LABIS TRIP〜ラビストリップ〜異世界啓発冒険譚

ろきそダあきね

文字の大きさ
86 / 202
第二章

事故

しおりを挟む

 救護室にはエリィとイルミナがトーマの容態を診ている
 ノック音がして部屋に入って来たのはコーラルとビビの二人、ビオルクが気を利かせて詰所の方まで呼んでくれたのだ

「エリィちん!トーマっち大怪我したソ!?」
「何があった?トリッパーか?」
 二人は部屋に入ってベッドに駆け寄る

「はい……適性者試合は大丈夫だったのですが……シルフィア様が襲撃を受けまして……トーマくんが咄嗟に……いつも……みんなを助けてばかり……致命傷でした……まだ意識が……」
 エリィは俯き、涙ながらに答える

「「――そんな……!」――トーマ……」

 コーラルはトーマの手を握って涙を流しながら必死に声をかけ、ビビはエリィを後ろから抱きしめる
 
「起きろ~!トーマっち!エリィちんが泣いてるっちゃ!」
「エリィ……大丈夫だぞ……トーマはすぐに目を覚ます、コイツはお前たちを守るためなら魔王にでもなれる男だ!キスでもしてやれば飛び起きる」

「――えっ!キッ……キッ……キスですか……?」
「……そうなソ?」
ビビはこの場をなごませるために冗談でそう言った

「だっ……だめですよ!……姉さんというものがありながら……そっ……そんな……キッ……キスなんて……」
 慌ててイルミナが割って入る

「いいっちゃ!どうせ寝てるソ!やっちゃお!やっちゃお!」
「だめですって!寝てますし!」
イルミナは必死に止める

「ウチが王子様になってトーマっち姫を起こすソ!」
「それもう逆になっちゃってますから!」
 
 コーラルがトーマの顔に近付くとイルミナが後ろからキスをさせないように羽交締はがいじめにする

 ビビはそれを笑いながら見て、エリィは独り言のように「キスですか?」とぶつぶつ呟いている
 
「イルミ~離してっちゃ~!」
 
「コーラルさん!落ち着いてください!」
 
「ここはウチに任せてイルミ~は先に行くっちゃ~」
 
「僕もここは引けません!姉さんのためにも!」

 二人の揉み合いはヒートアップして足がもつれたイルミナは体勢を崩してベッドの方に倒れてしまう!

「――イルミ~!」
「――イルミナさん!」
「――おい危ないっ!」
「――!」
 エリィ、コーラル、ビビには反応出来ない!

 事故だった、イルミナの唇は寝ているトーマの唇と重なってしまった

「――あっ……!」
「――イルミナさん……!」
「――ほぅ……」
三人は時が止まったようにベッドの二人を見つめる

「わぁぁ~!ごっ……ごめんなさい!……ぼっ僕……」
 イルミナは顔が真っ赤になり、ひっくり返って自分の唇に触れる

「……まあまあイルミ~、事故なソ……気にしないことっちゃ……」
 事故の原因であるコーラルは気まずそうにイルミナを慰める

「……ですがトーマくん目が覚めませんね……」
 
「ふん、冗談だからな……すまん……」
 
「ビビりんのせいでイルミ~が傷付いたっちゃ……」
 
「それはコーラルのせいだろう?ビビは場を和ませるために……」
 
「なんて~ウチは本気でトーマっちを起こそうと……」

「こんな冗談信じるのはコーラルくらいだ!」
「ビビりん!ウチを愚弄ぐろうしてるっちゃ~!」
「ビビの決め台詞ぜりふとるなコーラル!……ん?」
「「……」」

 エリィを見るとどうやら本気にしていたみたいで落ち込んでトーマの手をハンドマッサージしながらイジイジしている

 イルミナのほうはまだ立ち直れないようで体育座りで俯いている

 しばらくしてビオルクが様子を見に来た
「その様子だとトーマくんはまだ目が覚めてないようだね……襲撃の犯人を唯一分かってそうなんだよね~」

 エリィ達には分かっているが、トーマが「アース人」であることを告げずにそれを説明することは難しかった

 宿の前で絡まれた二人、彼らが「トリッパー」であること
 それを知っていることはトーマが「アース人」だから分かること
 
「申し訳ありません……ただシルフィア様が狙われていることは確かです……警護はしっかりお願いしますとトーマくんは言ってました」
 
 エリィは「シオン・アーテル」に関してビオルクに何も言わなかったがビオルクのほうから情報を出してくれる

「ただ……重症だったハヤト・デイトナとシオン・アーテルの両騎士がいなくなってね~二人とも身体検査したけど怪しい武器は持ってなかったし、シルフィア様を攻撃したのは鉛玉を飛ばすやつなんだよね~トーマくんの体から出たきたから……う~ん」

「いなくなったソ?」
 
「では、そのシルフィア様とやらを狙ってくるな……もしくはエルフ全体……」

 コーラルが不安そうにビビの袖を握るとビビはトーマのように考察する
 この事はすでにトーマがビビに伝えていた、ビビは理解力があるのでトーマの考えを伝えたまでだった

「エルフ全体!?」

 ビオルクはいつものニヤけ顔が消え、報告に行くと言って部屋から出て行った
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥
ファンタジー
町の電気屋として細々と暮らしていた俺、轟電次郎(とどろき でんじろう)。 ある日、感電事故であっけなく人生終了──のはずが、目を覚ましたら異世界だった。 そこは魔法がすべての世界。 スマホも、ドライヤーも、炊飯器も、どこにもない。 でもなぜか俺だけは、“電力を生み出し家電を召喚できる”という特異体質を持っていて── 「ちょっと暮らしやすくなればそれでいい」 そんなつもりで始めた異世界ライフだったのに…… 家電の便利さがバレて、王族に囲まれ、魔導士に拉致され、気が付けば── 「この男こそ、我らの神(インフラ)である!」 えぇ……なんでそうなるの!? 電気と生活の知恵で異世界を変える、 元・電気屋おっさんのドタバタ英雄(?)譚!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...