ダイヤモンド・リリー

zzz

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「ん……」

目を開き辺りを見回すと後ろには森。左右は果てしなく草が生い茂っていて、前方遥か遠くには街のようなものが見える。

鳥のさえずりに風の音。草の奏でる音だけの世界。

辺りに人は居ないようだ。


目指すべきは────

「街かな」

取り敢えず体を起こしてみる。

俺はいつもの制服に身を包んでいる。武器もない。
ファンタジーな世界を期待したが、案外元いた所とかわらないのかもしれない。

そう言えばネーレはやってもらいたい事があると言っていた気がする。

「ええと……ネーレ?」

呟くように声を発する。こんなんで通じるのか?

『通じてるよ~!』

ほんのついさっきまで生きていたはずが、なんだか懐かしく感じる。愛らしい姿を確認出来ないのが悔やまれるが、小さい子特有の少し高めの声が聞けるだけでも良しとしよう。

「俺は何をすればいいんだ?」

『君が元の世界に戻るために、神力…この世界では魔力なんだけど、その結晶を貰って来て欲しいんだ』

魔力って事は魔法がある世界って事か。憧れたファンタジーだ。

「それって貰えるものなのか?お約束的に試練とかある感じ?」

『魔力の結晶は全部で5つ。この世界にはSランクの冒険者が5人いて、それぞれが結晶を持っているから、会えれば直ぐ手に入るよ。ギルドの受付に聞けばどこで会えるかわかると思うし』

スーパーイージーモードなんだけど。
物語が秒で終わる予感。

だから俺は丸腰なのか。魔法も使えないで異世界とさようならなのか?

『武器は剣を用意してるよ。邪魔になると思って、念じれば出てくる仕組みにしたんだ。
 魔法も使えるから試してみて。僕が海の神って事もあって水魔法に特化してるけど、火、木、土、金も使えるからね』

「おお~!使ってみる。さらっと言ったけどネーレは海の神様だったのか。……ところで複数の系統の魔法使えるのはチート?」

『そうだね、5つ全て使えるのは賢者や大魔導士くらいだから、君の年齢くらいで使えるのはチートといえばチートかな。あと体力と魔力はほぼ無限だよ。』

俺の魔力が無限になるなら俺の魔力を使って元の世界に戻れば、魔力集めなくて良いんじゃ…?

『厳密に言うと、君が今いる所でいう魔力と、僕達が必要としている神力は違うんだよね。
 因みにさっき言った魔力の結晶は神力を元に作られているから、その世界の人たちは使うことが出来ないんだ。』

なる程。つべこべ言わずに結晶の持ち主を探せと。

「異世界人だって隠した方がいいのか?」

『あとチート能力の事もね。言った方がいい場合もあるんだけど、人によるんだよねぇ。
 ぼくが見極めるのが一番だけどいつでも念話できるわけでもないから……あ、相手のステータスを見れる様にしてあげるね。君の好きなチート能力だよ!』

チート能力が好きってわけでは……
いやあったら嬉しいけど。

「ありがとな。とりあえずギルドに向かうことにするよ。」

『うん。ぼくも仕事に戻るね。
 そうだ、その世界の人たちは魔力の結晶の事を"ダイヤモンドリリー"って呼んでるから、そっちの方が通じるかも!じゃあ、頑張ってね。』




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