程度待ち合わせ場所を聞いていたトーマは真っ直ぐに向かった
道中街を眺めながら地に足をつけて自分は変わったと、これからもっと変わっていくんだと噛みしめ、明日への戦いに思いを馳せていた
酒場街には時間帯というのもあり多くの人がいる、冒険者はもちろん商人や他の街からの観光者で溢れいる
その中でエリィを見つけるのは簡単だった
トーマの目にはその佇む少女が風景から切り取られた様に、はっきりと見つける事が出来た
――ああ、これだけの異世界美女達がいる中でエリィは別格だなぁ……可憐に咲く一輪のネモフィラ!――
「お待たせエリィ」
爽やかな雰囲気を心掛けてトーマは声をかける
まるでスローモーションのようにエリィが笑顔で振り向く
――可愛い……、お待たせってなんか付き合って間もない男女がデートで待ち合わせして……ううん今来たとこ……っていうかぁ待ってる間もトーマくんの事考えてたから……そうなのかエリィこの可愛いやつめ……もうトーマくんったら……このこのっ……もうやめてよぅ……このっ……こ……――
「トーマくん!……トーマくん!」
「んっああ……ゴメン」
「どうしたのですか?何か考え事ですか?なかなか答えてくれなかったから……」
エリィは可愛いく首をかしげてトーマの顔を覗き込む
「――っ」
――可愛いぃ、……もう!ボーっとしてっ!他の女の子の事とか考えたりしてないですよねぇ……何言ってんだよオレはエリィ一筋だよ……もうトーマくんったら……えいっ、ポカ……ちょっと痛いってエリィ……ポカポカ……ポカ……――
「トーマくん?……疲れてるみたいだけど大丈夫ですか?」
「んっああ、ごめんエリィ、明日の適正試験のために魔力をね……体に馴染ませてたんだ!大変な戦いになると思うから!」
トーマはしっかり嘘をついた
「えっ今日終わらなかったのですね」
「うん、すごく多くて明日になっちゃった……コーラルは無事、Eランク冒険者になれたよ!」
トーマは心配するといけないからエリィには今日の事件をなるべく言わないようにした
「そうですか!では今日はコーラルさんの合格祝いですね!……ところでさっきも聞いていたのですがコーラルさんは?」
「うん、なんか買い物があってすぐに来るって言ってたけど……ここで二人で待ってようか!」
「はい!」
――なんかエリィ疲れてるような……オレの心のエリィセンサーが聞けと言っている――
「エリィ、今日はどこに行ってたの?」
「実は、この街に昔からの知り合いがいて……急なんですが会いに行ってました……」
――なぁに~、やっぱり想い人~しかも幼なじみ――
「そっそうなんだ……ゆっくり会えた?」
「それが……会いに行ったら出てて居なかったんです……でも帰って来るまで待ってるだけも申し訳なかったので……お手伝いをして待ってました」
――なん……だと…………久しぶり~斗真いる~?ああ斗真さっき出てったんだよ!ゴメンけど座って待っててエリィちゃん!そうなんだ~あれだったらお店手伝うよおばちゃん!ホント?悪いね~じゃあそこの瓶ビールこっちに持って来てくれる?うん任せて!ホントにもぅ斗真のやつどこほっつき歩いてんだろね~こんな可愛い子が待ってるのに!もうおばちゃんったら!エリィちゃん早くお嫁においでよ、うちのバカ斗真で良かったらね!おっお嫁!わたし達まだそんな……………………って幼なじみムーブじゃん!――
「……どっどうりでエリィ疲れてるなぁって思ってたんだ」
「ええ、今は魔力も無くなっています……あっでも普通に行動する分には問題ありませんので今日は三人でたくさん食べてお祝いしましょう!」
エリィは可愛いく拳を胸の前で握った
――魔力も無くなるのね……?何の仕事?酒屋でないのは確か――
「そっか~それじゃあ会えなかったの?」
「帰りに少し会うことができました!明後日にはこちらを発つ事を伝えたら明日の夕方に時間をとってもらえたので……あっでも明日のトーマくんの試験は応援に行きますよ」
――明日の夕方……気になって試験どころじゃない……いやここは一緒に……行きたいけど迷惑だよなぁ
……空気読めよって感じだよなぁ……エリィも二人っきりがいいだろうし……我慢……だな――
「うん!エリィの応援でチカラ百倍!」
「ふふっ、トーマくんならきっと勝てます!」
――エリィ……対戦相手知ったら驚くだろうなぁ……言わないでおこう――
トーマとエリィは楽しく立ち話してコーラルを待つが、日が沈み暗くなってもコーラルは待ち合わせに来ない
「……遅いですねコーラルさん」
エリィが心配そうに言う
「……うん、嫌な予感がする……探しに行こう」
トーマとエリィは商店が多い場所を中心に探すことにした、まだ開いているお店で聞き込みをしコーラルの行方を追う
トーマの頭の中で不安が一つある、ギルドからの帰りにダンゴ達の態度が怪しかったのだ
やはりちゃんと釘を刺しておくべきだったのではないかとコーラルの無事を祈り駆け回る
獣人の女の子が男達に連れられて路地に入って行ったと情報を聞きトーマの心臓が跳ねた
足にチカラが入らない、コーラルの別れ際の笑顔が頭をよぎる
――やめてくれ……間違いであってくれ……曲がり角からひょっこり出で来てくれ……遅れたっちゃ!って笑顔で言ってくれ……――
「――!」
エリィと手分けして探して手当たり次第に路地に入ると、トーマの目に誰かが倒れているのが見える
トーマは足にチカラが入らない、上手く走れず目の前で転んだ
「こ……こ……コーラル?……コーラル!」
トーマは震えて声が出ない、意識がない、どれだけ殴られたのか服もズタズタに破られ、顔はおそらく骨折しているのか青く腫れ、あの愛嬌あるコーラルの面影が無い
手足もアザだらけになっている、複数人に暴行されたのだろう
「……コーラル……ゴメン……コーラル……オレがもっとちゃんとしてれば……」
大事そうに両手でお腹に隠したボロボロの買い物袋から三つのブローチがこぼれ落ちる
「……これ……これを買いに……」
トーマは震えた涙声で助けを呼ぶ
「え……エリィ~……エリィ~治癒を……コーラルを助けて……エリィ~」
微かな声を聞き取りエリィが走って来る
「トーマくん?……こっコーラルさん!ひどい……」
「エリィ……コーラルを助けて」
トーマが泣きながら懇願する
「今、わたしには魔力が……いえ、コーラルさんを助けることが出来る人が一人だけいます!トーマくんコーラルさんを抱いて、わたしについて来てください!」
トーマとエリィは懸命に走った、大事に抱えて泣きながら走った、トーマの想いに魔力が反応する
トーマの魔力がコーラルごと白く包み込む、膨大な魔力を発しながら懸命に走る
――大丈夫だコーラル……大丈夫だぞ!ちょっと待ってろ……今助けるから!――
コーラルの傷が少しずつ癒える、顔面骨折した顔も癒えていく、アザは無くなりおそらく手足の骨折も治っている
「すっ凄い!トーマくん」
強烈な魔力を後ろに感じ、エリィが走りながら振り返ると白く光るトーマが優しいオーラを纏っている
――大丈夫だからな!コーラル!――
トーマは必死で気付いていない、コーラルを想う気持ちが無意識の覚醒を促す
「……ウチちょっと買い物あるソ、先にエリィちんとの待ち合わせ場所行っといて!」
すぐに追いつくからとコーラルは慌てた様子で走って行った
――いやもう絶対なんかあるな……――
ある程度待ち合わせ場所を聞いていたトーマは真っ直ぐに向かった
道中街を眺めながら地に足をつけて自分は変わったと、これからもっと変わっていくんだと噛みしめ、明日への戦いに思いを馳せていた
酒場街には時間帯というのもあり多くの人がいる、冒険者はもちろん商人や他の街からの観光者で溢れいる
その中でエリィを見つけるのは簡単だった
トーマの目にはその佇む少女が風景から切り取られた様に、はっきりと見つける事が出来た
――ああ、これだけの異世界美女達がいる中でエリィは別格だなぁ……可憐に咲く一輪のネモフィラ!――
「お待たせエリィ」
爽やかな雰囲気を心掛けてトーマは声をかける
まるでスローモーションのようにエリィが笑顔で振り向く
――可愛い……、お待たせってなんか付き合って間もない男女がデートで待ち合わせして……ううん今来たとこ……っていうかぁ待ってる間もトーマくんの事考えてたから……そうなのかエリィこの可愛いやつめ……もうトーマくんったら……このこのっ……もうやめてよぅ……このっ……こ……――
「トーマくん!……トーマくん!」
「んっああ……ゴメン」
「どうしたのですか?何か考え事ですか?なかなか答えてくれなかったから……」
エリィは可愛いく首をかしげてトーマの顔を覗き込む
「――っ」
――可愛いぃ、……もう!ボーっとしてっ!他の女の子の事とか考えたりしてないですよねぇ……何言ってんだよオレはエリィ一筋だよ……もうトーマくんったら……えいっ、ポカ……ちょっと痛いってエリィ……ポカポカ……ポカ……――
「トーマくん?……疲れてるみたいだけど大丈夫ですか?」
「んっああ、ごめんエリィ、明日の適正試験のために魔力をね……体に馴染ませてたんだ!大変な戦いになると思うから!」
トーマはしっかり嘘をついた
「えっ今日終わらなかったのですね」
「うん、すごく多くて明日になっちゃった……コーラルは無事、Eランク冒険者になれたよ!」
トーマは心配するといけないからエリィには今日の事件をなるべく言わないようにした
「そうですか!では今日はコーラルさんの合格祝いですね!……ところでさっきも聞いていたのですがコーラルさんは?」
「うん、なんか買い物があってすぐに来るって言ってたけど……ここで二人で待ってようか!」
「はい!」
――なんかエリィ疲れてるような……オレの心のエリィセンサーが聞けと言っている――
「エリィ、今日はどこに行ってたの?」
「実は、この街に昔からの知り合いがいて……急なんですが会いに行ってました……」
――なぁに~、やっぱり想い人~しかも幼なじみ――
「そっそうなんだ……ゆっくり会えた?」
「それが……会いに行ったら出てて居なかったんです……でも帰って来るまで待ってるだけも申し訳なかったので……お手伝いをして待ってました」
――なん……だと…………久しぶり~斗真いる~?ああ斗真さっき出てったんだよ!ゴメンけど座って待っててエリィちゃん!そうなんだ~あれだったらお店手伝うよおばちゃん!ホント?悪いね~じゃあそこの瓶ビールこっちに持って来てくれる?うん任せて!ホントにもぅ斗真のやつどこほっつき歩いてんだろね~こんな可愛い子が待ってるのに!もうおばちゃんったら!エリィちゃん早くお嫁においでよ、うちのバカ斗真で良かったらね!おっお嫁!わたし達まだそんな……………………って幼なじみムーブじゃん!――
「……どっどうりでエリィ疲れてるなぁって思ってたんだ」
「ええ、今は魔力も無くなっています……あっでも普通に行動する分には問題ありませんので今日は三人でたくさん食べてお祝いしましょう!」
エリィは可愛いく拳を胸の前で握った
――魔力も無くなるのね……?何の仕事?酒屋でないのは確か――
「そっか~それじゃあ会えなかったの?」
「帰りに少し会うことができました!明後日にはこちらを発つ事を伝えたら明日の夕方に時間をとってもらえたので……あっでも明日のトーマくんの試験は応援に行きますよ」
――明日の夕方……気になって試験どころじゃない……いやここは一緒に……行きたいけど迷惑だよなぁ
……空気読めよって感じだよなぁ……エリィも二人っきりがいいだろうし……我慢……だな――
「うん!エリィの応援でチカラ百倍!」
「ふふっ、トーマくんならきっと勝てます!」
――エリィ……対戦相手知ったら驚くだろうなぁ……言わないでおこう――
トーマとエリィは楽しく立ち話してコーラルを待つが、日が沈み暗くなってもコーラルは待ち合わせに来ない
「……遅いですねコーラルさん」
エリィが心配そうに言う
「……うん、嫌な予感がする……探しに行こう」
トーマとエリィは商店が多い場所を中心に探すことにした、まだ開いているお店で聞き込みをしコーラルの行方を追う
トーマの頭の中で不安が一つある、ギルドからの帰りにダンゴ達の態度が怪しかったのだ
やはりちゃんと釘を刺しておくべきだったのではないかとコーラルの無事を祈り駆け回る
獣人の女の子が男達に連れられて路地に入って行ったと情報を聞きトーマの心臓が跳ねた
足にチカラが入らない、コーラルの別れ際の笑顔が頭をよぎる
――やめてくれ……間違いであってくれ……曲がり角からひょっこり出で来てくれ……遅れたっちゃ!って笑顔で言ってくれ……――
「――!」
エリィと手分けして探して手当たり次第に路地に入ると、トーマの目に誰かが倒れているのが見える
トーマは足にチカラが入らない、上手く走れず目の前で転んだ
「こ……こ……コーラル?……コーラル!」
トーマは震えて声が出ない、意識がない、どれだけ殴られたのか服もズタズタに破られ、顔はおそらく骨折しているのか青く腫れ、あの愛嬌あるコーラルの面影が無い
手足もアザだらけになっている、複数人に暴行されたのだろう
「……コーラル……ゴメン……コーラル……オレがもっとちゃんとしてれば……」
大事そうに両手でお腹に隠したボロボロの買い物袋から三つのブローチがこぼれ落ちる
「……これ……これを買いに……」
トーマは震えた涙声で助けを呼ぶ
「え……エリィ~……エリィ~治癒を……コーラルを助けて……エリィ~」
微かな声を聞き取りエリィが走って来る
「トーマくん?……こっコーラルさん!ひどい……」
「エリィ……コーラルを助けて」
トーマが泣きながら懇願する
「今、わたしには魔力が……いえ、コーラルさんを助けることが出来る人が一人だけいます!トーマくんコーラルさんを抱いて、わたしについて来てください!」
トーマとエリィは懸命に走った、大事に抱えて泣きながら走った、トーマの想いに魔力が反応する
トーマの魔力がコーラルごと白く包み込む、膨大な魔力を発しながら懸命に走る
――大丈夫だコーラル……大丈夫だぞ!ちょっと待ってろ……今助けるから!――
コーラルの傷が少しずつ癒える、顔面骨折した顔も癒えていく、アザは無くなりおそらく手足の骨折も治っている
「すっ凄い!トーマくん」
強烈な魔力を後ろに感じ、エリィが走りながら振り返ると白く光るトーマが優しいオーラを纏っている
――大丈夫だからな!コーラル!――
トーマは必死で気付いていない、コーラルを想う気持ちが無意識の覚醒を促す
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