突然、母が死にました。

９日目

　伯母が北海道へと帰ると言うことで、帰る前にある程度４９日の予定を進めておこうという話になった。
　そこで、お世話になる札幌のお寺に連絡を入れた。兄が。
　４９日を行う上で必要になるのが、まず遺骨を収めるための墓、あるいは納骨用の仏壇。
　そのお寺は仏壇に収める形式のお寺で、すでに祖父母がお世話になっているのだが、さらにそこに母を収めようとするとスペースが足りず、新たに借りるかワンランク大きい仏壇にするかと言う話になった。（ワンランク上にするなら３０万、もう一つ借りるなら２０万円だそうだ）
　それから位牌も必要。４９日では、位牌に魂を入れる魂入れと言う儀式が行われるからだ。が、一口に位牌と言ってもびっくりするくらい種類があり、どれと言われても見当などつかない。
　それに購入するにしてもお寺で用意してもらうか自分たちで購入するかと言うこともあり、とりあえずこの時点では保留するということに。
　そして、最後に最も重要（だったらしい）なのがーー戒名である。
　実はこの戒名だが、葬儀会社のI氏との打ち合わせの際、どうしますか？　と訊かれたのである。が、私たちは後でいーんじゃない？　と答えてしまったのだ。（ぶっちゃけ、必要になるなんて思ってなかった）
　で、この戒名、一般的には両親と同じ格（戒名には居士、院などのクラスがあって、それぞれに見合ったお値段がかかります）の戒名をつけるものと言われ、私たち「はぁ。そーですか」と頷くくらいしかできなかった。
　これも、戻ったら伯母が祖父母の戒名を確認してくると言うことで、また保留。
　せめて仏壇だけでも決めるかともなったのだが、祖父母の近くに入れてあげたい。空いてるかどうか確認してくると伯母が言うので、結局、全て保留。伯母が戻ってからと言うことになった。（取り敢えずこの日を予定していますと言う事だけは伝えたけど）
　そうして伯母は兄に送られて空港へと向かい、私はひとまずホッとしたのだが……そこではたと気づいた。

　あれ？　オレまだ一度もうん○してねぇんじゃね？

　と言うことに。
　なんと、母が亡くなってから一週間、一度もうん○をしてなかった上、そのことに全く気づいていなかった。便意を催すこともなければ、お腹が張った感覚もなく、痛みも覚えていなかったためだ。
　自分的には、こんな長期間の便秘は初めてだった。
　便秘になるのは幾つか要因があるそうで、有名なのが繊維質の不足ってヤツだが、それ以外にも、心因性による原因もあったりするらしい。
　人はリラックス出来ない環境、気を緩められない場所などでは大きい方を出来なくなったりするらしい（旅先や旦那の実家に行くと便秘になりやすいって言うのは、この辺りが原因だと思う）。
　これは野生の名残なんだそうで、野生なんて丸めてゴミ箱に放り込み焼却処分した現代人でも、わずかな燃えカスの如き野生は残っている訳なのだ。
　そういう訳なので、落ち着けばそのうち治るだろう。と、気にせず放置した。が、この後、更に二週間近く便秘状態が続くことになるとは、この時は思いも寄らなかった。
　頭痛、食欲不振、そしてこの便秘。
　こうしてあの時患っていた心因性やストレス由来の病（？）を並べ立ててみると、改めて思う。

　『オレってメンタル脆ぇなぁ……』

　と。
　だが、メンタルにダメージを負っているのは私だけではなかった。後、私はそのことに気づかされることになった。