突然、母が死にました。

山王 由二

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25日目

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 やらなければいけないことが徐々になくなっていき、その分精神的にだいぶ落ち着いてきた私は、母が亡くなってから初めて、ちゃんと休日を取ろうと考えた。
 観たかった映画(ミュージカル)を見に行き、街をぶらつき、それから家に帰ってのんびり過ごす。
 そのためにはまず、午前中に一仕事片付ける必要があった。
 実家にいるネコを病院に連れていくこと。である。
 実家には二匹ネコがいる。で、そのうちの一匹は私に大変なついているのだが、もう一匹はそうではない。そして、病院に連れて行かなければならないネコと言うのが、そのもう一匹の方だった。
 実は一度、その前のお休みの時にチャレンジしたのだが、ものの見事に失敗した。
 みぃ(なついている方のネコ)なら簡単なのになぁ……。と、敗残兵のごとく肩を落としてその時は断念したのだが、今回は違う。
 何故なら、今回は兄がいるからである。
 その月に一度の病院通いが約束されて(しまって)いる件のネコは、私にはなついていないが兄にはなついているのである。なので、ケージに入れるのは比較的・・・容易かった。
 私が車を出し、兄がケージを抱えて(と言うか、ゲージを破壊してでも逃げようとするのを抑えつけて)、車で数分の距離にある動物病院へと向かい、月に一度の肛門絞りなる治療を受けさせた。

 肛門絞りとは――
 犬や猫は肛門臭腺なる器官を肛門の両脇に持っており、こいつからくっちゃい匂いを出して敵を撃退したりするそうなのだが、ペット化した犬猫に敵などいないので、これはすっかり使われなくなっている。
 なので、そのままだとくっちゃい匂いの元がいつまでも肛門臭腺の中に残ってしまうのだが、普通のネコは自分でこれの処理ができるし、何かしらのトラブルでも発生しない限りは問題ない。
 が、ウチのネコのようにたまに自分で処理できず、膿などが出来てしまうコもいる。なので、そんな猫たちは定期的に肛門(腺)を絞って中の液などを絞り出してあげる必要がある。そうだ。ちなみに、とっても痛いようで、うちのコはガチで嫌がっていた。

 病院にて、ウチの子たちの健康を保つための注意点なんかを説明してもらい、治療費(500円程度でした)を支払って家に帰れば――みっしょんこんぷりーと。である。

 毛だらけになりながらなんとか午前中に『みっしょんこんぷりーと』をした私はすぐに風呂に入り、着替えて、予約しておいた映画を見に行き、街をぶらつ――いたりしたら帰るのが遅くなるので止め、家に帰ってのんびろう――としたらなんだか疲れ果ててそのまま爆睡。
 休日を満喫することができずに次の日を迎えてしまった。
 再び仕事と父の世話と遺産管理と整理とを再開することに。そしてその週から、それまでの停滞状態だった遺産の手続きが、嘘のようにドンドコ進んでいくこととなったのであった。

 
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